トランペット記事 トランペットを聴く マイルス名盤
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Masterpiece of Miles

トランペットを聴く マイルス名盤

MUSIC

やはり押さえておきたいのがマイルスの名演が聴ける傑作アルバム。ここでは本誌らしくトランペットの演奏に注目すべき作品をピックアップして紹介しよう。
(選盤・文:原田和典)

 

「スケッチ・オブ・スペイン」
(ソニーミュージック SICJ-30050〜51) [1959]

このあたりからテオ・マセロがプロデュースに参画する。名アレンジャーのギル・エヴァンス率いるオーケストラとの共演盤で、スペインの作曲家が書いたギター曲『アランフェス協奏曲』は、本作の演奏によって他の楽器奏者やクラシック以外の分野に広まったといっていい。ステレオ・レコーディングの特性を生かした広がりのある音響も見事。

 

「セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン」
(ソニーミュージック SICJ-30059) [1963]

ワン・ホーン・カルテットによる円熟のバラード・プレイ(ロサンゼルス録音、すべてミュート・トランペット)と、ハービー・ハンコックやトニー・ウィリアムスを含む新編クインテットによる清新な演奏(ニューヨーク録音、すべてオープン・トランペット)をサンドイッチ状にした一枚。62~63年当時の、マイルスが持つブラス奏者としての充実がここに。

 

「マイルス・スマイルズ」
(ソニーミュージック SICJ-30069) [1967]

ウェイン・ショーター、ハービー、ロン・カーター、トニーとの“黄金の60年代クインテット”はどれも必聴必携だと思うが、今回は『フットプリンツ』や『フリーダム・ジャズ・ダンス』のような大定番を含む本作を。おそらく全曲ともエンディングを事前に決めないまま録音に臨んでいるように感じられるけれど、そこも含めて異様に生々しい瞬間の連続だ。

 

「ビッチェズ・ブリュー」
(ソニーミュージック SICJ-30077〜78) [1969]

聴きどころ満載の作品ではあるものの、ひとりの奏者としてのマイルスを味わおうというのであれば“リズム楽器としてのトランペット”、“生音とエフェクトをかけた音の対比”あたりがポイントになろうか。エレクトリックのパワーを得てからのマイルスのプレイは一層の輝きとタフネスを得たように感じられる(ただしそれは72年10月の自動車事故まで)。

 

「ビッチェズ・ブリュー・ライヴ」
(ソニーミュージック SICJ-30079) [1970]

前半は『ビッチェズ・ブリュー』録音の前月、ウェイン・ショーターを除くワン・ホーン・カルテットでジャズ・フェスに出たときの記録。後半は『ビッチェズ・ブリュー』米国リリースの約4か月後にキース・ジャレットやチック・コリアを含むラインナップでロック・フェスに出た時に繰り広げた怒涛のメドレー。フェスで燃えあがるマイルスを満喫できる。

 

「ジャック・ジョンソン」
(ソニーミュージック SICJ-30082) [1971]

テオ・マセロが未発表テープを主な素材としてつくりあげた“サウンドトラック”。ちなみにジャック・ジョンソンとは音楽家ではなく伝説的なボクサーの名前である。テオがオクラ音源から拾いあげてくれたおかげで、ジョン・マクラフリンの激越なギターをバックにマイルスが生き生きと吹きまくるパッセージを今も聴くことができるのは幸いだ。

 

「ライヴ・イヴル」
(ソニーミュージック SICJ-30089〜90) [1971]

ライブ音源(たっぷり)とスタジオ音源(短い)のカップリング。マティ・クラーワインのカヴァーアートも印象的なのだが、discogsではエロジャケ認定なのか画像が表示されない。マイルスのトランペットは絶好調、生音はツヤツヤしていて、エフェクトの乗りも良い。『ホワット・アイ・セイ』はエレクトリック・マイルス~ファンク・マイルスの金字塔だ。

 

「オン・ザ・コーナー」
(ソニーミュージック SICJ-30093) [1972]

“黒人の子どもたちに自分の音楽を聴いてもらいたいんだ”というようなことを同時期のマイルスは話していたはずだ。それならドナルド・バードのように歌を入れたりモータウン・ナンバーに取り組む手もあっただろうに、マイルスの音楽の持つ“孤高”“ミクスチャー”ぶりは深まるばかり。エレクトリック・トランペットから、音をちぎっては投げる。

 

「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」
(ソニーミュージック SICJ-30102) [1981]

約6年ぶりのニュー・アルバム。ヴィンス・ウィルバーン(マイルスの甥)を中心とするシカゴ発ファンク・ユニットとのセッションと、ニューヨークの気鋭ジャズ系ミュージシャンとのセッション(これがいわゆる“カムバック・バンド”へと発展する)とのカップリングで、エレクトリック・トランペットは1曲にとどめている。マイルスはまさしく復調した。

 

「TUTU」
(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-29203)

カムバック・バンドのベーシストであったマーカス・ミラーを呼び戻して制作した一枚で、Columbiaと並ぶ大手のワーナー・ブラザーズへの移籍第1弾にもあたる。マーカスは大半の楽曲のトラックを制作し、そこにマイルスがオーヴァー・ダビングする形で制作(ミュート率がとても高い)。一層ポップでソリッドになったマイルスがここに。

 

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