サックス記事

P.モーリア PMXT-66R KW×宮地スグル 試奏検証

THE SAX vol.105 Gear Report

サウンドと機能性を追求し世界の名だたるプレイヤーに愛用されているサックスブランドP.モーリア。
そんなP.モーリアのサックスの中でもカーク・ウェイラム氏の使用で注目を集めているモデルが「PMXT-66R KW(管体コニャックラッカー)」だ。そこで今回、卓越したテクニックと洗練されたアドリブでジャズシーンに限らずオールラウンドなフィールドで活動する実力派テナープレイヤー宮地スグルさんに試奏してもらい、PMXT-66R KWの音色や特性など検証してもらった。その様子をお届けしよう。


今話題のテナーサックス
P.モーリア
PMXT-66R KW(管体 コニャックラッカー)

PMXT-66R KW
ネックにはカーク・ウェイラム氏提案の2本の補強支柱が取り付けられている

メタル製サムレスト

美しいアヴァロン貝製のキィシェル

P.モーリアのロゴが配されたオリジナルデザインの3点支持リング

機密性を高めリゾネーターの響きを余すことなく管体に伝えるロールドトーンホールを採用

メタル製サムフック

P.モーリア オリジナルデザインのLowB、Bbキィガード

 
付属品のマウスピース、オリジナルセミハードケース
 

 

宮地試奏1
P.モーリアPMXT-66R KWを試奏しての印象をお願いします。
宮地スグル
(以下M)
見た目の印象から、吹く前は明るく派手な音色をイメージしていましたが、想像していたのとは違ってダークな傾向の音色ですね。かといってダークすぎず程よいダークさです。もちろん使うマウスピースによって音色のキャラクターは変わると思いますが、新しい楽器というのは、めちゃくちゃ明るいか、わざとらしくダークにしているようなものも多いのですが、このPMXT-66R KWは、普段使っているヴィンテージと音色も吹奏感も違和感がなく、吹いていてストレスを感じません。
ヴィンテージのサックスのような音色、吹奏感を感じるということでしょうか?
M
そうですね。自然な感じで、違和感なく吹けました。音の鳴りも音色もとても素直な印象です。ただ、ヴィンテージ楽器を意識して造られたかどうかはわからないです。元々の音量とか音色に明確なコンセプトがあって造られたのかもしれません。
PMXT-66R KWを現在カーク・ウェイラム氏が使用していますが、この楽器からカーク・ウェイラム氏の音色がイメージされますか?
M
カーク・ウェイラムさんの音色は、フュージョン系の奏者のようにすごく明るいわけではなく、かといってジャズのざらついた音ではないですよね。
程よいダークさと、程よい雑味があり、こもりすぎずパワーがある。
ド派手な音色というより、太めでリッチな音だと思うのですが、この楽器はまさにカーク・ウェイラムさんのようなイメージの音色だと思います。
カーク・ウェイラム
2019年の12月、ブルーノート東京のライブで来日した際のカーク・ウィラム氏。“PMXT-66R KW”から生み出されるメロウ&エモーショナルなサウンドに会場は包み込まれた。
 
