吹奏楽wind-iオンライン記事:田中靖人の吹奏楽サックス A to Z 第11回 | コンクールの経験を活かそう!
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田中靖人の吹奏楽サックス A to Z 第11回 | コンクールの経験を活かそう!

THE SAX vol.61(2013年9月25日発刊)より転載 

コンクールの経験を活かそう!

吹奏楽コンクールに参加したことのある皆さんも、はじめてコンクールに参加する皆さんも、仲間でチャレンジするまたとない機会です。コンクールで経験したことはその後の演奏にも役立てたいですね。良い経験にするためにも疑問はいまのうちに解消しておきましょう。田中先生がビシっとお答えします!

 

Q. どんな響きが「いい演奏」?
私はコンクールなどで、最後に「バンッ」と演奏が終わった直後のホールの響きの余韻がたまらなく気持ち良くて好きです。演奏している側の田中さんは、どんな響きに魅力を感じているのでしょうか?

A. 客席との一体感を感じられると充実感がありますね
ホールによっていろいろな響きがしますが、演奏する側としては、響きより空気を感じています。それは聴いているお客様の空気ですね。ステージに入った時に空気が自分たちに向かう感じ、演奏中や終わった瞬間もそうですが、音楽に集中してそれをお客様へ伝える意識を強く持つことで、自分と一体になっている空気を感じることができれば、そのコンサートは「良かった」と感じられます。

 

Q. コンクール前なのにイベント演奏が……!
顧問の先生が「いろいろな場所で演奏することも大切だ!」という信念を持っていて、コンクール2週間前にある地域のお祭りで、演奏を引き受けてしまいました。お祭りは曲が多いので、コンクールに集中できなくなりそうで怖いです。大切な本番が続く時、田中さんはどうしますか?

A. まずは気持ちの準備からしてみては
いつも余裕がある状態で演奏ができるとは限らないのですが、コンサートで初めての曲がある場合は、少しずつでも早めに練習に取りかかるようにします。
ドキドキするというのは余裕がないからでしょうから、早めに準備するだけでなく、本番時のイメージトレーニングもしてみると少し違うかもしれませんよ。

 

Q. メンバーが燃え尽きてしまいました……
コンクールがいわゆる「ダメ金」の成績で終わってしまい、あんなに頑張ったのに……と挫折感を感じた部員が多かったようです。冬に定期演奏会があるのですが、みんなの気持ちが盛り上がらず練習に熱が入りません。定演に向けてどうやってモチベーションを上げていけば良いのでしょうか。
(ダメ金=金賞は獲得したものの代表には選出されない金賞の通称)

A. ここが大事なところ。みんなで乗り越えましょう
何か月も目標に向かってみんなで頑張ってきただけに、惜しいところで終わってしまったのはとてもショックだったと思います。
どんなことでもそうですが、こういう気持ちの時に、すぐ気持ちを切り替えて次のことへ向かうのは難しいと思います。特に学校のバンドの場合は、今年のメンバーでコンクールに出場できるのは一度きりですから、残念な気持ちはよく分かります。
でも終わってしまって何もなく、はい次のことへ……ではなく、ここでみんなで反省会のような打ち上げ会をやってみてはどうですか?
そこでみんなひとりずつ、ポジティブなことでもネガティブなことでも思い思いのことを話してみると、気持ちも少し整理できて、次の目標である定期演奏会への意欲が湧いてくるのではないでしょうか?
反省会では3年生を中心に、特に部長がリーダーシップを発揮して、良い雰囲気づくりをしてあげましょう。コンクールとは違って、次の目標はもっと楽しいことですから、きっとすぐに良い雰囲気になるでしょう。

 

Q. それぞれの楽器の音色がはっきり聞こえたほうがいいの?
コンクールでいろいろな演奏を聴く機会がありました。クラリネットとサックスの音色がはっきり聴き分けられる団体と、音色が全体的に混じってしまっている団体があると思ったのですが、どちらが良い演奏なのでしょうか。そして、そういった良い演奏をするためにはどうしたらいいのでしょう?

