マイルス奏法ガイド
【Cover Story】に続いて、様々な角度からマイルス・デイヴィスがジャズ界とトランペット界に与えたインパクトと、遺した功績についてスポットを当てていこう。まずはマイルス奏法について。レクチャーしてくれるのは、コンボからビッグバンドまでのジャズに精通し、1994年にはエレクトリック期のマイルスを標榜するバンド「スター・ピープル」も結成したことがある高瀬龍一氏だ!
(文・採譜:高瀬龍一)

Profile 高瀬龍一(たかせ りゅういち)
1964年福岡県生まれ。11歳からトランペットを始め、大学卒業後に故・福原彰氏に師事してジャズの基礎を学ぶ。自身のリーダーグループ「高瀬龍一セクステット」や、カウント・ベイシーのスタイルを追求する「高瀬龍一ビッグバンド」を主宰。故・世良譲、山下洋輔、森山威男など、国内の巨匠たちのバンドに参加するほか、バーナード・パーディの来日ツアーにも同行。 繊細なバラード演奏に定評があり、アルバム「Ballads」などの作品を発表。山野楽器の音楽教室で講師を務めるほか、教則本「プレイ・ザ・ジャズ・トランペット」を執筆するなど、教育者としても高い評価を受けている。
©Yasuhisa YonedaPart 1. マイルスの音色について
マイルスの音色について、柔らかく丸い音色だと思われている方々もいらっしゃるようですが、ぼくは、そうではなく、ハイの成分が多く、真鍮をストレートに、しっかりと鳴らしたブラス・サウンドだと思います。さらにマイルスのすごいところは、基本的なサウンドを、自由自在にコントロールして、柔らかく丸い、ダークな音色も出せるところです。
1990年に、目黒ブルース・アレイ・ジャパンのオープン記念で、マイルス・バンドが1週間出演しました。ぼくは幸運にも最前列で、マイルスの生音を聴くことができました。当時のマイルス・バンドは、アコースティックなジャズではなくて、ファンク・バンドのようなグループになっていたせいもあってか、マイルスの生音は、とてもしっかりと楽器を鳴らして、輪郭のはっきりしたブライトな音でした。もちろんバラードでは、中低域の成分の多い、柔らかい音でした。
まとめると基本的には、ブライトでしっかり鳴らすブラス・サウンドで、それを如何様にもコントロールして、色々なニュアンスの音色を使いこなしていたのだと思います。
マイルスが好きだったハーマンミュートの音色も同様です。ピッチや息のスピードを自在にコントロールしながらいろんな音を奏でていました。
















