サックス記事

声のように、どんなジャンルにも合う サクソフォーンに魅せられて

THE SAX vol.94 interview 河原塚ユウジ×清水洋之助×西澤はるの

サクソフォーンはどんなジャンルにも対応でき、どんな場面にもふさわしく、また映える楽器だ。ここでは、人々が心から楽しみにやってくる有名テーマパークでの演奏に携わりながら、それぞれ夢や目標を持って音楽活動に励む3人のサクソフォニストを紹介したい。たくさんの人が、彼らの音と演奏する姿を見てワクワクした経験を持っているはずだ。オンラインでは一部抜粋してお送りします。

屋外やショーのサックス奏者として

――
皆さんはそれぞれ精力的に音楽活動を展開されていますが、その活動のひとつとしてテーマパークのバンドで演奏されているそうですね。
河原塚
はい。西澤さんは同じテーマパークでも他の団体になりますが、清水さんとはもう10年以上同じバンドで演奏しています。
西澤
私はそのテーマパークの開園当初から存在するバンドに、テナーサックス奏者として入って6年目になります。
清水
月の半分くらいはそのテーマパークで演奏していますね。ショーではサックスを吹く以外の、例えば動きをつけて吹いたりすることもあるので、いろいろとその場で対応することも多く、勉強になります。
河原塚 ピッコロやフルート、クラリネットと持ち替えての演奏もあったりと大変な部分もありますが、残りの半分は別の音楽活動をすることができるので、ありがたい環境だと思っています。トータルして楽器を吹いていられる時間が長いのは幸せなことです。
――
テーマパークでは、外で演奏することも多いのですか?
西澤
私はずっと外です。暑い日、寒い日、季節に応じた演奏方法を見つけることが必要になります。
河原塚
僕たちはほぼ室内のショーですね。
――
屋外で演奏する時は、楽器やセッティングを変えているんですか?
西澤
始めたころは、セッティングや楽器の問題以前に、音を反射させてくれる壁などがないので周りに音が負けてしまうことで悩みました。一緒に演奏するトランペットやトロンボーンはベルが前を向いているので音がまっすぐ飛んで行きますけれど、その隣でサックスが吹いていても、ベルの向きが違いますから当然音の方向性が違うわけです。室内であればその音を反射させてくれる壁なんかがありますけれど、外だとそうはいかない。
清水
トランペットとトロンボーンとサックスって1つのユニットのような扱いで一緒に演奏することが多いのですが、音の指向性が違いますから苦労することが多いですよね。お客さんには明らかにトランペットやトロンボーンの方が音が大きく聞こえる。屋内で、しかもマイクがあればその辺の調整が効くんですけれど、生でやるとなるとなかなか難しい。
西澤
テーマパークではテナーを吹いていて最初はラバーのマウスピースを使っていたんですが、それじゃあもう音量が間に合わなくて。一番音量が出るマウスピースを探して替えたり、楽器もWood Stoneのサテンシルバーモデル(インナーゴールド)の渋い音色が好きで使っていたけど、自分に少しでも音が返ってくるようにネックだけをゴールドラッカーに替えたり、いろいろと試行錯誤しています。

かっこいい!から始まったサックス人生

――
皆さんがサックスを始めたきっかけを教えてください。
清水
僕がサックスを始めたのは大学に入る直前でした。岐阜出身なんですけど、長良川ジャズフェスティバルで渡辺貞夫さんのステージを見て感激したのがきっかけです。
――
河原塚さんはトランペットから始められたそうですね。
河原塚
父がトランペットをやっていたので、6歳くらいから吹いていました。ニニ・ロッソが好きで『夜空のトランペット』ばかり吹いている、なんとも渋い小学生で。大学に入ってやっとサックスをゲットし、小池修さんのライブを見に行って教えてもらえませんかと直談判しました。それが20歳くらいですね。
――
西澤さんは音楽大学でクラシックを学んだそうですね。
西澤
そうなんです。サックスは吹奏楽部で始めました。母が、小学校の音楽の教員をしていたので、小さい時から音楽は身近にありました。中学校で吹奏楽部に入って、すぐに音を出せたのがサックスだったんです。それから22歳まではクラシック一直線。でも私は、テーマパークで演奏するのが夢でもあったんです。音大時代に1回オーディションを受けたんですが、今の吹き方じゃここでは通用しないと言われて。それも含め、将来サックスでやっていきたければポップスやジャズを演奏できるようになったほうがいいと考えて、21歳の時から河原塚さんに習い始めました。聞くほうとしてもそれまでクラシック奏者ばかりでしたが、他のジャンルにも広げていって。やっぱりキャンディ・ダルファーさんには憧れましたね。
――
同じサックスでも、クラシックとポップス、ジャズでは求められる音が違うので、苦労されたのでは?
河原塚
まずアンブシュアで苦労したよね。
西澤
はい。まだ最中と言ってもいいです。音色も、ノイズや息の音はクラシックではまったく使わないので戸惑いました。セッティングも楽器も考え直さないといけない。ぜんぶやり直しになりました(笑)。でも、今も吹奏楽の指導をする時には、クラシックの吹き方も活用しています。

