THE SAX vol.113 Gear Report

ユッコ・ミラーが、話題のエディ・ダニエルズ監修《エクスプレッションズ》リガチャーをレビュー!

2020年に完成し、じわじわと評判になっている《エクスプレッションズ》リガチャー。製作者のデイヴ・ノックス氏の試作品が、クラリネットおよびサックスの巨匠として知られるエディ・ダニエルズの手に渡り2人の共同開発となった。革リガチャーと金属リガチャーの良さを併せ持っていることが特徴で、ゴールド、カーボンファイバー、ブルー(アルミ)、そして5月に新発売するプラチナの4種類のプレートから選ぶことができるのも興味深いところ。そこで今回は、実力派サックスプレイヤーでありサックスYouTuberとしても大人気のユッコ・ミラーに、ラバー用とメタル用の合わせて8種類を試奏してもらった!(取材協力:ブレーン株式会社)

ユッコ・ミラー
三重県伊勢市出身。3歳よりピアノを始め、高校で吹奏楽部に所属しアルトサックスを始める。2016年にリリースしたメジャー1stアルバム「YUCCO MILLER」は、グラミー賞受賞アーティストのロニー・プラキシコがサウンド・プロデュースを務めニューヨークで録音。2018年からはYouTuberとしての活動も展開し、現在ユッコ・ミラー公式YouTubeチャンネルのチャンネル登録者は20万人を超え、総再生回数は4000万再生回数を突破(2022年11月時点)。地上波人気テレビ番組への出演、テレビCM音楽の作曲・演奏、アパレルブランドのPVに主演モデルとしても出演するなど多方面で活躍している。また、Jazz Page人気投票サックス部門で第1位を獲得、「楽器店大賞2021」のサックス部門で大賞を受賞するなど、インストゥルメンタル・アーティストとして類希な人気を集めている。最新アルバムは2022年12月リリースの「City Cruisin’」。

 

リガチャーは信頼のおけるものしか使わない

まず、ユッコさんはリガチャーの重要性について、どんなふうに考えていますか?
ユッコ・ミラー
リガチャーは自分の中ではとても大事だと思っていて、サックスを別の楽器に変えるよりも音色とか吹き心地に影響してくるような気がします。自分のなかではリガチャーはすごく信頼のおけるものじゃないと使いたくないというか、使えないと思っているんですよ。
普段ご使用されているセッティングを教えていただけますか。
ユッコ
楽器はヤマハのYAS-62の初期型でラッカー仕上げです。マウスピースはメイヤー5MM、リードはバンドーレンZZの2½です。
ちなみにこのエディ・ダニエルズ《エクスプレッションズ》リガチャーはご存じでしたか?
ユッコ
ちょうどこの前、楽器店で見てかっこいい!と思っていました。

衝撃的に音が飛ぶプラチナ

それでは1つずつ試奏していただいた感想をお聞きしたいと思います。まずラバー用のゴールドから。
ユッコ
ゴールドはすごく艶やかで、明るい音で響いてくれる感じがして、マイクにも乗りやすいんじゃないかな、と思いました。そして、心地良く、ある程度の抵抗感があります。
明るい、暗いで言うとどのタイプですか?
ユッコ
明るいですね。これが一番明るいってわけじゃないですけど、明るい部類に入るんじゃないかなあと。
次にカーボンファイバーはどうでしょうか。
ユッコ
私は見た目がゴージャスなやつが好きなんで地味な感じなのかなと思ったんですけど(笑)。でも吹いてみたら「あれ!?」と思って。めっちゃ密度が濃い感じ。無駄がなくて、その上しっかり鳴ってくれます。「明るさ」はゴールドより少し落ちるかもしれませんが。
抵抗感はどうですか。
ユッコ
ゴールドに比べると抵抗感は軽いです。軽めな感じだけど、ペラペラしてない。でも密度が濃いから不思議です。
では、ブルーアルマイトという素材のブルーはどうでしょうか。
ユッコ
すごく軽いんですよ! びっくりですね。息を入れたらすぐに音が鳴ってくれて。しかも思ったより音量がしっかり出ていて、抵抗感もそんなにないですね。ダイレクトに音が鳴ります。吹いていて、すごく楽しいですね。
音色はダーク、ブライトで言ったらどちらでしょうか。
ユッコ
完全なるブライト。ブライトというかライト!
最後に新製品のプラチナはどうでしょうか。
ユッコ
初めてプラチナのリガチャーを使ってみたんですけど。すごいですね(笑)! やー、これはすごい! どれだけ息をいっぱい入れたり出したりしてもしっかり支えてくれてしっかり良い音にしてくれます。なおかつしっかり遠鳴りというか、音が遠くに飛んでいく感じにとてもびっくりしました。
音色の明暗で言うとどうでしょうか?
ユッコ
ゴールドのほうが明るいのかもしれないですね。プラチナはいぶし銀の感じがするというか。
抵抗感はどうですか?
ユッコ
抵抗感はしっかりありますね。だけど、吹くのがつらいとかは全然なくて。薄いリードを使ったとしても、太い音にしてくれそうな気がします。えー、欲しいー!!!

