THE FLUTE 165号 | close up 2

酒井麻生代 “必ず持ち帰る”ライブな日々 

LIVE Report
酒井麻生代 2ndアルバム「展覧会の絵」発売記念ライブ

2018年8月29日@渋谷 JZ Brat

【出演】酒井麻生代(fl) 、納谷嘉彦(p)、俵山昌之(b)、大坂昌彦(ds)、小畑和彦(g)
【曲目】《1st》私のお父様、展覧会の絵、ヴァイオリン協奏曲 二長調、白鳥の湖、タイスの瞑想曲、アラゴネーズ 「カルメン」組曲より
《2nd》G線上のアリア、小フーガ ト短調、別れのワルツ、パバーヌ、ファランドール「アルルの女」第組曲より、《アンコール》ダッタン人の踊り

酒井麻生代

この日のライブチケットはSold Outとなっていて、客席も満員。とても賑やかで和やかな大人のライブスペース・Jz Bratにて演奏は始まった。
今回リリースされた酒井麻生代のニューアルバムは、クラシックの名曲からのジャズアレンジもの。とはいえ、実際は“ジャズアレンジ”の一言では括れないくらい、いろいろな音楽の要素が満載で色彩豊か――まさに「展覧会の絵」のような1枚なのだ。

酒井麻生代


ボサノヴァあり、レゲエあり。あのクラシック曲をこんなふうに聞かせるんだ……どの曲を聴いても、そんな新鮮さに溢れている。それはアレンジの妙でもあり、また酒井やバンドメンバーによるアドリブの素晴らしさによるものでもある。

アレンジを手がけたピアニストでもある納谷嘉彦氏は、「クラシックの印象的なフレーズを残してアドリブすると、印象的なジャズになる」とMCで話していた。なるほど、オリジナルの印象的な部分は壊さないように、それでいて格好いいジャジーな表現になっているところが“酒井麻生代らしい”音楽の一つなのだな、と妙に納得するのだった。

印象に残った演奏は、実はタイトル曲よりも『白鳥の湖』だ。アップテンポで激しいリズムに乗った「白鳥」は、情熱的なダンスを踊るかのような音楽に生まれ変わっていた。そしてそれに続く、スローでメロウな『タイスの瞑想曲』。落ち着いた大人の空間にぴったりの演奏に、客席からも惜しみない拍手が送られた。

1作目のアルバムより、さらに進化した音楽と自分自身が今回のアルバムに反映していると酒井は先の雑誌インタビューで語っていた。クラシックのリサイタルにはないMCも堂に入り、ジャズの世界で日々技を磨いていることが感じられる一夜だった。

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