音を寄せ、充実した響きを得るためのサックスパートのために
©M.IKEDA夏に開催される吹奏楽コンクールは、吹奏楽に携わる人にとっての一大イベント。コンクールに向けてすでに始動しているスクールバンドや団体も多いだろう。
今年からはA編成における人数の緩和もあり、出場部門を変えてチャレンジする団体も多いのではないだろうか。
吹奏楽のサックスパートは、ソリスティックな音色で奏でるだけでなく、木管と金管楽器をブレンドさせる重要な役割がある。そこでどうすれば融和の役割を果たせるようになるのか——今回はここにスポットを当て、吹奏楽のサックスパートについて考えてみよう。
解説・執筆を担当してくれたのは、Quartet颯、タッド・ウインドシンフォニー、銀河管弦楽団、ハーツウインズのメンバーとして、演奏・指導に携わっている瀧上典彦氏だ。
最初に瀧上氏が吹奏楽と関わったきっかけや、実際の現場でどのように演奏しているのかをインタビューした。木管楽器としての役割だけでなく、金管を支えるパートとしてサックスパートに求められるものは多い。
吹奏楽との出会いは高校生
中学校の吹奏楽部で楽器を始める人が多い中、瀧上氏は高校に入ってからだった。
瀧上「中学校ではサッカーをやっていたのですが、姉がクラリネットを持っていたり、リコーダーも好きでしたし、ギターを触ったりと、音楽は好きでした。サックスに興味が湧いたのは 同級生の家に行ったときに聴かせてもらった渡辺貞夫さんのアルバム「RENDEZVOUS」です。この音色はどんな楽器が奏でているんだろうと興味を持ちました。それがサックスという楽器とわかり、高校に入る前に吹いてみたいと思うようになったのです」
初心者の瀧上氏だったが、サックスを希望した女子生徒たちが譲ってくれたこともあり、親友とともにサックスを担当することになった。
瀧上「初心者だったから最初はロングトーンばかりでしたが、それも楽しくて熱心にやっていました。合奏でも出せる音だけをロングトーン。ほかのみんなが違う練習を始めたら、僕は隅っこでロングトーンでした」
ところがロングトーン生活から一転、部活の事情でパーカッションを担当することに。
瀧上「パーカッションは1年生の秋ごろまでやっていました。主にシンバルでしたがとても楽しかったです。それからサックスに戻ったんですが、当然パートの他の人よりも遅れていました」
ところがラッキーなことに、当時部活を指導していたのは名古屋芸術大学をサックス専攻で卒業した音楽の先生だった。
瀧上「秋にサックスに戻ってからは、毎週先生のところに通ってサックスを習うようになりました。僕の通っていた学校の吹奏楽部は活動が盛んで、NHK交響楽団で活躍され東京藝術大学教授を務めている栃本浩規さん(Tp)、キャトルロゾーSEで活躍され、洗足学園音楽大学教授の岩本伸一さん(Sax)がいらっしゃいます。そういう先輩たちの後を追っかけるようなつもりで、自然と音楽大学を進学先に希望するようになりました」
楽器を始めた頃は、進学に音楽大学という選択肢があるとは思っていなかったという。
プレッシャーが抜けて
サックス歴が2年半ほどで、音楽大学を進学先に決めた瀧上氏。国立音楽大学に入学し下地啓二先生に、大学院で石渡悠史先生に師事し研鑽を積む。また、国立音楽大学といえば、吹奏楽にも力を注いでいる大学だ。特に管楽器専攻の3、4年生の選抜で構成されるブラスオルケスターは、その実力も評判も高い吹奏楽として知られている。
瀧上「ブラスオルケスターはインスペクターを任せていただいたこともあって、プライドを持って活動していました。高校時代に初めて吹奏楽に接してから、“吹奏楽ってなんて面白いんだろう”と楽しみながらやっていましたが、大学に入ってからは楽しさだけではなく、“うまくならなくては”という思いもありました。吹奏楽のエキストラなどお仕事をいただくようになると、迷惑をかけてはいけない、上手く吹かないといけないという気持ちもありました。でも今はそのプレッシャーが抜けてきたというか、それをばねに入魂できるようになってきたように思います」

瀧上典彦
Norihiko Takiue
岐阜県高山市出身。国立音楽大学卒業演奏会、同大学院修了演奏会に出演。ソリストとして国立音楽大学オーケストラ、名古屋芸術大学ウインドアンサンブル、オーケストラアンサンブル金沢、ムジカクオーレフルートアンサンブルと協奏曲を演奏。CD「SECOND TO NONE」にて2曲の協奏曲を発表。シャルル・デュトワ、ユーリ・テミルカーノフなど世界的な指揮者の元、チェコフィルハーモニー交響楽団、サンクトペテルブルグフィルハーモニー交響楽団など公演に出演。
2018年CD「QUARTE HAYATE」をプロデュースし、レコード芸術誌にて特選盤に選出され、その芸術性が高く評価された。同年ハンガリーのバルトークホール、クロアチアでの世界サクソフォーンコングレスでリサイタルを行う。
2019‐2020年、東京・名古屋・宇都宮・筑波・高山の5都市でリサイタルツアーを開催し、いずれも好評を博す。指導にも注力し、全日本アンサンブルコンテストでの2025年から2年連続金賞団体、またソロコンクールでの優勝・入賞者を輩出している。
クァルテット颯、銀河オーケストラ、TADウインドシンフォニー、ハーツウインズ、各メンバー。下地啓二、石渡悠史、冨岡和男、岩本伸一、小坂法幸、故ダニエル・ディファイエの各氏に師事。国立音楽大学、同附属高等学校講師。(株)ビュッフェ・クランポン契約講師。一般社団法人日本サクソフォーン協会運営委員。














