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ランクアップ講座 -サックス-

Navigator:坂口 大介 / 鶴飼 奈民 / 浅利 真

アルトサックス

Navigator:坂口 大介 D a i s u k e  S a k a g u c h i

坂口大介

茨城県日立市出身。昭和音楽大学卒業、東京芸術大学大学院修了。ノナカサクソフォンコンクール入賞。在学中昭和ウィンドシンフォニーにてコンサートマスターをつとめる。茨城県新人オーディション新人賞受賞・水戸芸術館主催「茨城の名手・名歌手たち 第16回」に出演。2010年、2015年ソロ・リサイタルをおこない大好評を博す。[クローバー・サクソフォン・クヮルテット]バリトンサクソフォン奏者。結成以来、東京での定期リサイタル(東京文化会館、紀尾井ホール)他、全国各地でコンサート活動を行なう。CD「クローバー」「プレシャス」「ゴルトベルク変奏曲」をキングレコードからリリース。「プレシャス」は「レコード芸術」誌にて特選盤に選ばれる。ブリッツフィルハーモニックウインズ・メンバー。都内主要オーケストラにエキストラ奏者として参加し、ソロではバリトンサックスとアルトサックスという2つの声による独創的なコンサート積極的に展開している。サクソフォンを清水容子、大貫比佐志、彦坂眞一郎、福本信太郎、林田和之、須川展也、室内楽を彦坂眞一郎、武藤賢一郎、中村均一の各氏に師事。木村音楽教室、イイノ楽器、ウインズ・ユー講師。

楽しくできる基礎練習 -個人のレベルアップのために-

◆ なによりも息! ~息の練習をしよう~ ◆

サックスは管楽器(wind instrument)。そして僕らがやっているのは吹奏楽(wind orchestra)。どちらもwind= 風。つまりは息の楽器ですね。【図①】は楽器が音を出すしくみを表しています。肺から押し出された空気がリードに当たり、するとリードが振動して音になりますね。当たり前のようですが、あらためて確認してみましょう。アンブシュアの役目は、空気が漏れないようにすること、そしてリードに最小限の力を加えてリードが振動しやすい状態にすることにあります。

大事なのは息、息はエンジンです。息を入れなければ、サックスは何一つ音が出ません。まずはとにかくたっぷり息を入れることに気をつけましょう。
サックスは比較的簡単に鳴る楽器、だからこそ本当にしっかり息を入れるというのは難しい。多彩な音色は十分な息から生み出されるので、息を鍛え、自分の声(音色)の幅をもっと広げていきましょう!しっかりとした息を自由に使えるようになれば、タンギング、ヴィブラート、スタッカート、ピッチコントロール、ほとんどのことが勝手に上手くできるようになります。

まずは息! そして困ったときも息です!
息には3つの要素があります。量、スピード、方向です。特に大事なのは息のスピードです。よく冷たい息、暖かい息という表現がありますが、これは息のスピードを意味すると思ってください。ということで息を鍛える練習を紹介します。

◆ 練習 ◆

① 目の前にマウスピースのキャップを置いて、それを息で動かしてみる。

まずは見えない息の力を目で確認する練習。コツは息を一点に集める意識、そしてたくさん息を吸って、それをお腹の下の方から押し出すイメージ。3秒間、息を当てキャップを動かそうとしてください。楽器なしで息をまとめてスピードを高める感覚を掴みましょう【図②】。
続いて楽器を使っての練習。


② ノータンギングのロングトーン


【譜例①】

【譜例①】は、息だけで音を作る練習です。特に低音を裏返らずにしっかり鳴らすことが大事です。低音をしっかり出すためには、その音に適した息のスピード(初速)、方向があり、それを身体で覚えるための練習です。後押しにならないように音の始まりからスピードのある息を出せるようにしましょう。

 

