トランペット 記事
アルバム・リリース記念

SHAG “THE PROTEST JAM for PEACE”ライブレビュー

◆2022.7/4 Mon. 恵比寿LIQUIDROOM
 Photo:Keiko Tanabe

LUNA SEA、X JAPANのギタリスト&ヴァイオリニストであり、自己のセッションやコンポーザー、プロデューサとしても活躍しているSUGIZOが2002年に結成したプロテスト・ジャズロック・バンド“SHAG”。
2020年に新しいメンバーを迎え、再始動したSHAGのファン待望となる初アルバムが7月1日に発売され、リリース記念ライブが7月4日、恵比寿LIQUIDROOMで開催された。


SHAGを含めSUGIZOのプロジェクトでは、久々のスタンディングライブだ。この日を待ちに待ったファンの熱気が、開演前から会場を包む。

SUGIZO、結成初期からのメンバーであり日本を代表するベーシスト KenKen、ジャズシーンを牽引する屈指のトランペッター類家心平、元Yasei Collectiveの鬼才であるキーボーディスト別所和洋、SUGIZOとの共演も多い多彩なパーカッショニスト よしうらけんじ、2020年再結成時に抜擢された超絶技巧ドラマー 松浦千昇の6人がステージに姿を表すと、一瞬にしてライブハウスが異空間の世界に変貌する。

オープニングの『ANTI-WAR I』の一音目からそこはSHAGの世界と化す。KenKenのベースがよく響き、SUGIZOのギターがベースに絡み、さらに類家のトランペットが音を立体的に作り上げる。
『THE CAGE』では、早くも類家のトランペットが炸裂する。まるでリズム隊の上で踊っているようなインプロヴィゼーション。目まぐるしく音を並べる類家、SUGIZOの泣きのソロ、それは安定感抜群のリズム隊がいるからこそ自由に歌えるのだろう。ファンには聴き慣れた曲ではあるが、聴くたびに進化していくのを実感する。


『Initiation of Rebellion』で類家はエフェクターを巧みに使い、ハーモニーを演出し、音楽に色合いと香りをもたせ、音楽をリードしていく。

SUGIZOのプロジェクトは、オープニングからアンコールまでMCなしのノンストップのライブが多く、昨年までのSHAGもこの形で進行していた。しかし今回はMCを挟み進行していく。KenKenとSUGIZOの掛け合いに会場が湧く。これはファンにとってはたまらない時間であろう。メンバー紹介のあと、別所がMCがを引き継ぐ。
4曲目『KAMOGAWA〜天一FUNK』別所の作品。“KAMOGAWA”とは、京都の賀茂川のことで、この曲は6月23日にSUGIZO、KenKen、別所、松浦の4人で行なわれた京都FANJでの“小SHAG”で初披露され、その場でタイトルが決まった曲。“天一”は総本店を京都にもつ“天下一品”のこと(ちなみにSUGIZOは天下一品のイメージキャラクターを務めている)。この曲はSUGIZOの作品とはまた違った色合いを持ち、懐かしさと感じさせる。

 
 

5曲目はSUGIZO曰く、SHAGの精神性が込められた『Rebellmusik』。ステージのスクリーンには、“NO WAR!”“STOP WAR!”の文字と共に人々の姿が映し出される。ベース、パーカッション、ドラムが心臓の鼓動を刻み、平和を祈るような類家のトランペットが切なさを感じさせる。現在のウクライナ侵攻に想いが至り、傷ついた人々の心が迫ってくるようだ。


『FATIMA』ではSUGIZOはヴァイオリンに持ち替える。艷やかな音色が会場を包み、別所のソロへ。
MCを挟み別所の新曲。この曲もその場で『MEGUROGAWA』と名付けられる。類家はソロでミュートを使い、その音色がメロウな曲調にピッタリ。その後松浦のソロ。まだ23歳の松浦の軸のぶれない超絶技巧に息を呑む。
次にセロニアス・モンクの名曲『Round Midnight』、当然ながら類家をフィーチャリングした構成。サブトーンの使い分けが素晴らしい。
ダークな音進行が心地よい『Jam in the Plandemic』を挟み、本編最後は『Pray for Mother Earth』。この曲は“アースデイ東京2006”のために、2021年に亡くなったトランペット奏者 近藤等則とSUGIZOがコラボして作ったバラードだ。ヴァイオリンとトランペットの絡みがこの上なく美しい。
アンコールは『Improvisation』『ANTI-WAR II』の2曲。

類家のトランペットはすべての楽曲において、SUGIZOとともにアグレッシヴに音楽を牽引し、的確に音を選び音楽に立体感を積み重ねていく。
SHAGにはSUGIZOが常に提起し続けている難民や戦争に対しての社会問題が根底にあり、それに共感するメンバーとオーディエンスが、ともに音楽を作り上げていく。その思いは、さらにSHAGを進化させることは間違いないだろう。次はどんなSHAGの音楽を聴かせてくれるのか、楽しみである。

◆セットリスト
ANTI-WAR I
THE CAGE
Initiation of Rebellion
KAMOGAWA〜天一FUNK
Rebellmusik
FATIMA
MEGUROGAWA
Round Midnight
Jam in the Plandemic
Pray for Mother Earth
※アンコール
Improvisation
ANTI-WAR II

◆Member
SUGIZO:Guitar, Violin (LUNA SEA、X JAPAN)
KenKen:Bass (RIZE、LIFE IS GROOVE)
類家心平:Trumpet (RS5pb、菊地成孔ダブ・セプテット)
別所和洋:Keyboard (パジャマで海なんかいかない)
よしうらけんじ Percussion
松浦千昇: Drums (Yukino & Glanax)





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