サックス記事 Wood Stone CLASSIC LIGATURE×寺地美穂
THE SAX vol.106

Wood Stone CLASSIC LIGATURE×寺地美穂

常にハイスペックなサックスアイテムを創り出し、新製品がラインアップされるたび世界中のサックス奏者の注目を集めるWood Stoneブランドより、新型リガチャー「Wood Stone CLASSIC LIGATURE」が発表され、様々な大きさのリガチャーに対応するべく日々開発に力を注いでおり、発売に向けて着々と準備が進んでいる。そこで、ソロサックスプレイヤーとして、また数々のトップミュージシャンとの共演と幅広く活躍する多彩なアーティスト寺地美穂さんに新型リガチャーを試奏してもらい、音色や吹奏感などそのスペックを検証してもらった。

寺地美穂さんセッティング

写真1
写真2
写真3
 
●アルト(写真1)
[本体]Wood Stone Alto New Vintage WSA- BN(ブラックニッケル)
[マウスピース] RETRO REVIVALEric Marienthal Special Metal GP 7番
[リガチャー] Wood Stone CLASSIC LIGATURE GP/[リード]Wood Stone 3番
●テナー(写真2)
[本体]Wood Stone Tenor New Vintage VL(ヴィンテージラッカー)
[マウスピース] RETRO REVIVALEric Marienthal Special Metal GP 7番
[リガチャー]ロブナー(マウスピース付属)/[リード]Wood Stone 2½番
●ソプラノ(写真3)
[本体]Wood Stoneソプラノサックス・プロトタイプ(今回試奏時に使用 )
[マウスピース]Wood Stone Super Custom Artist TOKI 7番/リードWood Stone 3番
 
 
寺地さん使用のWood Stone CLASSIC LIGATURE GP
 

楽器が上達したような気分

寺地さんは早速アルトのセッティングでWood Stone CLASSIC LIGATUREをお使いだということですが、このリガチャーを付けて吹かれたときの印象をお願いいたします。
寺地美穂
(以下寺地)
息がスッと入りやすくて、軽い息を入れただけですぐにリードが振動し始めるのを唇で感じます。吹奏感も軽くスムーズです。繊細な表現やアーティキュレーションがとても簡単にできるので、楽器が上達したような気分で、「これはもう手放せない!」という感想です(笑)。
音色についてはどうですか?
寺地
いままで使っていたリガチャーよりも“シャー”という明るい音、倍音が聞こえて音がフワッと太くなった印象です。いま使っているマウスピース“レトロリバイバル エリック・マリエンサル スペシャル”は、中低音がよく鳴り充実していて、でも高音域の倍音をたくさん含むハデなタイプではなく、わりと控えめな音色のマウスピースなんですが、その控えめなところに、「シャー、シュワ〜」という音が混ざることで、よりリッチな音に感じられ、「太いけど明るい」そんな音色を感じるようになりました。

リードの番手を少し薄くしたように感じる

CLASSIC LIGATUREを使って録音、収録された音を聴いてみてどのような感想を持たれましたか?
寺地
いままでアルト本体はWood Stone New VintageのVL(ヴィンテージラッカー)をメインに使っていたんですが、ライブ録音を聴き返したとき、ちょっとライトな鳴りに感じたんです。そこで「これはもしや!」と思って、ヘヴィーな鳴りで、楽器感というかキャラクターが強かった印象のWSA-BN(ブラックニッケル)に合わせてみたらバッチリだったんですよ。慣れた楽器は、楽器自体を吹いている感覚を忘れさせるような気持ち良さがあるんですが、その状態を感じたんです。「これは本番に使える! 勝負の時に使えるセッティングに仕上がった !」と思ってこの1ヶ月、大事な本番やライブで使ってみました。その結果、New Vintage ブラックニッケルのポテンシャルもより発揮されて、音の輪郭がはっきりしているけど硬くない、私の出したいと思うウォームで太さもある音に近づきました。
重厚感のある響きのブラックニッケルに軽やかに鳴るCLASSIC LIGATUREが相性よくマッチしたんでしょうか?
寺地
そうですね。他の方も言われているみたいなんですが、このリガチャーは「リードの番手を少し薄くしたように感じる」と。確かにその感覚がとてもよく解るんです。ただし、実際にリードの番手を薄くしてしまうと、音色そのものやピッチ感も変わってしまって、3番のリードを2 ½番へとは気軽に変えられなかったりしますが、同じリードで自分の欲しい音を出しつつ、息も入りやすく吹奏感がスムーズになるということをすごく感じました。