③ クレッシェンド、ディミヌエンド

【譜例②】

【譜例②】は息の量と速さを変化させていく練習です。滑らかなクレッシェンド、デクレッシェンドを意識しましょう。お腹で息をしっかり支える意識がないと、なかなかなめらかにできません。弱音のときこそ息のスピードが大事です。クレッシェンドでは細く速い息をだんだんと太くしていくイメージ、デクレッシェンドでは f のときの息のスピードを保ったまま息の量を減らしていくイメージです。

 

④スケール練習

【譜例③】

音階練習、みなさんやっていますか? スケールには音楽をやるうえでの基本がすべて詰め込まれています。もちろん指を覚える、動かす練習でもありますが、むしろ息をまんべんなく入れる練習でもあります。


まずは1オクターブのスケール、下から上までのすべての音をでこぼこさせず、一つの息で演奏できるようにしましょう【譜例③】。
それから、とにかく全部の調で演奏できるようにすることです! 時間はかかりますが、12個すべての調でスケールができるようになると楽器を吹く力がグッと上がります。

◆道具は大事!◆

良いイメージを持ち、良い息を使えるようになればあとは道具です! 道具なんて関係ない!という人もいるかもしれませんが、初心者こそ良いセッティングで吹くことが重要。良いセッティングで練習すると、上達のスピードが段違いです。大事なのは、リード、マウスピース、そして楽器のメンテナンスです。

◆マウスピース◆

これは音色に一番影響のある部分です。一本一本手作業で作っているので、同じモデルでもばらつきがあり、当たりハズレがある困りもの。
大事なのは“選ぶ”ことです。楽器屋さんで買いたいモデルの何本か出してもらい、息がスムーズに入るものを買ってください。最近はネットでプロの選定品も出ているので、それを買うのも一つ。吹奏楽、クラシックで標準的なものは、セルマーの170.180.190.C☆、バンドーレンのAL3などでしょうか? モデルについては好みですので、いろいろと吹いてみましょう。

◆ リード◆

これもたくさんのメーカー、モデルがあり、何を吹けばいいのか迷いますね。大事なのはリードの厚さは絶対的なものではなく、マウスピースとの相性で変わるということです。例えば、上手なA さんがバンドーレンの3半を使っているからといって同じ物を使っても、マウスピース、楽器が違っていたら吹き心地は全然違います。昔はバンドーレンの3半を使っていればとにかく良いと言われる時代があったものでしたが、むしろ少し薄めのリードを息で効率よく鳴らすほうが良いでしょう。プロでも、使っているリードはまちまち、とにかくいろいろ試してみて自分に合うものを探すことが重要です。お金がかかるかもしれませんが、合わないリードで無理に吹くことはせっかくの努力を無駄にすることに……。充分に音楽を楽しむためにも、奮発しましょう!

◆楽器◆

高いものである必要はありません。が、メンテナンスは非常に大事です。いわゆる楽器の調整ですね! よく、タンポに隙間があって音が出づらい楽器を、必死に吹いている学生をよく見ますが、これはダメです! どんなにがんばっていても変なセッティングで吹いていては、仮にその時はうまくいっても無理に音を出そうとするため、次第に変なクセがついてしまいます。

基準は最低音がしっかりと鳴ること。最低音は全部のタンポを閉じるため、調整がしっかりとなされていないと鳴りません。自分が吹く楽器が何年も調整したことのないものでしたら、一度、楽器屋さんに持っていきましょう。

さあこれで、うまくなる下準備はできました! タンギングやフィンガリング、細かな技術、やるべき練習はそれこそ山のようにありますが基本はこの3つ! 理想のイメージを持ち、息をしっかり入れて、道具を選んで吹く。あとは吹けば吹くほど上手くなって、あっという間にあこがれの先輩です!(もちろん努力は必要!)



※こちらの記事は、Wind-i vol.7を一部抜粋し掲載しています。

 CONTENTS

◆1ページ:アルト・サックス  坂口 大介
◆2ページ: テナー・サックス 鶴飼 奈民
◆3ページ:バリトン・サックス 浅利 真

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