THE FLUTE vol.170

山元康生の吹奏楽課題曲練習ノート"マーチ編"

本誌で人気を博した連載「フルート名曲練習ノート」が、「吹奏楽課題曲練習ノート」として再登場!2019年の吹奏楽コンクール課題曲の中からマーチ2曲を、山元康生先生が教えます。

山元康生

プロフィール
山元康生 Yasuo Yamamoto
1980年、東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。同年6月渡米し、ニューヨークでのジュリアス・ベーカー氏のマスタークラスに参加し、ヘインズ賞を受賞。その後2ヵ月間にわたってベーカー氏に師事。1982年、宮城フィルハーモニー管弦楽団(現・仙台フィル)に入団。1991年より、パリ・エコールノルマル音楽院に1年間学ぶ。1997年から度々韓国に招かれマスタークラスやコンサートを行なう。また、2006年にはギリシャとブルガリアにてマスタークラスとコンサートを行なう。2002年、Shabt Inspiration 国際コンクール(カザフスタン)、2004年、Yejin音楽コンクール(韓国)、仙台フルートコンクールに審査員として招待される。

 

2019年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅱ
マーチ「エイプリル・リーフ」

2019年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅳ
行進曲「道標の先に」

吹奏楽でフルート、ピッコロを吹いている皆さん、指導者の皆さん。コンクールが近づいてきましたね。
「名曲練習ノート」の特別編として、今年度の吹奏楽コンクールの課題曲『マーチ「エイプリル・リーフ」』と『行進曲「道標の先に」』の練習方法を掲載します。

曲を吹き始める前に、ここがポイント!
THE FLUTE 164号より

練習に入る前に、私が吹奏楽でフルート、ピッコロを吹いている方々を指導した経験から、気づいたことを書いておきます。
吹奏楽ではクラリネット、サクソフォン、トランペットなど、フルートと違ってE♭管、B♭管と呼ばれる移調楽器が易しく吹くことができるように、フラット系の曲が大変多くなっています。
フルートにはB♭を右手人差し指を押さえずに吹くことができる大変便利な「ブリチャルディキィ」や「Ais(アイス)レバー」が付いています。

ブリチャルディキィ
Aisレバー

これを使わずに常に右手人差し指だけでB♭を吹いている方が大変多いのに驚いたことがありました。音階などの基礎練習では指使いを易しくする、これらのキィは使わないで練習するのですが、実際に曲を吹く時には便利なキィを使って楽をしましょう。

運動をしないと足腰が弱るのでジョギングやランニング、筋力トレーニングが必要だけれど、日常生活には電車やバス、自動車や自転車が欠かせないことと同じです。
特にAisレバーは使ったことのない方がかなりいると思います。右手人差し指によるB♭よりも音の連結をスムーズにして、リスクを減らすことができる便利なキィですので、少々の練習はしなくてはなりませんが、この機会にマスターしてしまいましょう。
具体的な使い方は、後ほど譜例を使って説明します。
「もう吹けるようになったから、こんな練習は必要ない」と思っている方も、リズム変奏を利用して丁寧に練習してみてください。どんなリズム変奏でも余裕をもって正確に吹けるようになると、自分で気づかないうちに音や音程が良くなります。これは、指に気をとられないようになると耳が良く働いて「もっと良い音で吹こう」と無意識に心がけるようになるからです。

リズム変奏は4連符用、6連符用、共に5つのパターンが示されています。これら5つをすべてを利用して、それぞれ最低4回は吹いてください。

練習譜例

譜例にあるエクササイズは、算数のドリルのようなものです。問題の解き方が解っても、同じタイプの問題を繰り返し解く練習を重ねると解くスピードが早くなり、ミスが少なくなるのと同じです。また、こういう丁寧な練習を行なうと、本番でアガってしまっても、正確に吹くことができます。アガらないための「おまじない」よりも、はるかに確実ではありませんか!?

>次のページから各曲の練習方法に入ります!
2ページ目:マーチ「エイプリル・リーフ」
3ページ目:行進曲「道標の先に」

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