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第2回吹奏楽みやぎ小編成バンド楽曲研修会

レポート:第2回吹奏楽みやぎ小編成バンド楽曲研修会事務局・佐藤 学

『困った! あの楽器を吹ける生徒がいない。編成がアンバランスだ。どうしよう?! ……フレキシブル編成で解決 パート2』
〜オーケストレーションによるハーモニーの厚みと色彩感の実験〜

2つの学校による20名程度の合同バンドですが、Bb Cl.×3に対してFl.×4とTp.×3、Tb.とEuph.がいないなどアンバランスな編成です。昨年は『欠けている楽器をどのように補うか』をテーマにしましたが、今年はさらに突っ込んで『いるメンバーで効果的な響きをどうつくるか』をテーマにし、「彼方の光を掴むとき」を用いて、楽器編成の足し算と引き算を行い、理想的なサウンドに近づけることを模索していく実験を行いました。

吹奏楽みやぎ小編成バンド楽曲研修会
吹奏楽みやぎ小編成バンド楽曲研修会

アンサンブル想定で作曲された「フォルモサの風」に対し、「彼方の光を掴むとき」は小編成吹奏楽を想定して作曲されており、同じパート内でも div. でオクターブで分かれたり、内声に分かれることを選択できるようになっていることを紹介しました。
次に前述の出版社からの留意点を守りながら、オーケストレーションによるハーモニーの厚みと色彩感の実験を行いました。

(a) Fl.とTp.のメロディーが元の楽譜だと1オクターブ離れているが、Tp.を1オクターブ上げ、Fl.と同じ音域を演奏することによって倍音を増やし華やかな響きにする。
(b) 高音域や中音域にベースの声部の5度上で演奏している声部がある場合、ベースの5度上の音低音域までオクターブを下げ、低音楽器(今回はTub.をdiv.)で5度の和音を作ることで重厚な響きにする。

最後に、打楽器奏者が1名〜6名までの各人数で演奏することを想定している曲なので、打楽器奏者が1名の場合と打楽器奏者が6名の場合を聴き比べました。

『フレキシブル版と吹奏楽版のいいとこ取り!!』

「マカーム・ダンス」のフレキシブル版の前半と吹奏楽版の中間部、フレキシブル版の後半と吹奏楽版の後半は、同一の場面になっています。フレキシブル版を8名で演奏、その後、吹奏楽版を20数名で演奏し、2つの版の演奏を聴き比べました。
作曲者である片岡先生から「作曲当初の経緯や使用している音階(マカーム音階と全音音階)、フレキシブル版から吹奏楽版に拡大する際には「倍音を意識して楽器配置を行った。打楽器でビート感と色彩感を出すことを意識した。」などの貴重なお話を伺うことができました。

吹奏楽みやぎ小編成バンド楽曲研修会

最後に、作曲者本人の指揮の下、2つのバンドを場面毎にフレキシブル版と吹奏楽版を切り替えて演奏したり、同時に演奏するという実験を行いました。
近年、アンサンブル版と吹奏楽版の両方で出版される楽曲が増えてきました。出版社からの許諾が必要にはなりますが、編成上や技術的な都合で曲の一部をアンサンブル版で演奏することを選択肢の一つとしてもよいのではないでしょうか。

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