サックス記事 第06回 持ち替えテクニック
クラシカルサックスレベルアップ講座 │ 第6回 from THE SAX vol.104

第06回 持ち替えテクニック

THE SAX vol.99よりスタートした「クラシカルサックス レベルアップ講座」。講師に角口圭都さんを迎え、音色やテクニックを少しでも向上するために、わかりやすく解説してもらいます!

角口圭都 Keito Kadoguchi
富山県出身。東京芸術大学、同大学大学院音楽研究科を卒業。サクソフォンを池上政人、冨岡和男、須川展也、平野公崇、大城正司の各氏に、室内楽を中村均一氏に師事。第9回北陸新人登竜門コンサート優秀賞受賞。第9回ルーマニア音楽コンクール第1位。
「TOYSPARK」メンバー。「Dreamvivo Jazz Orchestra」主宰。「piazzolla de saxophone quartet concert」等、様々なコンサート企画も行う。クラシック専門インターネットラジオ「OTTAVA」の「OTTAVA Salone木曜日」にてプレゼンターを務めている。
2019年9月初ソロアルバム「Chau Paris」を発売。

第6回 サックスには必須! 持ち替えテクニック

今回第6回目のテーマは、【持ち替え】です! 
アルトからソプラノへ......
ソプラノからテナーへ......
など、演奏していると楽器の持ち替えが生じることもあります。
曲中で持ち替えたり、作品の個性で楽器を替えたり、あるいは日によって編成が変わり楽器が変わる......など状況は様々かと思います。クラシックサックスでは、アルトサックスが基準となっているので
音大受験もアルトですし、作品も多く作られています。アルトサックス以外のサックス(ソプラノ・テナー・バリトン......etc.)は、「特殊管」と呼ばれています。ですから初心者の方にはまずはアルトサックスから始めるのをオススメしています。
だんだんと上達してある程度吹けるようになってくると、他のサックスも吹いてみたい!と思われるのではないでしょうか。ぜひトライしていただきたいですね。

 

奏法の考察

A:マウスピースをくわえる深さ
大きな楽器のマウスピースは深く、小さな楽器のマウスピースは浅くくわえます。くわえる深さは音色に影響しますね。深すぎると、音の輪郭がなくなり“ボサボサ〜、ビャ〜”のような荒れた音に。浅すぎると、鼻をつまんで出した声のような、響きのない“ミーン”とした音にな ります。

B:下唇の巻き込み
巻き込みを変化させると下歯の歯型の位置も連動して変わります。巻きが浅いほうがリードに加わる圧力が高まります。唇の厚さには個人差ありますので最適なポジションが見つかるといいですね!

C:息の太さ
息の太さをストローの太さで表現すると......
 ソプラノ:パック牛乳などに付属している細いストロー
 アルト:500ML紙パックについてくるストロー
 テナー:コーヒーショップでもらうストロー
 バリトン:タピオカ用ストロー

こんなイメージでしょうか! 管の太さに合った息を入れることでそれぞれの楽器が持つ個性をより表現できると思います。

D:タンギングの強さ
マウスピースが小さい時は、口の中の動きを小さく、マウスピースが大きい時は口の中の動きを大きくするようにおすすめしています。ただし顎は一緒に動かさないように。マウスピースの大きさによってリードに当たる舌の位置も変わりますし、口の中の容積が変化すると音色 と音程に影響が出ます。もちろん、曲想によってタンギングの強さは変化しますので、適宜工夫しましょう!

E:重心の意識(力を入れるおなかの位置)
ソプラノの時はシックスパックの上部、みぞおち当たりに“キュッ”と力を入れ、体幹を寄せるイメージです。楽器が大きくなるにつれて、意識は下に下げます。シックスパックの下部から、丹田、骨盤あたりを意識し“ずん”と腰を据えて下っ腹に力を入れるイメージです。

F:セッティング
セッティング表を見ると、大きな楽器になるにつれ吹奏感が少しずつ軽くなるようなものを使っているように感じます。大きく・重くなるほど息の量や体力も使わなければいけないので吹き心地は軽くしたい傾向ですね。どこかの楽器だけが飛びぬけて重い(もしくは軽い)セッティングというのはないですね。

 

持ち替えのコツ

統一性のあるセッティングで、それぞれの楽器によって吹き方を変えていくと持ち替えがうまくいきそうだということがわかってきました! ですが、プレイヤーによっていろいろなこだわりがあります。
自分の納得いくセッティングと奏法で気持ちよく演奏できること がなにより大事と思います。
最後に、角口圭都の持ち替えのコツをご紹介します。「同じサックスと思わない!」ことです。
え!?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、まったく別の楽器を吹く!という気持ちで頭の中のスイッチを切り替えていく感じでいるとすんなり次の楽器に入ることができます。
水泳選手や陸上選手も100mと200mでは走り方や泳ぎ方、レース配分が変わるように、練習する中でそれぞれの楽器の吹き方を固定し、体に覚えこませています。鳴らしたい音のイメージをしっかりと 持ち、体の使い方を変化させていきましょう。

 

おわりに

第6回のレベルアップ講座はいかがでしたか?
今回は「持ち替え」というテーマでしたが、奏法を見直すヒントも たくさん盛り込んでいます。
ぜひレベルアップのための参考になさってくださいね。
また、これまでのレベルアップ講座1〜5回の譜例を演奏した「模範演奏動画」も角口圭都YOUTUBE チャンネルにて公開中です。ぜひご覧になってみてくださいね。

 

 

 
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登場するアーティスト
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角口圭都
Keito Kadoguchi

富山県出身。東京芸術大学、同大学大学院音楽研究科を卒業。サクソフォンを池上政人、冨岡和男、須川展也、平野公崇、大城正司の各氏に、室内楽を中村均一氏に師事。第9回北陸新人登竜門コンサート優秀賞受賞。第9回ルーマニア音楽コンクール第1位。「TOYSPARK」メンバー。「Dreamvivo Jazz Orchestra」主宰。
「piazzolla de saxophone quartet concert」等、様々なコンサート企画も行う。クラシック専門インターネットラジオ「OTTAVA」のOTTAVA Salone、OTTAVA Premio にてプレゼンターを務めている。2019年9月初ソロアルバム「Chau Paris」を発売。
(2020.05)

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