サックス記事

サックスにおけるクラシックとジャズの境界線


サックス最大の魅力のひとつに幅広いジャンルにおよぶプレイ、アーティストが活躍していることがあげられる。そして時にジャンルを超えて新しい音楽が生まれ、行き交うこともある。
現在の音楽には幅広いジャンルが存在する中、即興の要素を存分に味わうジャズ、音楽スタイルの描写を豊かに再現させるクラシック。お互いはその両極に位置するような存在で時を重ねてきた。


サックスという同じ楽器を使っていても交わることが少ないクラシックとジャズには、見えない壁が確実に存在するようにも見える。様々なフィールドの最前線で活躍するプレイヤーにおいては果たして境界線は存在するのだろうか。スタイルをクロスオーバーしお互いの音楽を取り入れることや、ジャンルの融合はあるのか。どこにそのラインがあるのか、一体何が違うのか。


本誌はこれまで、ジャンルごとに特集を組みそれぞれの音楽の魅力を紹介してきた。そしてクラシック・サックスプレイヤーのために「Jazz食わず嫌いの処方箋」と題し、福井健太氏を講師に迎えて、ジャズを身近に感じられるような講習会を開催してきた。吹奏楽やクラシック、ジャズの連載などを通して、自分が接しているジャンル以外にも興味や視野を広げられるよう取り組んでいるので、それぞれ精通している方も多いだろう。


今回の54号では、ジャンルの接点にフォーカスをあてクラシックやジャズ、フュージョンのフィールドで活躍するプロ奏者、そしてクラシック・ジャズの垣根を越えて活躍するプロ奏者にもインタビューを実施し、実体験や自身の考えなどこれまであまり語られることのなかった、サックスにおけるクラシックとジャズの境界線について語ってもらった。また、クラシック・サックスプレイヤーが演奏するジャズの名盤、逆にジャズ・サックスプレイヤーが演奏するクラシックの名盤も紹介。クラシックとジャズの境界線について、それぞれの哲学(フィロソフィー)がわかる誌面展開になっている。


ジャズでは第一線で活躍し、クラシックも演奏するブランフォード・マルサリスは、本誌の中で「ジャズやクラシックを問わず、スタイルやジャンルが違うだけで音楽はすべて同じもの」と言う。一方、ジャズ・フュージョン側にいる本田雅人氏は、音楽大学でクラシックを学んでいたこともあり、「クラシックとジャズはサックスの場合、共通しない部分がすごく多く、アーティキュレーション、アンブシュア、息の入れ方……何も共通点がない」と、ブランフォード・マルサリスとは違った角度から“クラシックとジャズの境界線”を語っているのが興味深い。
いまでこそ、その垣根が取り払われつつある“クラシックとジャズの境界線”だが、まだ他ジャンルを学びたいと思ったとき、何から始めたらいいのかわからない人が多いだろう。柔軟性を持って、クラシック・サックスプレイヤーはジャズに、ジャズ・サックスプレイヤーはクラシックに接すれば、見えない壁がなくなり、今後の自身のスキルアップにもつながるだろう。そのヒントがこの“クラシックとジャズの境界線”に書かれている。