速いフレーズが吹きたくなるブルー

それでは続いてメタル用の《エクスプレッションズ》リガチャーを試奏していただきます。メタルのマウスピースは何を使用していますか?
ユッコ
最近は、デュコフのマイアミフロリダのD6です。
では、こちらもまずゴールドから試奏した感想をお願いします。
ユッコ
すごく華やかで、きらびやかで、抵抗感もしっかりあってマウスピースの持っている力を増幅してくれるような感じがしました。で、音はブライト。
次にカーボンはどうでしょうか?
ユッコ
ブルーはもうげきかるです(笑)! ちょっと音を出しただけですぐに反応してくれて、すべて拾ってくれる。ちょっと息を入れただけで速いフレーズもパパパパーンと吹けてしまいます。レスポンスが速いんです。
最後はプラチナですが、どうでしょうか?
ユッコ
抵抗感的はゴールドとほぼ一緒ですね。ゴールドよりも若干抵抗感があるかなあというぐらいです。音の響きが、やっぱりいぶし銀。そしてゴールドの華やかさと違って、真っすぐ音が飛んでいく感じがする。いやー、すごいですねー! 楽しー!
ラバー用とメタル用を吹かれて、それぞれの特徴や違いなど何か感じましたか?
ユッコ
ラバーの時のプラチナのすごさに、ちょっと感動しました。YAS-62は軽めに鳴る楽器ですしメイヤーも優しい音が出るのに、こんな音圧が出るんだってびっくりしました。しかもリードが2½なのに、すごく分厚いリードで吹いているかのような音の太さでした。なので欲しいなあって(笑)。
今日の一番を選ぶとしたらどれでしょう?
ユッコ
すごく迷うんですけど、今日イチはラバー用のプラチナで、その次はメタル用のゴールドですね。

あえて鉄板のゴールドを使わない面白さ

ユッコさんは両方のスタイルを持っていますが、アコースティックなジャズと、フュージョンやファンクそれぞれのジャンルで、おすすめのリガチャーはありますか?
ユッコ
フュージョン・ファンクはやっぱりメタルのゴールドが鉄板だとは思うんですけど、逆にカーボンやブルーを使ってパッキパキに(笑)! 突き刺さるような立ち上がりが出せるので、そっちはそっちで使えそうですね。
アコースティックなジャズに使うとしたら?
ユッコ
ラバー用のゴールドじゃないですかね。だけど、私はけっこうプレイがブローする感じなので、選ぶとしたらプラチナですね。それでもゴールドで全然いけるんですけど、音の太さがやっぱり衝撃だったので。
それぞれ持っているといろいろ使い勝手がありそうですね。
ユッコ
はい。器用な人は使い分けたらいいかなと思います。私は不器用ですけど(笑)。もう、感動しましたね!
ありがとうございました。
 

※編集部注:今回はメタルのマウスピースでの試奏の際にソプラノ用も使用した。メタル用は細めのマウスピース向きであるため、マウスピースのメーカーや種類によってはサイズが合わない場合もあるので、その際はソプラノ用を試してみてもいいだろう。

 

ユッコミラーが
《エクスプレションズ》リガチャー8種類を吹き比べ!

Eddie Daniels EXPRESSIONS LIGATUR Lineup

エディ・ダニエルズ 《エクスプレッションズ》リガチャー ラインナップ
(ラバーマウスピース用・メタルマウスピース用/アルト用・テナー用ほか共通)

エディ・ダニエルズ エクスプレッションズ
プラチナ
[価格]¥31,900(税込)
[仕上げ]プラチナプレート
エディ・ダニエルズ エクスプレッションズ
ゴールド
[価格]¥28,600(税込)
[仕上げ]14金メッキプレート
 
エディ・ダニエルズ エクスプレッションズ
カーボンファイバー
[価格]¥26,400(税込)
[仕上げ]カーボンファイバープレート
エディ・ダニエルズ エクスプレッションズ
ブルー
[価格]¥22,000(税込)
[仕上げ]ブルーアルマイトプレート
 
※各モデル共通 [付属品]シリコンキャップ、スウェード巾着袋 [素材]非伸縮性合成布(ネオプレン)製 [仕様]逆締め、ワンスクリュー
 
【問合せ】総輸入元:ブレーン株式会社
〒733-0035 広島県広島市西区南観音3-10-30
TEL.082-293-9108
https://www.brain-shop.net(ブレーンオンラインショップ)
 
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