THE FLUTE ONLINE連載

山元康生の吹奏楽トレーニング!│第6回

メロディを表情豊かに正確な音程で吹きましょう

シューベルトが作曲した『「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲』の第3変奏を練習してみましょう。


【譜例4】シューベルト作曲「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲より第3変奏

ホ長調で書かれたオリジナル譜に、私がダイナミクスとテヌートを大げさに付けてみました。
まず全体を常に fで吹いてください。
その際に、ただ大きな音というだけでなく「雄大な」「おおらかな」「輝かしい」「喜ばしい」などのイメージを持って、伸びやかに気持ちよく表現してみてください。
次に pで(息の量を減らすだけです)同じように「雄大な」……などのイメージで吹いてみましょう。
こうすると繊細優美ながら語りかけるような表現ができ、しかも「悪くない」音程で吹けているはずです。
最後に私が付けたダイナミクスで繊細優美と大胆奔放を表現してみましょう。
テヌートが付けられた音には重みをかけてください。一般的にディミヌエンドはクレッシェンドより難しいので、より丁寧に何回も練習しなければなりません。
例えば第2小節目は、以下のように練習することをお勧めします。

【譜例5】

ゆっくりのテンポでリズムは付けずに pで始めてC♯2から段階的に息を減らしていきます。
常に構えとお腹の圧力をフルにしておかなければ、音質・音程が下がってしまいますよ!
いかがでしょうか? ゆっくり練習すべきところは、指が難しいところだけではないことがよくわかったと思います。
このメロディには「音階」「アルペジオ」「音の跳躍」と、いろいろな要素が入っているので良い練習になると思います。
十分練習して楽しんで吹くことができるようになったら【譜例6】の中の、どの調でも、どの音域でも、どのダイナミクスでも「悪くない」音程で楽しめるように練習してみると良いでしょう。

【譜例6】

これまで「音作り」「音量のコントロール」「ハーモニクス」そして今回の「音程」と基本的なトレーニングを連載してきました。
そのすべてに共通した注意点は「基本的な奏法を身に付ける」ということです。もう一度、連載第3回からの奏法についての説明を確認して実行してください。悪くない音程で吹けない人に最も必要なことです。

上手く吹けなくて良いのです。
上手く吹けないから練習するわけで、最初から上手く吹ける人などいません。
基本的な奏法を根気よくトレーニングする事で、音程だけでなく音質や音量、次回に説明するタンギングの改善にも大きく役立ちます。
いつも、上手くできないことが見つかったら「これはチャンス!」と思って果敢に挑戦してください。

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