サックス記事 Super Custom & Super CustomX Debut!
  サックス記事 Super Custom & Super CustomX Debut!
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Review by DAVID NEGRETE

Super Custom & Super CustomX Debut!

GEAR

国内外のプロ、アマチュアを問わず絶大な支持を得たWood Stone New Vintageシリーズ。New Vintageシリーズの誕生から約10年の時を経て、この度、新たなステージへと昇華したアルトサックス“Super Custom”&“Super Custom X”が誕生し、すでに多くのサックス奏者の注目を集めている。
そこで、New VintageシリーズのテナーとWood Stoneソプラノサックスを愛用し、ジャズを中心に多様なフィールド・ジャンルでの演奏活動を展開するデイビッド・ネグレテさんに、音色、操作性、音程などの観点から、Super Custom & Super Custom X各モデルの特徴について深く掘り下げ感想を語ってもらった。

(取材・文:ねじ助/取材協力:石森管楽器)

 

PROFILE:デイビッド・ネグレテ
アメリカ合衆国、カルフォルニアロングビーチ出身。1984年生まれ。サンディエゴに移り、チャールズ・マクファーソン氏、グレゴリー・ポータのプロデューサーとしても知られる、カマウ・ケンヤター氏、地元のジャズミュージシャン育成に力を注ぐギルバート・カステラノス氏に師事。
2004年、全額奨学金でボストンのバークリー音楽院に入学。卒業後はニューヨークへ移り、演奏活動を続ける。
2011年に日本へ移住し、2016年1stリーダーアルバム『トライブオブD』をリリース。サックス奏者、そして作曲家として活動を続け、デイビッド・フォスター氏の日本公演、ASKA氏のワールドツアーにソロプレイヤーとして参加。挾間美帆氏と大西順子氏の丸の内コットンクラブ公演、MISIA氏、Chris Hart 氏の公演ではホーンセクションのメンバーとして参加している。ジャズにとどまらず、多くのジャンルで活躍し、その美しい音色と緻密なアドリブは唯一無二のサウンドと好評を得ている。2024年7月2ndアルバム「WHISPER」をリリース。2025年1月3rdアルバム「Live at The Moment」をリリース。
[ホームページ]https://davidnegrete.net

 

Wood Stone Alto Saxophone Review

左よりSuper Custom_VL、Super Custom X_VL、Super Custom X_GL

Super Custom(VL)
SC(スーパーカスタム)/VL(ヴィンテージラッカー)

基本的に上から下までレスポンスがすごくタイト。反応良く音が出てくれる感じです。特にLowレンジの「ソ、ファ、ミ、レ、ド」あたりの音域が最高です。LowDが綺麗に出てくれます。吹きやすく、音も柔らかくてクリアな中にあたたかさも感じる音色です。僕はフラジオ音域ではHighGが一番難しく感じますが、すごく出しやすい。サイドキィでのHighE音やB音も結構好きな鳴り方です。例えばビッグバンドのリードアルトで、小さくB音を吹く時も綺麗に音が鳴ってくれる。吹き方に迷う感じが全くなくて、とにかく音を鳴らしやすい。それは音量的な話ではなく、あたたかく柔らかな音色だからこそという印象です。
アルトで長らく使っているマークⅥは、スーパーカスタムヴィンテージラッカー(以降SC_VL)に比べてパッドがハイアクションに感じます。本当にそうだかわりませんが、SC(スーパーカスタム)は、パッドとトーンホールの距離が短く感じるほど反応が素早く、速いテンポの曲でもフィンガリングがとてもスムーズです。
ヴィンテージのマークⅥという楽器は有名で、みんなもリスペクトしていますし、楽器のレベルも高いと思うのですが、 SCはマークⅥとすごく似ています(笑)。でもピッチは断然 SCのほうがいいし、なにより新しさがあるSCに魅力を感じます。

Super Custom X(VL)
SCX(スーパーカスタム エックス)/VL(ヴィンテージラッカー)

SC_VLに比べて音色はこっち、スーパーカスタム エックス ヴィンテージラッカー(以降SCX_VL)のほうが音のインパクトがより大きい印象です。SCX_VLもSC_VLと同じようにLowがすごくあたたかい音色で、音のレスポンスもタイトです。中音域のBからDまでの間もとてもスムーズで、アーティキュレーションに素早く反応して、「パー」っと、歌うような感じで自然に音が鳴ってくれます。SC_VLが倍音たっぷりなのに対して、SCX_VLは音に遠達性があって、まとまっている感じ。音のコアがはっきりしていて「ドーン」と鳴る。優しい、あたたかい音も出てくれるけど、「楽器自身のパワーが出ている」そんな感覚です。
低い音を小さいボリュームで吹いてもレスポンスが素晴らしく、ハイノートとかフラジオも、「カーン」って歌うような感じに鳴る。ピッチの良さやキィアクションはSC_VLと一緒で、ハイレスポンスです。しかし、SCXはなんと言っても「ドーン」という鳴りが魅力です。

Super Custom X(GL)
SCX(スーパーカスタム エックス)/GL(ゴールドラッカー)

いいですね。最高です。キィアクションは、SC_VL、SCX_VLとまったく一緒でハイレスポンスです。音色は、SCX_VLのように「ドーン」というパワーがあります。SCX_VLのウォームで丸みのある音に比べて、スーパーカスタム エックス ゴールドラッカー(以降SCX_GL)はブライトで、エッジも少し加わる印象です。基本的に僕の音色は、ポール・デスモンドのような感じだと思うのですが、自分ではもう少しブライトな音色が良くて、まさに最近そういう楽器を探していました。特にLowは、「ドーン」と大きい音が出ますね。またこれもSC_VL、SCX_VLと共通していることで、全音域で音色に均一性があって音の鳴りに全然ムラがない。ピッチもすごくいい。中音域C♯音とD音のインターバルに音色差がなくて、音程もいですね。
SC_VLはもう少し優しいくフワっとした音色の感じ、それに比べるとSCX_VLはコアが太く音圧が強いという印象。SCX_GLは、力強くブライトでさらにエッジが加わったそんな音色です。

 
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