トランペット記事 新時代を切り拓く ザ・シルキー・ファイブ
  トランペット記事 新時代を切り拓く ザ・シルキー・ファイブ
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シルキーの魅了[前編]

新時代を切り拓く ザ・シルキー・ファイブ

ARTIST

シルキーに惹かれた国内トップレベルのオーケストラ奏者たちが、シルキーサウンドを求めて結集し、トランペットアンサンブルの新たな形を発信する「ザ・シルキー・ファイブ」。このコーナーでは歴史的トランペットメーカー「シルキー」のシリーズ連載前編として、ザ・シルキー・ファイブにインタビューを敢行。彼らの言葉とその活動を通して、シルキーの魅力を紐解いていこう。
※内容はTHE TRUMPET vol.7発刊(2020年10月)当時のものです。予めご了承ください。

シルキーだけのサウンドを求めて

ザ・シルキー・ファイブ(以下、シルキー・ファイブ)結成の経緯を教えていただけますか?
高橋
僕の師匠である津堅(直弘)先生が中心となって活動していた「THE TRUMPETS 5」というアンサンブルがルーツにあり、10数年前に活動を停止されたのですが、そのころにシルキー国内総発売元のグローバルさんから「THE TRUMPETS 5 のようなアンサンブルをつくりませんか?」とご相談いただいて、私も賛同したのがキッカケですね。ネーミングでおわかりかと思いますが“シルキーを使った、シルキーだけのサウンドを求める”というのがシルキー・ファイブのテーマです。
そこで、グローバルさんと共同で国内のシルキープレイヤーをリサーチし、活動のしやすさを考慮して都内のオーケストプレイヤーに絞って集まったのが今の5人です。
シルキー・ファイブの結成はいつごろ?
高橋
初演は昨年でしたが、メンバーを揃え始めたのは2017年で、リハーサルは2018年から始めていたので、ゆっくりと時間をかけて準備していきました。
みなさんはずっとシルキーを使いつづけてこられたのですか?
高橋
僕もそうですが、皆いろんな楽器を使ってきて、シルキーに到るといった感じですね。
高橋さんや田中さんはシルキーの開発にも協力されてきましたが、みなさんがお使いのモデルの変遷を教えていただけますか?
高橋
シルキーはもともと100%リバースタイプであり、それが“シルキーたる由縁”でもありましたが、10年ほど前に従来のシルキーより少しヘビーな「HDシリーズ」が発売されました。その際に気に入れば使わないかとお声がけいただきましたが、そのときは僕にとってはもう少し多彩な音色感が表現できると良いのにと感じて見送りました。
そこからグローバルさんやシルキー本社と話し合いを進めていきました。オーケストラは色彩が重要だと思っているので、シルキー特有の音色を持ちながらも、様々な音色の変化に対応できる楽器を求め、ベルのテーパーを変えていきました。そうした試行錯誤の末に4、5年前に生まれたのが「C3HD」です。そのC管がとても良かったので田中くんと使い始め、徐々に日本でも浸透していきました。
C3HDが誕生して、次はC3HDに準じたB♭管があるといいなと思いました。もともと私はE♭管とピッコロはシルキーを使ってましたので、すべてシルキーに変えたいと思い、C3HDができた翌年に田中くんと二人でシカゴの工場に赴き、C3HDを基にした素晴らしいB♭管を作っていただきました。それが「S23HD」と「S33HD」です。そこで帰ろうとして、さぁ空港に向かおうかという時にシルキーの社長から「実はこういったものも開発している」と見せられたのがソロイストのプロトタイプモデルでした。シルキー伝統のリバースタイプから、スタンダードタイプに
変更された衝撃のプロトタイプは「まさにこれを求めてきた」と言えるほどセンセーショナルな出会いでした。この楽器を日本でも吹けるようにしたいと思い、翌年から田中くんと開発に協力し、生まれたのが今のソロイストシリーズです。松山さんや川田くんもソロイストをすごく気に入ってくれて使ってます。
全員ソロイストシリーズを使用されているのですか?
内藤
実は僕だけC管がC3HD、B♭管はS23HDを使ってます。この楽器には思い入れがあって、僕がシカゴに留学していた時にシルキーの工場にいく機会があり、その時に「こんなの作ってるんだよね」と出されたヘビータイプの楽器がHDのプロトタイプだったんですよ。当時は私もC管は違う楽器を使ってましたが、プロトタイプを吹いたときにいいなと思ったので「発売したら買うよ!」と言って帰国し、のちに出たのが10年以上後とかだよね?
高橋
もともとのプロトタイプから数えたら15年くらい経ってたね。内藤くんが留学から帰ってきたころに出来上がったHDシリーズはもっとベルのテーパーが大きかった。
内藤
そうそう!

