トランペット記事 技術者から見た Schilke Trumpet
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Gear Report│シルキーの秘密

技術者から見た Schilke Trumpet

GEAR

前号では、伝統ある「シルキー」の現社長、アンドリュー・ナウマン氏のインタビューをお届けした。今号では、シルキーを熟知する客観的な視点として、シルキー国内総代理店の(株)グローバルにおいて、シルキー社公認の技術者であり、アメリカの本社工場にも何度も足を運んでいる倉林伸幸氏に取材を敢行。長年見てきたシルキートランペットの魅力、そして現地で見た製造方法秘密について、技術者の視点から語っていただいた。

株式会社グローバル シルキー公認技術者
倉林伸幸氏

 

シルキーの工程はそのほとんどが技術者の手作業だ!

各モデルごとに工程にも違いがあるというシルキー。その中で、特筆すべき工程を倉林さんに聞いてみたぞ。

 ベル

 
倉林
シルキーは、モデルによって“シームレス”と“一枚取り”を使い分けています。シームレスは金属パイプ(チューブ)を段階的に拡げて成型し、繋ぎ目がないのが特徴です。対して一枚取りは、イチョウの葉のような形の金属板を接合して成型します。こちらは接合する際の繋ぎ目があります。シルキーは長らくの間、シームレスベルを採用しているのが伝統でしたが、近年の新しいHDシリーズ、ソロイストシリーズ、フリューゲルホルンのベルは一枚取りを採用しています。
 

 バルブ・ケーシング

 
倉林
シルキーのバルブアクションの良さはとても定評がありますが、特段、他社の製造法と大きな違いはなく、オーソドックスなスタイルで時間をかけて組み上げています。実際に工場でケーシングの組み上がり待ちになっている状態を多く確認しました。シルキーのバルブは高精度なため大量生産には向かないかもしれません。自社ですべて製作することでクオリティコントロールを実現できていることはとても強みです。
 

 マウスピース

 
倉林
現在は真鍮の丸棒を基本的にNC旋盤でほぼ最後まで削り出していますが、一部通常の旋盤で加工しているものもあります。カスタムにも対応しており、レノルド・シルキー氏が作業されていたマウスピース関連の機械や工具も多く残っています。
 

 メッキ・仕上げ

 
倉林
メッキは自社ではなく、長年楽器に特化した信頼のおける工場に依頼していますが、ラッカー塗装などの仕上げは自社で行なっており、こちらは現社長のアンドリュー氏が作業しています。
 
マウスピースのバックボア調整作業
NC旋盤ではなく、マニュアル旋盤を使うモデルもある
 
ハンダ付け作業
こうした組み立ての作業もすべて手作業だ
 
バフ掛けの作業
粉塵を吸い込まないよう防塵して作業している
 
メッキ工程前の磨き作業
脂分やバリをひとつひとつ丁寧に取り除く

 

シルキーのラインナップ

シルキーには大きく以下のモデルシリーズがあり、特徴は以下の通りだ。

Bシリーズ、Xシリーズ
シルキートランペットの象徴ともいえるモデル。反応が良く、華やかで艶のある音色。

Sシリーズ
Bシリーズをベースに、支柱の追加や主管クルーク形状の変更により、程よい抵抗感がありまとまりのある音色。

HD(ヘビーデザイン)シリーズ
Sシリーズをベースに、管厚や重量バランスを研究し、より深みのある音色と豊かな響きが得られる。

HC(ハンドクラフト)シリーズ
レノルド・シルキーの設計思想を継承しつつ、クラシカルアメリカンジャズの音色を持ち合わせ、幅広いパフォーマンスが可能。

ⅰシリーズ
Sシリーズをベースに、シルキーサウンドはそのままに、より吹きやすく、扱いやすく進化していてコストパフォーマンスが高い。

Soloiste(ソロイスト)シリーズ
シルキー史上初のスタンダードマウスパイプを採用した、革命的で新たな吹奏感と抵抗感があり、よりしっかりとした音色。

「S32」などの伝統的な“Sシリーズ”と、“iシリーズ”の違いってなに?
倉林 i32の開発以前から、当社からシルキー社へ「シルキーをより多くの方に手の届きやすい価格で提供できないか?」という要望や提案を伝えていました。中でも、日本で特に人気のあったS32をベースに、様々なニーズに対応できるよう改良し、専用ラインを組むことで、生産性の向上と人件費の削減に成功し、i32は誕生しました。このi32は当初、弊社の創業40年を記念して40本限定で発売したところ、予想以上の反響をいただき、今日ではシルキーの通常モデルになっています。そして後の兄弟モデルにあたるi33も弊社の要望から生まれたモデルです。現社長のアンドリュー氏のこうした柔軟な対応もシルキー社の魅力を支える理由のひとつだと思います。

 

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