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佐久間由美子&中川佳子

THE FLUTE 161号 Cover Story

この秋、10年ぶりとなるコンサートでの共演を果たした佐久間由美子さんと、中川佳子さん。中川さんが東京藝大で学んでいた時代からの師弟関係であるお二人は、ともにプロとして活躍する中で折々に交流を温めてきた。在京で活動する佐久間さんと、京都市交響楽団に所属する中川さんだが、その絆はこれまでも、これからも深く続いていくのであろうことを感じさせるインタビューとなった。
写真:橋本タカキ/取材協力:株式会社プリマ楽器、株式会社三響フルート製作所

第一線で活躍するフルーティストに、至近距離で…

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中川さんは佐久間さんが藝大で教え始めた最初の年の学生だったそうですが、どんな生徒さんでしたか?
佐久間
古すぎてあまり覚えてないんです(笑)。お声を掛けていただいて教えることになったのですが、中川さんはその時の2年生だったんですよね。1年生には斎藤和志君なんかがいて……。
中川
いま静岡で活動している仲戸川智隆君も、私と同学年でした。男子はかなり個性的な人たちが多かった気がしますね。先生と年齢が近かったこともあって、交流するのがとても楽しかったのを覚えています。
佐久間
中川さんたちとは、先生と生徒とはいっても5つくらいしか違わないんですよね。私がパリから帰ってきたのが21のときで、武蔵野音大に勤め始めたのが翌年で22のとき。当時の大学院の1年生と同じ歳でした。その数年後に藝大で教え始めたんですが、年が近いことと、当時すごく忙しかったので、教えることになかなか時間が取りにくい状態ではありました。
藝高からパリに留学したので、藝大は私にとってはアウェイ。それで帰ってきて藝大で教えるようになったものの、正直言って、怖いわけですよ(笑)。藝大生はみんな上手いしレベルが高くて、堂々としている。みんなが“ライバル”っていう感じで、そんな空気に私は教える立場ながら、ちょっと気後れしていた部分があったんですよね。一人ひとりはみんな慕ってくれていい子たちだったから、それで救われていたんですが、やはり張りつめた空気はありましたね。
中川
先生も来たばかりで何も知らないのを良いことに、週一でばっちりレッスンを入れていただいて、お忙しくて学校に来られない時は自宅で補講していただいたりもして(笑)。
佐久間
何かあったらすぐクビになるんじゃないか、って当時はいつも思ってたんですよ。だからというわけじゃないんですけれど、ちゃんとしっかり教えていました(笑)。
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学生の側から見て、そんな佐久間先生はどんなふうに映っていたんでしょうか?
中川
先生の演奏はそれまで生では一度しか聴いたことがなかったのですが、最初のレッスンのときに、ロレンツォのエチュードを初見でガンガン吹いているのを見て「そう年も変わらないのに……」と呆気にとられたのをよく覚えています(笑)。先生としてももちろんですが、演奏家としてとにかく尊敬していました。第一線で活躍しているフルーティストを至近距離で見られて、聴けて、教えてもらえる、ということが私にとっては驚異的といってもいいレベルの話だったんです。(次のページへ続く)

次のページの項目
・社会に出たら同等の関係
・2,800円のレコード1枚に悩み、考えた時代

Profile
佐久間由美子
佐久間由美子
Yumiko Sakuma
東京藝術大学附属音楽高校より渡仏、1984年パリ国立音楽院を満場一致のプルミエ・プリで卒業。宮本明恭、長谷川博、アラン・マリオン、レイモンド・ギオ、クリスチャン・ラルデの各氏に師事。83年ランパル国際コンクール第1位、およびジョゼフ・ランパル賞受賞。84年ボルドー国際フェスティバル金メダル、85年第1回神戸国際フルートコンクール第2位。以降ソリストとして活躍するほか、N響をはじめ日本各地の主要オーケストラと数多く協演している。特に室内楽の分野では、フルート音楽の可能性を探る意欲的な活動が高く評価され、わが国を代表するフルーティストとして常に大きな注目を集めている。CDは「パリの息吹き」「20世紀のソナタ」、オイロス・アンサンブルとして「真夏の夜の夢」「トラヴィアータ」「オイロス・アンサンブル・クインテット〜WIND」、ジャパン・チェンバー・オーケストラとしてベートーヴェン交響曲シリーズ、ニールセンのフルート協奏曲など。92年モービル音楽賞(現・東燃ゼネラル音楽賞)奨励賞受賞。「オイロス・アンサンブル」メンバー。国立音楽大学、および同大学院客員教授。
中川佳子
中川佳子
Yoshiko Nakagawa
東京藝術大学を最優秀成績を修め卒業。在学中に第3回日本木管コンクール優勝、学内にて安宅賞受賞。1995年 Conservatoire de National de Region de RUEIL-MALMAISONをプルミエ・プリにて修了。同年京都市交響楽団入団。2008年、三響フルート製作所 創立40周年記念「4人のヴィルトゥオーゾによるフルート ガラコンサート」ではウィーンフィル首席ワルター・アウアー、リヨン国立オペラ座首席ジュリアン・ボディモン、佐久間由美子各氏と共にソリストをつとめ、大成功を収めてい る。ザ・フルート別冊号では「牧神の午後への前奏曲」をはじめとする、オーケストラの名旋律をCD収録。演奏の他にも、日本木管コンクール、日本学生音楽コンクール等の審査員も務めている。これまでに故木下芳丸、金昌国、佐久間由美子、名雪裕伸、アラン・マリオン、フィリップ・ピエルロの各氏に師事。アジアフルート連盟理事、京都市交響楽団副首席フルート奏者。

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