奏者が感じるシルキーの魅力

みなさんにとって、シルキーの魅力とはなんでしょうか?
内藤
音色に一番の魅力を感じています。私だけC3HDやS23HDを使っている理由にも繋がるのですが、もともと私は昔からシルキーの特殊管を使っていて、C管やB♭管にもそのシルキー特有の音の明るさが欲しかった。それを追求していったら、たまたま僕だけ違う楽器になりました(笑)。
松山
私も特殊管はシルキーを使っていましたが、シルキーのB♭管やC管はリバースタイプだったので、自分では使いこなせないなと思っていました。それがスタンダードタイプのソロイストシリーズが出て、吹いてみた時に「これなら私も使える!」と思ったんです。オーケストラでの経験を重ねるうちに、シルキーのような明るい音色に自分の好みが寄っていったころにこの楽器に出会ったので、せっかくなら全部同じメーカーの方がパッと持ち替えた時の感触も同じになるので、すべてシルキーに統一しましたね。
田中さんはソロイストシリーズの開発にも携わりましたが、ソロイストシリーズの魅力とは?
田中
やはりスタンダードタイプのチューニングスライドに変わったことで、息の方向性がすごく変わり、表現力が広がりました。高橋くんとシカゴへ行った時に、リバースじゃないとシルキーの良さが失われるのでは?とシルキー本社に聞いてみると「ピッチの伝統はしっかり守ってるよ」と。つまり仕組みが変わっただけで、伝統的な音色や響きはそのままで、息を入れた分だけ楽器が反応してくれるところが進化している。今の楽器を使って2年になりますが、一体感というか楽器と自分がリンクするようになってきて、「このくらい息を入れたらこれくらい鳴る」がはっきり掴めるようになったし、楽器も応えてくれてます。今すごく良いバランスですね。
川田さんにとってシルキーとは?
川田
私は3年半ほど前に東京フィルに入団しました。東京フィルはゲーム音楽やオペラ、バレエ、シンフォニーコンサートな ど様々なジャンルの業務をパズルのように予定を組んで練習し本番をしています。また東京フィルに入りその他の仕事も増えました。とてもありがたかったですが、忙しくなり過ぎて知らず知らずのうちに調子を崩してしまい、自分を見失った時期があったんです。そんな時にちょうどシルキーのソロイストシリーズを使わせていただく機会があって、そこからどんどん調子が戻っていきました。
具体的にシルキーのどんなところが私を助けてくれたかというと、出ている音が自分によく聞こえるし、会場の遠くにも鳴ってくれているんです。実際、ゲネプロの時に客席で聴いている団員から「すごく良く聴こえてるよ!」と言ってもらえた時がありました。自分としては、全然力んで吹いていないのに、オケに溶け込んでいて、それでいて良く聴こえていると。

 

以前はバックをお使いになっていたとお聞きしましたが、バックとシルキーで吹奏感も変わりましたか?
川田
私はシルキーの方が、より自分の発声に近い感覚で吹くことができます。なので取り回しが効く。音ムラもない感じがします。他の楽器は割と「ガルガルッ」となるポイントがあったりするんですよね。
高橋
単純にいうとシルキーは音程がいいんですよ。他のメーカーだと少し音程にクセがあったりするので、ツボとずれたところに意図せずいってしまうとガルガルっとなってしまうのかなと。
高橋さんはこれまでシルキーの様々なモデルを試されてきたと思いますが、高橋さんにとってのシルキーの魅力とは?
高橋
簡単にいうと吹きやすいんですね。自分が思い描いている音楽や音色を再現できるのが一番の魅力です。シルキーを使う前は、音を目立たせたい時に相当吹き込まないといけなかったのが、シルキーだと普通に吹いてのびやかに音がアピールできるので、今までのように頑張って吹きこむ必要がなくなりました。
時代とともにトランペットのあり方も変わってきていて、40、50年前は音をかなり立てて吹く時代がありました。マウスピースも小ぶりが主流でした。当時のアメリカのホールが響かなかったのもあるかもしれません。それが時代とともに、近年では溶け合うようなトランペットの音が求められるようになり、楽器も柔軟な傾向に変わってきました。そんな時代背景の中で、今の楽器を使って音を立たせようとすると、今度はかなりエネルギーが必要になり、苦労されている奏者も多いのだと思いますね。こうした“幅広い音楽に対応できる”という点が、今シルキーが求められている理由なのかなと思います。