音が長く滞空している感覚

マウスピースに元々付属していたリガチャー(ロブナー)と吹き比べてみてどうでしょうか?
寺地
元々付属していたロブナー(写真4)のリガチャーも、もちろん悪くはないんですが、ちょっとモコっとしていて、腰の低いところで鳴っている感じがあります。対してCLASSIC LIGATUREは音の幅が広いですね。吹いている感覚も全然違って、上のほうで空間に広がるような鳴りを感じます。キラキラ感が増す響きです。
なにより吹き心地が軽いので、持久力の求められるリハやステージでも気持ちよく吹き続けられるのがいいですね。
寺地さんはレッスンで生徒さんに教えられる際は、ラバーマウスピースのメイヤーもお使いとのことですが、メイヤーのマウスピースでもCLASSIC LIGATUREを試していただけますか?
寺地
まずはメイヤーに元々付いている付属リガチャー(写真5)を試して、その後CLASSIC LIGATUREを試奏してみます。
(♪寺地:メイヤー付属リガチャー試奏に続き、CLASSIC LIGATUREのブラスタイプとコパータイプ(写真6)を試奏)
写真4
写真5
写真6
 
比較してみての感想はどうでしょうか?
寺地
今回試奏したメイヤー付属リガチャーも良い個体のリガチャーではありますが、音色の違いは明らかですね。CLASSIC LIGATUREは、ブラスもコパーもエコー感がすごいです。音が残るというか、長く滞空している感覚です。音の輪郭の外に「ザワザワ、シュワ〜という音」付帯音っていうのかな? それこそエコーのような成分がありますね。だから吹いていて気持ちいいんでしょうね。
音色はコパーのほうがより好みです。ウォームな部分が詰まった艶っぽい甘い音色で、ラバーマウスピースの旨味を引き出してくれる感じがすごくしますね。
それと、音が出るまでのレスポンスです。0位置(ゼロいち)つまり息を吹き込んでから音が出るまでの間隔、無音から音が発せられるまでの隙間が狭い。普通のリガチャーだと、もっとこの隙間を広く感じるんですが、それがほぼないに近い。ここが一番すごいところですね。ため息がそのまま音になる感じです。

楽器との距離感が近づく

続けてテナーとソプラノ用のCLASSIC LIGATUREも試奏をお願いいたします。なお、ソプラノについては現在開発中のWood Stoneソプラノサックス・プロトタイプ(写真3)でお願いいたします。
(♪寺地:ソプラノ、テナーと続けてCLASSIC LIGATUREを試奏)
寺地
まずソプラノ本体ですが、これもすごく音が広がっていきます。まとまり感があって音が太く艶っぽくて、これも自分が上手くなったような気がしますね。
リガチャーについてですが、ソプラノ、テナーともに楽器との距離感が近づく感じです。スッと息が入って行って、息を入れたらすぐリードが振動し始めリードが自由に動いている感覚にすごく開放感を感じます。ppで吹いた時の音の出しやすさ、反応の良さが素晴らしいですね。音の立ち上がりが断然速いです。
音色はアルト、ソプラノ、テナーとも共通して、音の輪郭の外に「ザワザワ、シュワ〜」という音を豊かに含んでいて空間全体に広がるような明るい音色です。テナーではサブトーンも出しやすく低音域でよりザワザワした音色になって吹いていて気持ちいいですね。
テナーはまだCLASSIC LIGATUREを使っていないので、今すぐほしくなりました(笑)。
実際の寺地さんの試奏の音を聴いてCLASSIC LIGATUREの音色の特徴がとてもよくわかりました。ありがとうございました。

〈寺地美穂 試奏:Wood Stone CLASSIC LIGATURE〉
寺地さんがメインで使用のRETRO REVIVALEric Marienthal Special マウスピースにWood Stone CLASSIC LIGATUREを取り付けての試奏に加え、 Altoのジャズ系マウスピースの定番メイヤー5MMと CLASSIC LIGATURE コパーモデルの組み合わせでの試奏を実施。
Eric Marienthal Special 、メイヤーともに付属の純正リガチャーと、Wood Stone CLASSIC LIGATUREの吹き比べを収録。Wood Stone CLASSIC LIGATUREの音色をじっくりチェックしてみよう!

 

「CLASSIC LIGATURE」に関する最新情報は、公式ホームページ、各種SNS(Twitter、Instagram、Facebook)にて発表予定! 続報をお待ちください。
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PROFILE
寺地美穂(てらちみほ)

高校の吹奏楽部でアルト・サックスを始め、ニューヨーク留学中に演奏活動を始める。
2016年ビクター・エンタテインメントよりメジャーデビュー・アルバム「Beautiful Magic」をリリース。米米CLUBのフラッシュ金子がプロデュースを担当し、豪華ミュージシャンが参加するスムース・ジャズ・アルバムとして話題になる。
サックス・ユニットsax tripletsの1stアルトサックスを担当し、サックス界の巨匠・小池修氏をプロデューサーに迎え計4枚のアルバムをリリース。
2016年よりサックス専門誌にて企画連載を務める他、キャンディー・ダルファー、デイヴィット・サンボーン、メイシオ・パーカーなど数々の来日アーティストの取材・翻訳も務める。
エリック・ミヤシロ氏率いるBlue Note Tokyo Allstar Jazz Orchestraのメンバーとしてデヴィッド・サンボーンやボブ・ジェイムスとの共演を果たす。
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