◆トロンボーン:郡 恭一郎 Kyoichiro Kori
桐朋学園高校音楽科及び同大学卒業。フランスとアメリカでも学ぶ。第1回日本トロンボーンコンペティション四重奏部門第1位、日本吹奏楽学会賞受賞。昭和音楽大学、国立音楽院、各講師。日本トロンボーン協会理事。シエナ・ウインド・オーケストラ団員。ソロCD を3枚リリース。トロンボーン教本をヤマハより2冊発刊。ウイリーズ・ カスタムブラスより、マウスピース「K2」「Colin」両シリーズを発売。ステイト・ブラス主宰。TV 出演も数多い。
Q.ハイトーンを楽に吹きたい!
ハイトーンが出ません。吹奏楽の曲でソロがあるのですが、その中の高い音を吹くと「きつそうに聞こえる」と言われます。ハイトーンが楽に吹けるような練習を教えてください!
A.コツコツと半音ずつ増やしていこう
いま自然に出せる高い音をロングトーンやタンギング、リップスラーなどでたくさん吹いて、その音がさらに楽に出せるようにしましょう。そこから半音ずつコツコツ上げていくことが大事です。また、静かな音でそのパターンを一オクターブ下げて吹いてみましょう。上手くできたら、その譜面を完全4度や完全5度上げて吹きましょう。そして最終的に元の高さで吹いてみましょう。きつかったら、また1オクターブ下に戻って……。一つのパターンとして譜例1を毎日コツコツやってみましょう。(譜例1)
【譜例1】ハイトーンで、きつい時はTi-やi-の発音で吹く。中音域はTa-やa-で。かなりの低音はTo-やo-で
Q.大きな音でも響きのある音を出すには?
fで音を出すと音が割れてしまいます。プロの方のように大きな音でも響きのある美しい音を出すコツ(練習法)を教えてください。
A.まずはp~fまで、それから pp~ ffまで広げて
息をたっぷり吸って、ロングトーンでクレッシェンド~ディミヌエンドの練習をいろいろな音域で毎日多めにやると良いでしょう。その時にマウスピースと唇を舐めて、湿らせて吹くと良いですね。最初は無理をしないで、出しやすいp~fで練習し、上手くいきはじめたら pp~ ffまで出せるように練習していきましょう。
音程は最初はあまり神経質にならなくて良いのですが、慣れてきたら、なるべく正しい音程と良いサウンドで吹けるようにしてください。唇だけでのバズィングや、マウスピースでのバズィングも毎日少し練習すると良いと思います。その時も正しい音程と美しいサウンドでやりましょう。
それといろいろなパターンや音量でのリップスラーも音質を良くするのに効果的です。
E. レミントン著「トロンボーンの為のウォームアップエクササイズ」(アキュラミュージック)が、日々のウォームアップや基礎練習にとても有効です。是非毎日多めに練習してみてください。どうしても音が割れる人は(少しなら割れても良いですが……)、タンギングの発音をTa ではなくDa としてみましょう。割れにくくなると思います。タンギングしたと同時に太めで豊かな息を楽器に送り込むことも大事です。
Q.これだけはやっておきたい!
トロンボーンこれだけは気をつけてほしい、この練習はしてほしいものは?
A.ロングトーン、タンギング、アタック……いろいろ
まず体のストレッチや、体操等をして、体をほぐします。そして呼吸の練習を毎回やりましょう(練習の合間合間にやるのも良いです)。唇だけのバズィング→マウスピースでのバズィング→ そしてレミントンの「ウォームアップエクササイズ」にロングトーン、タンギング、遅いリップスラー、速いリップスラー、ハイトーンの練習、音階、ブレスコントロールなど、様々な譜例が載っていますので、是非入手して、毎日多めに練習してみましょう。
基礎合奏の教材(3D やティップス等)を一曲一曲丁寧にやるのも良いです。何事も目的意識を持ってやりましょう。
ロングトーンを究めれば、音質が良くなります。タンギングを熱心にやれば、発音がクリーンになります。色々な発音のタンギングをやれば、アタックのバリエーションが増えて、表現力が豊かになり、リップスラーが上達すれば、柔軟性が増し、アンブシュアの筋力もUP します。色々な長短調の音階をやれば、楽器の抜けのバランスが良くなりますし、苦手な調が減り、ソロもソリもユニゾンもハーモニーも精度が増すでしょう。二人一組や、一人対残りのセクション全員、などでお互いに交互に同じ音形の基礎練習を吹き合うのも、良い練習になります。