即戦力、だけど長く付き合えそうな魅力を持った楽器

――
3人とも今はWood Stoneのニューヴィンテージをメインに使っていますね。
河原塚
もう2年近くになります。前はマーク6の14万番台を使っていて、発売前にプロトタイプを試奏させてもらったとき、そっくりだと感じたんです。その時は「究極の予備」だと思いました。マーク6って、現代の楽器ではネジで調整するようなところをコルクの厚みで調整したりしているので、ちょっとずれただけでも専門家に直してもらわないといけないんです。それがネジになったことで自分でちょっと直すことができる、そういうメカニカルなところが現代で、音がマーク6の楽器なんていいとこ取りじゃないか!と。それから発売まで結構待って、市販された当初の1本です。
――
アンティークフィニッシュ(ノーラッカー)を選んだ理由とは?
河原塚
感じ方は人それぞれですが、ヴィンテージラッカーとゴールドラッカーも一緒に改めて吹き比べた時、マーク6に一番近いのがこれだと僕は感じたんです。
買った時、石森管楽器の店長に「3ヶ月吹いたら変わりますよ」と言われました。最初は、少しだけ上の音域の方が強いなぁという印象を受けたんですが、吹いているうちにそれがだんだん降りてきて、3ヶ月経ったら全体が鳴るようになってきたように感じました。もちろん微々たる範囲なんですけれどね。そこからメインで使い始めました。
清水
僕の楽器はヴィンテージラッカー仕上げです。試奏させてもらったとき、とにかくものすごく吹きやすいなと思いました。手にした感じもスッと馴染んでくれて、息を吹き込んだ時もまったくストレスがない。その時は別の楽器と迷っていて、一旦他の楽器を注文したんだけど、もう一度試奏したらやっぱりこちらがよくて……と、本当に悩みに悩んでやはりこちらを選び、昨年秋くらいから使い始めました。今ちょうど3ヶ月すぎたくらいで、どんどん良くなっていっている時期です。今まで吹いていて思ったのが、操作性の良さですね。指の動かしやすさ。それから音の粒立ちの良さ。下の音を吹いていてオクターブキーを押すと上の音が出ますが、その時音が細くなったりしがちなんですけど、この楽器は太さを保ったままスッと上がれるんです。
河原塚
この楽器は僕が使っていた14万番台の楽器を参考にしたというのもあるんですけど、最初に感じたのは、マーク6がもし新品だったらこんなだったんだろうなぁと。そして、ある程度吹き込んだマーク6もこうだったんだろうなと、両方思うんですよね。楽器って、最初はちょっと抵抗が強くて鳴りにくい楽器を何年かかけて吹き込んで鳴らしていくというスタンスがあったと思うんですけど、この楽器は最初から戦力になるんですよね。なのに、もう2年ぐらい吹いてますが、ペラペラにならない。最初から鳴る楽器って何年か吹いていると物足りなくなるんですよ。それをまったく感じないんですよね。
西澤
最初から戦力だっていうのは本当にすごいことですよね。私はテナーを先に使っていて、アルトが発売された最初のころに試奏して、アンティークフィニッシュを選びました。試奏の段階から、低音域から高音域まで無理なくスッと出せるし、とてもよく鳴るし、さらにこのお値段! コストパフォーマンスが良いのも魅力でした。楽器ってそうそう何度も買い換えられるものではないので、結構大事なポイントだと思います。それから、音程もいい。試奏した時に、これは吹奏楽でもクラシックでも使えるなと思いました。アンラッカーだと音が飛んでいきやすいのでちょっと吹奏楽の中では浮いちゃうかもしれないので、ゴールドラッカー仕上げなどは合うんじゃないでしょうか。
清水
そうですね。何を演奏しても合いそうです。一度吹いてみると、良さがすぐにわかると思います。
河原塚
ハイクラスの楽器の中には、抵抗が強くて息も多めに必要で、初心者では吹きこなすのが難しいモデルもありました。でもこの楽器は初心者でも無理なく音が出せそうだし、プロでも物足りなさを感じないんじゃないかと僕は思います。そして調整もバッチリだし。僕はこれまでいろんなメーカーの楽器を使ってきましたが、調整って本当に大事なんですよ。演奏の良し悪しが決まってしまうくらい。趣味で吹いている方でも、うまく吹けないところが自分のせいか楽器のせいかわからない、ということがあると思います。その点、石森管楽器さんで販売されているものは信頼できるので、そこも勧められるポイントですね。
――
ありがとうございました。