A. 演奏する作品によって音色を作ります
どちらが良いとか良くないかは、その作品の場面にもよるでしょうね。それは音楽的に音が分離したほうが美しい場合と、混ざり合ったほうが美しい場合があるからです。
例えばコンクール課題曲のマーチのトリオでよくある、クラリネットとサクソフォンのユニゾン・メロディだと、美しくブレンドされた音色が良いと思いますが、アグレッシブな現代調の、しかもジャズっぽい雰囲気ならサクソフォンがリードした音色で分離したほうがカッコいいでしょう。
どちらにしても、自分たちがイメージするバランス、音色を目標にリハーサルを繰り返してメンバーが同じ感覚で演奏できるようになることが大切です。

 

Q. 曲選びのポイントは?
社会人の吹奏楽団に所属しています。今年初めてコンクールに参加しました。結果は銅賞……でしたが、自分たちなりに頑張ったと思います。でもコンクールの演奏後、他の団体の人から「選曲が君たちに合っていない気がする」と言われました。今回は団員に人気のある曲を演奏したのですが、楽団に合った曲の選び方というのはあるのでしょうか?

A. 「できることを増やす」選曲を!
団員に人気がある曲でも、自分たちでできるのかどうかを考えることが必要だと思います。
特にコンクールの場合は音楽的なこと、技術的なことを競うわけですから、良い面を出せないと評価も残念なものになってしまいます。
選曲が合っていないというのは曲の良さではなく、今のみなさんにとってチャレンジすることが多すぎる、つまり難しい曲ということなのではないでしょうか?
編成がわからないので具体的なアドバイスは難しいのですが、コンクールでは、自分たちがその時に苦手とする内容は避け、良い面が出せる選曲をするのが良いでしょう。
私が教えている音大の学生にはこう話しています。「演奏したいものが自分の力でできるとは限らない。そのために何が足りないのか、何をすべきなのかをよく考えて小さな目標と大きな目標を立てなさい。そうすれば必ずできることが増えてくる」と。
普段からいろんなコンサートへ行ったりCDを聴いたりして、多くの作品を知ることも大切です。そうすれば自分たちに合った作品も見つけやすくなりますよ。

 

Q. コンクールって、指導者で決まるの?
ズバリ、金賞を取るために必要なのは、指導者の力でしょうか?

A. 学びたい気持ちにさせる指導者が、よいバンドを作るのでは
難しい質問ですが、指導者の力は大きいと思います。セクションごとに指導者がいたり、指揮者にも指導者がいたりといったバンドもよく見かけますが、指導者が良いと、受けているほうももっといろんなことを勉強したいという気持ちになってきますから、大人数だとその効果は大きいでしょうね。それが金賞を取るためなのか、結果として金賞を取ったのかはそれぞれの考え方ですが……。

 

次の目標に向かうためにも、みんなで話し合いをしよう!
田中靖人

※この記事はTHE SAX vol.61 を再構成したものです

田中靖人さん
田中 靖人 Yasuto Tanaka
和歌山県出身。国立音楽大学在学中、第4回日本管打楽器コンクール・サクソフォン部門で第1位を獲得。1991年には「管打楽器ソロ名曲集・サクソフォーン」でCDデビュー。1995年「ラプソディー」、1997年「サクソフォビア」を、03年「ガーシュインカクテル」を、2012年「モリコーネ・パラダイス」をリリース。一方、室内楽のジャンルではサクソフォン四重奏団[トルヴェール・クヮルテット]で活躍。2001年には文化庁芸術祭レコード部門大賞受賞。現在、愛知県立芸術大学、昭和音楽大学講師、礼幌大谷大学客員教授として後進の指導にもあたっている。東京佼成ウインドオーケストラ コンサートマスター。


▷田中靖人オフィシャルホームページ◁

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