THE FLUTE ONLINE連載

山元康生の吹奏楽トレーニング!│第6回

チューナーは上手に使いましょう!

次は音階とアルペジオの形で、チューナーを使ってゆっくりと練習してみましょう。
ここでは吹奏楽によく使われる調で練習します。
本当はすべての調で練習したほうが良いです。

【譜例2】

連載第1回で♭4つまでの調号の長音階とアルペジオを暗譜で吹けるように練習をしたので、多少形が変わっても、すぐに対応できるはずです。
各段の前半Aが音階の形、後半Bがアルペジオの形になっていますので、十分な練習時間がないときは、どちらかを選んで練習することができます。
全部の音の音程をチェックする必要はありません。
◎の付いているそれぞれの小節の最初と最後の音をチェックしてください。そうすると、その間にある音は自然に悪くない音程になっているはずです。
一番下の変ロ長調を吹き終えたら、最初に戻って1オクターブ上げて高音域を練習しましょう。

チューナーが右に振り切れる人は、構えが弱く唇を固くして吹きつけているのだと思ってください。中低音域で音程が合うのであれば、吹き方を極端に変えない限り高音域でも音程が合うはずなのです。
ここを克服すると音程だけでなく音が良くなります。

顔の上下で音程をコントロールすることはやめましょう。これまでに、この連載で学んだことを注意すれば「悪くない」音程で吹くことができるはずです。
私の恩師、小泉剛先生が「良い吹き方をしていれば音程は良くなる」と言っておられたのは前述の通りです。
私は「無理なく良い音程で吹くことができる奏法を捜せば音は良くなる」のだと思います。「逆もまた真なり」ということです。

音量と音程の関係

フルートは一般的に fでは音程が高くなりやすく pでは音程が下がりやすい傾向があります。顔を下げて吹いていると、特にその傾向が強く出ます。
ロンドン交響楽団やアカデミー室内管弦楽団の首席奏者を歴任した、イギリスの名フルーティストで名教師のウィリアム・ベネット氏の画像をご覧ください。

ウィリアム・ベネット

私は、お手本にすべき素晴らしい構えだと思います。
もちろん彼は常に正確な音程で演奏しています。

音量による音程の変化をなくす練習には以下のような練習が有効です。

【譜例3】

前回の連載にも書きましたが、パワフルに fで正確な音程で吹いた後に pでは息の量だけ減らして、その他は変えないように注意しましょう。
pはリラックスして吹くものではありません。
pこそパワフルに吹かなければなりません。
構えの圧力とお腹の圧力は pで吹くときに音程や音質が下がるのを防いでくれます。

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