サックス記事 T-SQUARE 果てしないポップインストの大空を羽ばたき続ける J-フュージョン界の不死鳥
THE SAX vol.53 Cover Story

T-SQUARE 果てしないポップインストの大空を羽ばたき続ける J-フュージョン界の不死鳥

我らが伊東たけし(Sax)をフロントに、リーダー安藤正容(Guit)、そして河野啓三(Key)、坂東慧(Ds) という才気溢れる若手二人を加えた4人体制が、すっかり定着したT-SQUARE。そして、30年以上も日本のフュージョン・シーンを牽引してきた この偉大なるバンドから通算38枚目となるオリジナル・ニューアルバムが届けられた。厳しい状況にある今の日本に活力を与えるような元気いっぱいのこの新作について、 今回はメンバー4人全員が集い語ってくれた。写真:土居政則

元気のいいナンバーを持ち寄る方針を決めて集められた楽曲群

ニューアルバムの「WINGS」は明るく華やかで、ハッピー&ピースフルな仕上がりになっている印象を受けましたが、いかがでしょう?
安藤正容
まず、今回は元気のいいナンバーをみんなで書いてこようという方針を最初に決めました。いろんな曲調が浮かんだとしても、とりあえず元気のいいやつを一曲出そうと。そこから曲を集めていって、もちろん他の曲調も出てきたんですが、最終的に元気のいいものがメインになっていきました。
皆さんが曲を持ち寄る時には、すでにかなり完成された形になっているのでしょうか。
安藤
曲によっていろいろですが、(河野と坂東を見て)この二人はだいたい完全なものを出してきます。こうなる予定ですと。まあ、そこからまた変わっていったりもしますが。
アルバムタイトル「WINGS」にはどんな意味が込められているのでしょう。
安藤
タイトルは僕が提案しました。このアルバムに収録している坂東が書いた『The Bird Of Wonder』を昨年末のライブで新曲として披露したんですが、それが頭にあったんですね。 『The Bird Of Wonder』は“不死鳥”という意味ですが、これからも羽ばたき続けるという想いを込めて「WINGS」というのはアルバムタイトルに合うのではないかと考えました。
伊東たけし
伊東たけし
安藤正容
安藤正容
伊東たけし
たけし シンプルで一撃でドンというインパクトがあって、ひとつの言葉からいろんな想像が膨らんでくるT-SQUAREらしくていいタイトルだなと僕も思いました。響きもいいしカラフルで明るい今回のアルバムのサウンドにもマッチしているなと。
ジャケットのデザインも、これまでのイメージとは違った感じのものになりましたね。
安藤
「WINGS」という言葉からは鳥の翼という以外に天使の羽のイメージもあるなと思って、それをスタッフに伝えたらこういうデザインになりました。
伊東
僕は「WINGS」から鳥というイメージは湧いてこないな。天使と言ってしまうと直接的過ぎるかもしれないけど、やっぱりファンタジックな世界ですね。例えばディズニー映画で描かれているような、すべてが微笑ましくて前向きで世界が良い方向に広がっていく感じのイメージです。手かせ足かせに縛られている日々の生活から解き放たれるというようなね。

プロフィール
T-スクェア
1976年に安藤正容を中心に結成し、ほどなくして伊東たけしらが加わり1978年にアルバム「LUCKY SUMMER LADY」でデビュー。フュージョン大ブームの中心的役割を担う。1989年にそれまでのTHE SQUAREというバンド名を、アメリカでの活動の際に使用していたT-SQUAREに変更。その後、何度かのメンバー交替を経て、2004年にはサポートメンバーとして貢献していた河野啓三が正式メンバーに迎えられる。同時に当時22歳の新鋭であった坂東慧も正式メンバーに大抜擢される。現在までにオリジナルアルバムは38枚を数え、国内のみならずアジア各国など海外でも高い人気を誇る。今年でデビュー34年を迎えた、日本を代表するポップ・インストゥルメンタル・バンドだ。


CD Information

WINGS,T-SQUARE
「WINGS/T-SQUARE」
【VRCL-10105〜6】
 初回生産限定 Hybrid Disc (CD&Super Audio CD) +Blu-spec CD(2枚組)
【VRCL-10107】
通常盤 Hybrid Disc (CD&Super Audio CD)
[収録曲] 1.Heroes/2.The Bird Of Wonder/3.The Flight Of The Phoenix/4.Sunshower/5.夏の足音/6.Cheer Up!/7.Tell Your Story/8.Sympathy/9.Flashpacker/10.Fast Break
[演奏] T-SQUARE:伊東たけし(Sax, EWI, Fl)、安藤正容(Guit)、河野啓三(Key)、坂東慧(Ds)/田中晋吾(Bass)

次ページにインタビュー続く
・メンバーの目から見たプレイヤー伊東たけしの魅力とは?
・リズムもアレンジもバリエーション豊かな極彩色のアルバム
・伊東たけしが語るアルバム「WINGS」での使用楽器

登場するアーティスト
画像

伊東たけし
Takeshi Itoh

1954年3月15日生まれ。福岡県出身。大学在学中よりソロ・サックス・プレイヤーとして活動する傍ら、学生ビッグバンドに加入し、コンサート・マスターを務める。数々のコンテストに参加し、多くの賞を獲得。77年にザ・スクェア(現T-SQUARE)に加入し、78年にプロ・デビュー。以来、バンドのフロント・マンとして活躍し、多くのアルバムをリリース。同時にソロ・プレイヤーとしても数々の作品を発表してきた。91年にバンドを退団してソロ活動を開始するが、2000年にT-SQUAREに復帰し、以降も精力的に活動中。2007年に発表したソロ名義のアルバム『Mellow Madness』も好評を得ている。

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