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みんなのキニナルを解決!? プロに聞く!Q&A

特集シリーズ \ 第1弾 /

Contents

ホルン
トランペット
テナートロンボーン
バストロンボーン

◆バストロンボーン:山口隼士 Shunji Yamaguchi

山口隼士さん

東京芸術大学卒業、同大学院修士課程修了。在学中にシエナ・ウインド・オーケストラに入団。第26回日本管打楽器コンクール第3位。トロンボーンを金川マコト、栗田雅勝、秋山鴻市の各氏に師事。現在、シエナ・ウインド・オーケストラ楽団員、洗足学園音楽大学非常勤講師、尚美ミュージックカレッジ専門学校非常勤講師、ザ・トロンボーンアンサンブルマイナーズのメンバー。

Q.バテずに吹きたい

長時間吹けないのが悩みです。吹奏楽で1曲吹くと、唇がバテてしまいます。バテないようにするための練習を教えてください。

A.無駄な力が入ってない?

「長時間吹けない」ということについてはいくつか問題点があると思います。

楽器の持ち方・姿勢・バランス

どんなに長い曲でも数小節の休符が何箇所かにありますよね? 一番構えっぱなしなのはマーチ類だと思いますが、それでも3 ~ 4分ではないでしょうか? ちなみに僕自身3分間も構えていられない状態になった場合、楽器の持ち方・姿勢・バランスのどれかが上手くいっていない。それでなければ単純に筋力不足(笑)と思っています。
次に唇がバテてしまうとのことですが……「唇はバテません!」
みなさんがバテるとおっしゃるのは唇ではなく、口の周りの筋肉(口輪筋)です。口輪筋をはじめ複数の筋肉繊維が折り重なって活動してアンブシュアを形成しています。こういった些細なイメージのズレや認識の違いで筋肉に過度の負担をかけたり、あまり効率的ではない癖がついてしまったりするのです。
バテないようにする練習ですが、効率のよい練習をとにかく繰り返すしかないと思います。
「効率よく休む」「姿勢・バランス」「正しく明確なイメージ」「効率の良い練習を繰り返す」ということが大切です。

Q.ペダルトーンが苦手

ペダルトーンが出ません。何か特別な練習が必要ですか?

A.筋肉が順応するようにロングトーン練習を!

ペダルトーンはその言葉通り、その楽器の「基音」となる倍音列のことを指します。つまり該当するポジションで出る一番低い音がこれにあたります(F 管等を用いたポジションは第8・第9ポジションetc……と理論的に置き換えます)。
この質問の本質は「低い音がうまく吹けない」ということになります。特別な練習はなくロングトーン、リップスラーあるのみです。過度の変化は筋肉が順応する前に壊れてしまいますので低い音のリップスラーは特にゆっくり丁寧に。楽器が良い音でしっかり響いてから音を移るくらいの丁寧さがあるといいですね。緩めすぎるとピッチに芯のない、ただのだらしない音になってしまいますので筋力を緩めすぎないことに注意してください。
またしっかりチューナー等で音程をチェックしながらロングトーンをするのをおすすめします。

Q.低音のタンギングが上手くいかない

タンギングに自信がありません。特に低音で速いタンギングが必要なときに音とずれている気がします。練習法を教えてください。

A.どのくらいのズレか認識しておこう

大半が舌をより強くつき、息をかなりのスピードで吹き込んでアプローチしてしまっているのをよく見かけます。まずは
① 楽器がより速く振動してくれるように繊細な練習をする
→自分の脳が考えたタイミングから息を吐いて音が発生するまでにどれだけのタスクがあるということを理解することによって自分の思うタイミングと一致してきます。
② 自分の思うタイミングと実際に音が出るタイミングのズレは録音機を使って自覚する
→大きなホールなど時差が生まれやすい状況での応用が利くようになります。

練習方法ですがまずはゆっくり、大きな音ではなくf以下のバランスで、きちんと思ったタイミングで吹けているか? 先に挙げた2つの内容に注意しながら練習するのが良いと思います。

Q.これだけはやっておきたい!

バストロンボーンでこれだけは気をつけてほしい、この練習はしてほしいというものは?

A.5・6・7ポジション、ちゃんと練習していますか?

イラスト中村あつこ

イラスト 中村あつこ

まず声を大にしてお伝えしたいのは、楽器のメンテナンスについてです。
◆つば抜きのコルク、石突きのゴムなど劣化していませんか?
1年、半年に一回は交換する必要があります。楽器の凹み、スライドの歪みについては言語道断です!
◆楽器を左手だけで持って、姿勢が崩れないままきちんとリップスラーが吹けますか?
右手は90 % スライドコントロールのみに使います。
◆演奏中、疲れてきて無意識に右手でも楽器を支えてしまっていませんか?
トロンボーン専用のハンドストラップが比較的安価に手に入りますので、ぜひ使用することをお勧めします。更に!どうしてもお伝えしたいのは、「5・6・7ポジションをちゃんと練習しましょう!!!!!!!!!!」ということです。
1~4ポジションまでは視野にベルが入ることもあって目安がつかみやすいかと思いますが、6・7ポジションの時に楽器が著しく下がり、姿勢とアンブシュアが崩れてしまっているのも大変ショックなことです。
6・7ポジションの時の楽器の角度・姿勢・アンブシュアのまま、スライドだけ1ポジションに戻して吹いた時にいい音が出ますか? 僕は7ポジションでも姿勢が崩れないようにスライドに紐を付けています。見た目格好悪いと思うかもしれませんが、いい音でしっかり演奏できないほうが余程格好悪いと僕は思っていますので、練習時は必ず紐をつけて練習するようにしています。

ちなみに挙げた内容はバスだけでなくテナーの方にも多い事例ですので、気をつけてもらえたら更なる技術向上につながると思います。

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