トランペット記事 郷里の岩手を拠点に活動する異色の国際派ソリスト 佐々木駿
  トランペット記事 郷里の岩手を拠点に活動する異色の国際派ソリスト 佐々木駿
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THE TRUMPET vol.14

郷里の岩手を拠点に活動する異色の国際派ソリスト 佐々木駿

ARTIST

国立音楽大学附属高等学校を卒業後に、日本の音大には進学せず一気にオーストリアへ留学。あのハンス・ガンシュをはじめ多くのレジェンドから薫陶を受け、在学中からヨーロッパで本格的に演奏活動をスタート。帰国後はオペラやジャズまでの多彩なジャンルの大物アーティストやオーケストラと共演してソリストとして活躍という華々しい経歴を誇る佐々木駿。その一方で故郷である岩手県や東北のトランペット・シーンを盛り上げる活動にも尽力している。そんな異色の国際派プレイヤーの横顔に迫る!
インタビュー・文:吉野和孝(ジョイブラス)

天使のトランペットのようなオーストリアの音と絶賛され渡欧

国立音大付属高校を卒業後に単身渡欧していらっしゃいます。どのようなきっかけだったのでしょうか?
佐々木駿
高校3年生のオーケストラの演奏会のときに、オーストリアの作曲家のバルドウィン・スルツァーという現代音楽の先生が客演で指揮に来てくださりました。コンサートで彼の曲を演奏したのですが、現代曲でとても難しい曲でした。休憩のときにバルドウィンに呼び出され、これは絶対に怒られると思ったのですが、楽屋に行くと「ちょっと吹いてみて」と言われました。パーっと吹いたところ「わかった。オーストリアへ行こう。君の音は天使のトランペットのようで、オーストリアの音だから来るべきだ」と。当時、北村源三先生に教えていただいていましたし、国立音大に入学するつもりでいましたので、葛藤はあったのですが、親と先生と話し合った結果、挑戦することになりました。約半年の準備期間で、学校も決まらないまま、オーストリアへ。バルドウィンからは「好きな先生につけさせてやる」と言われ、最初にハンス・ガンシュに行きましたが、ハンスのクラスの9割は短期留学生で、すでにオーケストラの首席であったり、プロの人たちばかりで、簡単に入れるものではありません。「弟子が今年から学校の先生になるから、一回行ってみろ」とハンスから言われ、ブルックナー音楽大学に入りました。ハンスには後に教えてもらうことになりました。
ハンス・ガンシュはどのような存在だったのでしょうか?
佐々木
僕が初めて聴いたトランペットのCDは、ハンスの「Trompetenkonzerte」でした。まるでバズーカのようだけれども痛くはなく、メロディックに吹くと柔らかい。これは何なんだろうと思っていました。初めてハンスのレッスンを受けたときにハイドンを吹きました。僕はもう彼のCDのイメージでいくわけですが、「違う。僕はそうやって吹いてない」と言われて、「こうやって吹いているんだよ」と目の前でハイB♭をパーンと吹かれたんです。普通、近くで吹かれたらうるさいじゃないですか。でも、自分を包み込むようなハイBbがパーンって飛んできて、まったくうるさくなかった。最初のファ・ソ・ラも「こうやって吹くんだよ」と、パーンと。その音がホールで響いて、深くなって、マイクを通してCDの音になるのですが、僕はCDのすごく柔らかい音のイメージがあったため、自分の吹き方をCDに寄せてしまっていました。完全にCDを聴き間違えていたわけです。思い返すと、高校のときに、源三先生は「もっとパーンと吹きなさい」とおっしゃっていましたが、パーンっという言葉がCDの音とはマッチしていなかった。ハンスもパーンと吹いていたことで、初めてマッチしました。
 

次のページへ続く
・ヨーロッパではロータリー・トランペットは当たり前の楽器
・明るさの中に芯がある音で音程の良さも併せ持つマウスピースが完成
・「いわてトランペットソサエティ」の活動で東北から中央へ

 

佐々木 駿(ささき しゅん)
岩手県盛岡市出身。国立音楽大学附属高等学校を卒業後、オーストリアの私立アントン・ブルックナー音楽大学に留学。在学中より数々のアーティストやオーケストラと共演。2022年、1stアルバム『Sky』をリリース。これまでにトランペットを、ベンハート・ベア、ヨーゼフ・アイデンベルガー、エドワード・H・タール、ハンス・ガンシュ、北村源三の各氏に師事。平成音楽大学講師、岩手大学教育学部音楽科講師、岩手県警察音楽隊講師、パシフィック・ブラス・オルケスタ音楽監督、いわてトランペットソサイエティ音楽監督、いわてブリティッシュ・ブラス・バンド音楽監督、くまさん音楽隊楽長。シャーゲル社公式アーティスト。

 

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