トランペット記事 トランペットを聴く マイルス名盤
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Masterpiece of Miles

トランペットを聴く マイルス名盤

MUSIC

やはり押さえておきたいのがマイルスの名演が聴ける傑作アルバム。ここでは本誌らしくトランペットの演奏に注目すべき作品をピックアップして紹介しよう。
(選盤・文:原田和典)

 

「クールの誕生」
(ユニバーサル ミュージック UCCU-46086) [1950]

まずは“クールなマイルス”を。アドリブの権化であるチャーリー・パーカーのバンドを離れた直後のマイルス(当時22歳)が合奏と編曲を重視する方向に行ったのは実に興味深い。“以前と違うことをやる”彼のモチベーションは既にこのころから存在した。アンサンブルのトップを担うトランペットの、なんとみずみずしいことか。

 

「パリ・フェスティヴァル・インターナショナル」
(ソニーミュージック SICJ-30037) [1949]

前述作と同時期にパリで収録された“ホットなマイルス”。音質は良くないが(なにしろ昭和24年のライブである)、ディジー・ガレスピーばりに勢いよく吹きまくるマイルスのプレイには、トランペットの若獅子という形容がぴったり。MCパートでは、本当に短いものの、声帯を損傷する前のマイルスの肉声を聴くこともできる。

 

「バグス・グルーヴ」
(ユニバーサル ミュージック UCCO-46041) [1954]

表題曲(2テイク収録)におけるマイルスのソロにはピアノのバッキングがない。ブルース・コードの楽曲を、ベース~ドラムスだけをバックに、いかにかっこよくアドリブしていくか、全トランペット奏者必見のアプローチではなかろうか。後半のセッションは、ハーマン・ミュートを用いた最初期のレコーディングに数えられる。

 

「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」
(ソニーミュージック SICJ-30038) [1956]

黄金の50年代クインテット(別項参照)による代表作で、大レーベル“Columbia”移籍(ソニーミュージック)移籍第一弾にもあたる。ハーマンミュートのプレイも、“歌ものではテーマ・メロディを吹くだけで、アドリブは他のメンバーに任せる”パターンも、“まずは印象的なイントロで聴く者を掴む”アレンジも、ここに確立された。

 

「クッキン」
(ユニバーサル ミュージック UCCO-46028) [1956]

ジャズ主体のマイナー・レーベル(今でいうところのインディーズに近いか)である“プレスティッジ”へのラスト・セッションを収めた一枚。「ラウンド~」と同メンバーだが、複数のテイクをつないだり、複数のセッションで構成されたアチラに対し、コチラはライブ感、セッション感満載の一発録り。ぜひ聴き比べてみてほしい。

 

「マイルス・アヘッド」
(ソニーミュージック SICJ-30039) [1957]

出会いから約10年を経て、マイルスとギル・エヴァンスは遂にアルバムまるごとコラボレーションを繰り広げた。マイルスはトランペットではなく、マーティン社のフリューゲルホーンを吹奏。『アイ・ドント・ワナ・ビー・キスト』のエンディングでは、職人肌のトランペット奏者であるアーニー・ロイヤルが強烈なハイノートを轟かせる。

 

「死刑台のエレベーター」
(ユニバーサル ミュージック UCCU-46064) [1957]

マイルスが初めて担当した映画のサウンドトラック(フランス録音)。CDには別バージョンもたっぷり収められており、それと正規採用ヴァージョンを聴き比べると、いかに録音後の加工(ポストプロダクション)が、「死刑台のエレベーター」の緊張感・サスペンス感を高めるうえで重要な役割を果たしていたのかが実によくわかる。

 

「マイルストーンズ」
(ソニーミュージック SICJ-30040〜41) [1958]

50年代クインテットにキャノンボール・アダレイが加わった新体制6人組による作品。タイトル曲は、童謡や鼻歌という言葉が似合いそうなメロディも料理法によっては最高に躍動的なジャズになるという最高の例。6曲中4曲がブルース・コードなので、各プレイヤーのブルースへのアプローチを知る上でも大変参考になる一枚だ。

 

「サムシン・エルス」
(ユニバーサル ミュージック UCCU-46102) [1958]

モダン・ジャズ・レコーディングの世界にこの人ありといわれる技師がルディ・ヴァン・ゲルダーだ。マイルスも53~56年にかけて数多くの作品を彼のエンジニアリングで残した。これはヴァン・ゲルダーが手がけたおそらく最後のマイルスの作品、そして唯一のステレオ音源だろう。ミュート・トランペットの響きの粒立ちが格別。

 

「カインド・オブ・ブルー」
(ソニーミュージック SICJ-30048〜49) [1959]

元メンバーのピアノ奏者ビル・エヴァンスを呼び戻して制作された一枚。収録曲は今やすべてスタンダード・ナンバーの仲間入りをしているといってよく、精鋭ぞろいのメンバーも(ソロをとらないジミー・コブも含めて)、きわめて思慮深く印象深いプレイを繰り広げている。その美しい音の頂点に立つのがマイルスのトランペットだ。

 

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