音の鳴りについてはどうですか?
M
すごく鳴ります。僕が使っているマークVIより、ボーンと鳴りますね(笑)。大きなステージやホールでも十分良く響くと思います。レスポンスも良く、低音がすごく吹きやすいです。低音が出しにくい楽器だと、ずっとその楽器と喧嘩しなくてはなりません。低音が楽に出せるのはその楽器と相性が良いということです。
ただ、音の重心が低いというわけではなく、フラジオ音域も音があたりやすいです。ダブルHigh Fまでしっかりと出ました。楽器によってはフラジオのあたりにくいものがありますが、この楽器は高音域がとても出しやすいです。
いつも試奏を行なうときは、まずは低音をチェックするんです。
中音域が鳴らしやすいのはどの楽器も一緒ですが、低音と高音が鳴らしやすいのが重要で、個人的にはそういう楽器が好きですね。もちろんみんな好きなんだと思いますが(笑)。
音のレスポンスはどうですか?
M
レスポンスも良いです。自分の楽器もレスポンスの良さが気に入っているんですが、そもそもマークVIはレスポンスの良い楽器で、このPMXT-66R KWも同様に、かなりレスポンスの優れた楽器だと思います。
ネックに2本の補強支柱が取り付けてあるのが特長的ですが、支柱によってどのような効果をもたらしているのでしょうか?
M
僕のマークVIのネックにも付いているんですが、個人的に広がる音が好きではなくて、フォーカスされた音が好みです。この支柱があることで音がフォーカスしやすくなります。
宮地試奏2
指向性のある音ということですか?
M
そうですね。指向性がある音の場合、隣に誰かいたとして、音量は小さく聞こえるかもしれませんが、音が前に飛んでいけば良いと思うんです。そういった音はマイク乗りも良く、このネックにはそういう狙いがあるのだと思います。
先ほど、音の鳴りについて話しましたが、もともと手元で音が鳴っているような感じではなく、常に音がより遠くに飛ぶような意識で吹いているんです。この楽器自体も手元で鳴るタイプではなく、音が遠鳴りする楽器だと思います。
キィレイアウトなど楽器を手に持った感じはどうでしょう?
M
僕は手が大きいので、自分の楽器もハイサイドキィにパテで盛り上げて調整しているんですが、PMXT-66R KWは持った感じもマークVIと違和感なく、キィが大ぶりな感じはないですね。しっくりときます。
どういったシーンやジャンルでの活用がオススメですか?
M
メインストリームジャズはもちろんバッチリだと思いますし、ムーディーな演奏も映えると思うので、スムースジャズにもとても良いと思います。まさにカーク・ウェイラムさんのようなスタイルに最適だと思います。
 

〈P.モーリア “PMXT-66R KW”〉
[希望小売価格] ¥506,000円(税込)

[仕様]イエローブラス素材、コニャックラッカー仕上げ、ハイF#キィ付き、ラージベル、ロールドトーンホール、キィシェル アバロン貝、Super VIネック SP with Brases
[付属品]セミハードケース、マウスピース、リガチャー、キャップ、ストラップ、ボディ用スワブ、P.モーリアリード1枚、グリス、クロス

[お問い合せ]
管楽器専門店ダク 〒169-0073 東京都新宿区百人町2-8-9
TEL (03)3361-2211
https://www.kkdac.co.jp/


 
試奏で使用したマウスピース&リード
[マウスピース]オットーリンク6☆
[リード]バンドーレン トラディショナル 3番


PROFILE
宮地スグル(Sguru Miyaji)

両親の影響で幼少よりジャズを聴いて育つ。6歳でエレクトーン、15歳でサックスを始める。関西学院大在学中よりプロ活動を始め、90年、同大学を中退して米国ボストンのバークリー音大に奨学金を得て留学。この頃、ジェリー・バーガンジ(ts)に師事しメソッドを全て習得。93年に同大パフォーマンス科を卒業後は居をNYに構え、エブリン・ブレーキー(vo)、ティト・プエンテ(timb)、ブルース・バース(p)、ホルへ・ロッシー(ds)、ジョン・ステッチ(p)と「バードランド」などのライブハウスにて共演、 レコーディングを経験。96年に帰国後、首都圏で活動を始め、様々なJ-Jazzレジェンド達と共演。その後リーダーバンドを結成。NHK「Session」などの音楽番組に多数出演。雑誌にも活動が取り上げられる。2012年10月、シアタークリエに於けるミュージカル「デュエット」で演奏、2013年3月、NHK・BS1「エル・ムンド」に“SOULOGIC”の一員として2日間にわたり出演。 2015年、自主レーベル「Noizz Music」を設立。精力的にアルバムをリリース中。2019年、月刊ザテレビジョン5月号の「橋本環奈・First Story」でサックス講師として出演。8月スタートのNetflixドラマ『全裸監督』(山田孝之主演)にサックス奏者として出演。