教則本「アーバン金管教本」の使い方
トランペット吹きのバイブル「アーバン金管教本」。現在活躍しているプレイヤーの多くがジャンルを問わず、この教本で勉強しています。
様々な要素が盛り込まれた教則本ですが、どのように使っていけばレベルアップするのか……
を第一線で活躍中のプレイヤーに訊きました!

クラシック、ジャズ奏者問わず使っているアーバンの「金管教則本」はこちら
「ISMアーバン金管教則本」
全音楽譜出版株式会社 刊行
“音を置いていくことからクラシック的シングルタンギングまで”~アーバン活用法
アーバンを使っていく上で、どんなことに注意したら良いのでしょうか?
元 札幌交響楽団首席奏者の福田善亮さんが、番号ごとにアドバイスしてくれました。

元 札幌交響楽団首席奏者
福田善亮
Yoshiaki FUKUDA
ピストンの付いた金管楽器のための初の教則本
アーバン金管教本〜金管楽器のバイブルとも言われているこの教則本の原題は「Grande méthode complète pour cornet à pistons et de saxhorn」。今では当たり前のピストンやロータリーバルブが初めてコルネットやサクソルン属の楽器に採用され始めた時代、その当時の最も優れたコルネット奏者であったフランスのジャン・バティスト・アルバン(アーバン)によって1864年に書かれました。ピストンの付いた金管楽器のための初めての教則本ということになります。
その後100年以上を経て楽器の改良、奏法の研究が進んだ現代においても、トランペットを学ぶ人達の基本であることに間違いありません。私も高校生のときこの教則本に出会い、今までずっとお世話になり続けています。
アーバンによる原本にはお目にかかったことがありませんが、現在いろいろなトランペット奏者、教師によって編纂、出版されています。フランスのAlphonse Leduc社からはJean Maireというトランペット奏者による編集で出版されています。全3巻からなり、第2巻冒頭のフィンガリングエクソサイズや第3巻の近現代の作曲家によるモダンエチュードなどラッパ吹きの好奇心をくすぐるものとなっています。
今回はより一般的で系統立てて編集されたCarl Fischer社(日本では全音楽譜出版社)のもの、その中でも私が特にクラシックで重要と考える「最初の練習曲」~「シンコペーションの練習曲」~付点音符~16分音符~8分の6拍子までに焦点を絞って解説していきたいと思います。
No.1、2、7─最初の練習曲だけど考えることはたくさん
最初の解説文をよく読んだ後、「最初の練習曲」No.1から見ていきましょう。ここから「スラーの練習」に入る前までが、クラシック的に特にアーバンを練習する意味のあるところです。
最初は低くも高くもない音域から始まります。真ん中のソからいわゆるチューニングのドまでがおそらくアーバンの考えるいちばん自然な音域であり、無理のないアンブシュアを作ってそのまま当てればその辺の音が鳴るというのが理想なのでしょう。
まず全音符ごとにブレスして音を置いていく、その際ハッキリめのアタックをして4拍のなかで音をいくぶん減衰させます。アクセント記号はアタックと減衰を意味していると考えます。この一見つまらない練習をきちんと考えながらすることによって、明るく揺るぎのないサウンドで躊躇なく発音することを目指します。
注意点はまずアタックをタンギングだけに頼らないこと、吸った息が円を描くように口から出るのをイメージし、そこにタンギングをうまく合わせます。と言っても最初のうちは難しいので汚くならない程度にパーンと明るいアタックをできるようにしましょう。
次にブレスのタイミングですが4拍目の裏ぐらいに吸ってみましょう。よく、目一杯伸ばすように指導されている方でブレスの直前に「押し」が入ってしまうのをよく見かけます。フレーズを区切りたくないところで仕方なくブレスするときをのぞいて、ブレスの前は自然に減衰させ一瞬消えるのが美しいやりかたです。このNo.1練習曲でこれだけ多くのことを考えながら練習できます。
No.2からは全音符に2分音符が混ざり、ブレスも1小節から2小節と無理なく進んでいきます。No.7ではもういちど全音符ごとにブレスで音を置いていくやりかたを確認しますが、音域は上のソや下のドへと広がり、同じ運指で違う音を出す倍音の概念を学習します。
















