サックス記事 所属レーベル時代ごとに辿る 奏法・音色・曲作りの変遷 ~ロリンズ編
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二大テナータイタン ライバル物語 〜徹底比較!! ジョン・コルトレーンvs.ソニー・ロリンズ

所属レーベル時代ごとに辿る 奏法・音色・曲作りの変遷 ~ロリンズ編

ARTIST

一方、ソニー・ロリンズはまったく対照的な印象を受ける。 彼はジョシュア・レッドマンとのインタビューにおいて、若い頃はどのような練習をしていたのかという質問に対して「家のクローゼットで母親が食事に呼ぶまでずっと『意識の流れ(a stream of consciousness)』に任せて吹いていた『フリー・ブローイング』的なものだ」と答えている。(文・採譜:三木俊雄)

 

ブルーノート、プレスティッジ、コンテンポラリー時代

ロリンズのこの時期のレコーディングでは別テイクはほとんど公開されていないが、ブルーノート・レーベルのライブアルバム「A Night At The Village Vanguard」での同曲別バージョンでは演奏の内容はまったく違う。特定のメカニカルなパターンフレーズ、などを練習したような形跡はみられない。まさに「降りて来るメロディ」を楽器を通して歌っているといった印象。ダークでハスキー、時折ささくれだった感じのする音色。テナーのピアノレストリオといえば、大抵聴きながらピアノを頭の中で補完するか、あるいは何かの呪文のようなものを聴かされているようなものが多いが、これはそのまま最高に楽しめる。本当に素晴らしい。
この時期のセッティングは写真で見る限りマウスピースはOtto Link、Brillhartなどメタル、ハードラバー含めいろいろなものが見受けられる。
楽器もプレスティッジレーベルのアルバム「With Modern Jazz Quartet」ではConn、「The Sound of Sonny」およびブルーノート・レーベルの「Sonny Rollins volume 2」ではSelmer Mark Ⅵ、コンテンポラリーレーベルの「Contemporary Leaders」ではKing Super20 Silversonicを使用している。
また、彼の作る曲はコルトレーンのそれとは対照的に「Saxophone Colossus」収録の『St.Thomas』に代表されるような、シンプルでおおらか、そしてファンキーだ(ビバップらしい複雑なメロディとコードチェンジを持った曲としてのおそらく唯一の例外は『Airegin』ではないだろうか)。

「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」(UCCU-46112)
Selmer Mark Ⅵ

複雑なコードチェンジなどを考えることなく降りて来るままに、あるいは湧き出るままに、インプロヴィゼーションを展開する。その彼のスタイルとそれに伴う人気は1957頃に絶頂期を迎えるが、そのわずか2年後の1959年にあのジョン・コルトレーンはまるで別人のような成長を遂げている。おそらく今の自分にあのようなインテレクチュアルでシステマティックなスタイルは無理だろう。しかしジャズシーンはそちらのほうに向かって動いているのではないか……とロリンズはある種の危機感を募らせたのではないだろうか。
また別のインタビューでは「考えながら演奏するなんて無理だよ。本当さ、やってみたんだから。(You can’t think and play at the same time. Believe me, I’ve tried it.)」と語っている。ここで興味深いのはこの“I’ve tried it”。推測ではあるが、彼はこの1958~59年辺りにかけ、特定のコードチェンジを想定した「インテレクチュアルでシステマティック」な練習を相当していたのではないか?

 

<次ページに続く>
・ブルーノート、プレスティッジ、コンテンポラリー時代(続き)
・RCAビクター時代
・インパルス時代
・マイルストーン時代以降

登場するアーティスト
画像

三木俊雄
Toshio Miki

大阪府生まれ。関西大学、バークリー音楽大学卒業。サックスをビル・ピアース、ジョ−・ヴィオラ、アレンジをハーブ・ポメロイ、フィル・ウィルソンに師事。1996年から自己の率いる「フロントページ・オーケストラ」の活動を続け、2004年「Harmony of the soul」をリリースの他、DOUBLE、押尾コータローとのコラボアルバムにも参加。2013年「Stop & Go」は《ジャズライフ》誌「アルバム・オブ・ザ・イヤー」にて第3位を獲得。また、小曽根真率いる「No Name Horses」のメンバーとして作品も提供している。尚美学園大学 非常勤講師。

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