「スタン・ゲッツ 音楽を生きる」

村上春樹が翻訳を熱望したスタン・ゲッツの傑作評伝

どんな苦境にあっても、その音色は限りなく美しい。ボサノヴァなど新しいスタイルを常に取り入れ、第一線で半世紀近く活躍したスタン・ゲッツ。薬物やアルコールに溺れていても、ひとたびステージに上がれば自由自在な即興が冴えわたり、どんな楽曲も美しく演奏せずにはいられない。
そんなスタン・ゲッツの半生を「スタン・ゲッツ 音楽を生きる」で描いた作者のドナルド・L.・マギンは1927年生まれの作家、ビジネスマン。ディジー・ガレスピー、マックス・ローチ、ソニー・スティット、ローランド・ハナ、ユービー・ブレイク、ロバータ・フラックなどのジャズ・コンサートをプロデュースし、カーター大統領政権下のホワイトハウスで3年間勤務した経験も持つ。
そしてその翻訳を手掛けたのは、ジャズマニアとしても名高い日本を代表する作家である村上春樹だ。高校生の時にレコードを買って以来、スタン・ゲッツの音楽を愛し続けてきた村上が、いつの日か翻訳したいと願ってきた傑作評伝。テナーサキソフォンの巨匠、その熾烈な人生の業に迫る一冊だ。

「スタン・ゲッツ 音楽を生きる」
[ドナルド・L.・マギン 著/村上春樹 訳/新潮社/定価¥3,200(税別)]

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