 

Profile

高橋敦 Osamu Takahashi
富山県生まれ。洗足学園魚津短期大学を経て、洗足学園大学を卒業。トランペットを津堅直弘、関山幸弘、佛坂咲千生の各氏に師事。第65回日本音楽コンクール第1位。第13回日本管打楽器コンクール第1位。新星日本交響楽団(現、東京フィルハーモニー交響楽団)を経て1999年、東京都交響楽団首席奏者に就任。宮崎国際音楽祭、霧島国際音楽祭、セイジ・オザワ松本フェスティバル、防府音楽祭などへ定期的に参加。2016年に開催されたGolden Brass Japan Festival at Port of Moji 音楽監督。これまでにソリストとして国内外のオーケストラや吹奏楽団と共演。世界で最も権威と伝統があるミュンヘンARD国際音楽コンクールの審査員も務める。洗足学園音楽大学客員教授、東京音楽大学講師。
[使用楽器]B♭管:SB4-OT GP、C管:SC4-OT SP、D/E♭管:E3L GP、Pic:P5-4 GP、P7-4 GP

川田修一 Shuichi Kawata
1984年福島県出身。国立音楽大学を矢田部賞を受賞し首席で卒業。藝大フィルハーモニア管弦楽団を経て2017年、東京フィルハーモニー交響楽団首席トランペット奏者に就任。第78回、81回日本音楽コンクール入選。第25回日本管打楽器コンクール3位入賞。第49回独Markneukirchen国際コンクール ディプロマ賞授与。2015年、文化庁海外研修員としてドイツ・カールスルーエ音大にて研修を行う。トランペットを北村源三、熊谷仁士、山本英助、野口浩史、Reinhold Friedrichの各氏に師事。Brass Ensemble ZERO、Le Due Trombe、金管合奏団「宴」のメンバー。
[使用楽器]  B♭管:SB4-OT SP、C管:SC4-OT SP、 D/E♭管:E3L SP、Pic:P5-4 GP、 Flugel:1041FLC-CL

内藤知裕 Tomohiro Naito
1991年東京文化会館新進音楽家デビューコンサート出演。1993年第10回日本管打楽器コンクール第4位。大学在学中に東京都交響楽団に入団。1995年東京芸術大学音楽学部卒業。第65回読売新人演奏会に出演。1996年第65回日本音楽コンクール第3位。1998年ITG主催E.Smith国際コンペティションファイナリスト。2002年文化庁芸術家在外研修員としてシカゴに留学。これまでに、トランペットをW.スカーレット、杉木峯夫各氏に師事。現在、東京都交響楽団、エマーノンブラスクインテットトランペット奏者、尚美学園大学非常勤講師。
[使用楽器] B♭管:S23HD SP、C管:C3HD SP、D/E♭管:E2D GP、G管: G1L SP

松山萌 Moe Matsuyama
島根県隠岐の島町出身。東京藝術大学卒業。学内においてアカンサス音楽賞、同声会賞受賞。藝大フィルハーモニア管弦楽団を経て現在、東京交響楽団トランペット奏者。第30回日本管打楽器コンクール第1位、併せて文部科学大臣賞、東京都知事賞受賞。NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」出演。これまでに小曲俊之、佛坂咲千生、杉木峯夫、早坂宏明、古田俊博、佐藤友紀、栃本浩規の各氏に師事。金管五重奏団Buzz Fiveメンバー、ズーラシアンブラスお友達プレイヤー。ドルチェ東京・ミュージック・アカデミー講師。
【使用楽器】  B♭管:SB4-OT SP、C管:SC4-OT SP、 D/E♭管:E3L SP、Pic:P7-4 SP

田中敏雄  Toshio Tanaka
1994年東京音楽大学卒業。トランペットを津堅直弘氏に師事。1992年にサンドポイント(米国)音楽祭に参加し、室内楽をH.フィリップス氏、W.マルサリス氏の両氏に師事。在学中に関西フィルハーモニー管弦楽団に入団し、同団を経て現在読売日本交響楽団トランペット奏者。トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ、なぎさブラスゾリステン、トランペットアンサンブル「THE MOST」メンバー。上野学園大学非常勤講師。ミュージックスクール「ダ・カーポ」講師。
【使用楽器】  B♭管:SB4-OT SP、C管:SC4-OT SP、 D/E♭管:E3L GP

 

 

 

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