全文はTHE SAXvol.94にてお楽しみください!


 河原塚ユウジ

河原塚ユウジ
小学生より父親の影響でトランペットを始める。中学、高校では吹奏楽部に所属し、様々な楽器に触れ、学生指揮者も務める。中学終わりごろからロックバンドに興味を持ちドラム、ギターなどを始める。高校入学後『イース』を結成し、EWIとVocalを担当。大学進学後サックスに転向すると同時にJAZZ、FUSIONに目覚め、小池修氏に師事する。このころ、ヤマハ主催管楽器コンテストで最優秀賞受賞。卒業前にすべての楽器を可能な限り自分で演奏し、打ち込み主体によるソロアルバム『MY』を自主制作し販売。自由現代社より「サックス入門ゼミ」を最年少著者として発行、ほか著書も多数。2006年『4D』、『Apple Jam』、『SAX MACHINEGUNS』を結成。『4D』からアルバム『reunion』を発売。『イース』のアルバムとして『Scramble EffecTs』(2017年)『Another Junction』(2018年)を発売。その他、ツアーサポートやビッグバンド、スタジオ等、その活躍の幅は広い。

使用楽器:Wood Stone Alto Saxophone New Vintage AF(アンティークフィニッシュ)
Wood Stone Tenor Saxophone New Vintage
マウスピース:大堀サックス研究所オリジナル
リガチャー:セルマー(メタル用)
リード:Vandoren JAVA(緑箱) 2E½ or 3


西澤はるの

西澤はるの
埼玉県入間市出身。入間向陽高校吹奏楽に所属、東邦音楽大学に入学し4年間クラシック奏法を学ぶ。佐藤淳一氏、中川美保氏、佐々木雄二氏に師事。卒業までにソロ定期演奏会、卒業代表演奏、YAMAHA新人演奏会出演。卒業後JAZZ、POPSの道へ。河原塚ユウジ氏、浜崎航氏に師事。現在Music Schoolオトノミチシルベに所属しサックス講師を務めると共に、吹奏楽講師、数々のアーティストのレコーディングに参加。音楽活動として様々なバンドや、BIG BAND等に参加。某テーマパークでも演奏。スティールパン奏者である田島可菜子(from WAIWAI STEEL BAND)と結成したバンド"POCA POCA BAND"にて2019.3.1に1stアルバムをリリース。

使用楽器:Wood Stone Alto Saxophone New Vintage AF(アンティークフィニッシュ)
マウスピース:テッド・クラム コンテンポラリー 7☆
リガチャー:GF
リード:Wood Stone 2 E½


清水洋之助

清水洋之助
サックスを吉永寿氏に師事する。jazz、ポップス 、演歌などのコンサートサポート等で幅広く活躍している。森 寿男とブルーコーツ、ジャガーノートビッグバンド等のメンバーとしても活動。keyreijazzアーティストであるEar Candy Jazz Factoryのレコーディング&ライブにも参加し、デビューアルバム「Tangerine Peel Jam」がアメリカAmazon新着ジャズチャートで1位を獲得する。

使用楽器:Wood Stone Alto Saxophone New Vintage VL (ヴィンテージラッカー)
Wood Stone Tenor Saxophone New Vintage
マウスピース:メイヤー6SM
リガチャー:セルマー(順締め)
リード:RICO(D’Addario)ジャズセレクト 3Soft ファイルド・カット

 
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河原塚ユウジ | 西澤はるの清水洋之助







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