DIMENSION Live Dimensional-2026

2時間半ぶっ通しで集中力もテンションも
マックスのまま走り抜いた35周年記念ライブ
7月19日(日)大手町三井ホール(東京)
デビューから35周年を迎えた、今や日本が世界に誇るジャパニーズ・フュージョンの雄“DIMENSION”。【Cover Story】の勝田一樹、そして増崎孝司へのインタビューに続いては、去る7月に開催された35周年アニバーサリーライブの模様をレポートしよう!
(文:山本美芽/写真:達川範一(B ZONE))
[演奏]勝田一樹(Sax)、増崎孝司(Gt)、則竹裕之(Ds)、友田ジュン(Key)、小栢伸五(Bass)
[曲目]
メドレー①:Ocean Express〜After Fiver〜Se.Le.Ne
メドレー②:Double Market〜Cricket Smoker〜This Time〜Parable
Breakout、Beat#5、Slash、Fantasy Kingdom、If、VOGUE、Brighter in Your Life、The New Wonder
〈Encore〉メドレー③:Jungle Dancer〜Lost In a Maze
After The Rainbow、Tones
軽快な正統派フュージョンから近未来サウンドへの変遷を辿る
デビューから35周年、35枚目のアルバムを完成させたディメンション。満席の大手町三井ホールの舞台に登場した彼らは、「円熟」という形容には収まりきらない強さを見せつけながら、独自のサウンドを探求し続けた35年の軌跡を描いてくれた。
ライブの構成は、初期の作品から順を追って、彼らの音楽的なアイデンティティが確立される様子が浮き彫りになる形になっていた。1枚目収録『Ocean Express』『After Fiver』は軽快なフュージョン正統派、ポップな魅力に満ちている。ホールの空間に密度が濃く壮大なサウンドが広がり、そこに勝田のサックスがくっきりと浮かんで、聴き手の意識を牽引していく。メドレー②は一転してアグレッシブで、「近未来サウンド」と評された1990年代後半の熱気がそのまま真空パックされているかのようだ。『Double Market』『Cricket Smoker』と責め立てるような激しさ、『This Time』では泣きのメロディがAOR的な叙情性を見せ、彼らの音楽性の核を感じる。90年代らしい骨太なグルーヴの『Parable』では小栢のベースラインが冴えわたっていた。
中盤には、彼らの代表曲であり、長年のライブ定番曲でもある超絶技巧ナンバーを堂々と聴かせる。『Breakout』の中盤では、ソロの即興の受け渡しがスリリング。『Beat#5』も、ギターソロで、一旦ふっと落ち着き、そこからじわじわと盛り上がっていくストーリー性が手に汗握る。どちらもビートの塊が迫ってくるかのようで、35年の積み重ねがにじむ。

繰り出される代表曲の数々のなかにあっても光った新曲『VOGUE』
そこから空気感を変えて、「23」収録の『Slash』からは、プログラミングが入る。ゆったりと大きなフレーズを繰り返しながら、じわじわと高揚しつつ、どこかクールな部分を保つ。ライブで聴くと、アグレッシブな曲との対比が明快だった。そして「33」収録の『Fantasy Kingdom』はさらに緻密なプログラミングに、執拗に繰り返すフレーズがはまって分厚いサウンドは独特の強い印象を残す。歌心とアグレッシブさを併せ持つ増崎のギターと勝田のかけ合いや、デュエットする部分も聴き応えがあった。中期の名曲『If』もまた、この日特別な輝きを放った1曲だ。勝田のサックスの音色、力強さ、美しさ。そこにふっと力を抜く瞬間があり、自然な陰影が生まれる。そして今回、最も輝いていたのが最新作「35」収録の『VOGUE』。アグレッシブでファンキーなサックスが、存分に吹きまくる。力強さで聴き手を引きこみながらも、軽やかさもあり、絶妙な説得力。シーケンサーとの融合も鮮やかで、初期の「海辺のドライブに似合う爽やかさ」から「高揚感はありつつリラックスした、クールな音」へ。格好良さを35年間追求してきた彼らの到達点を目撃したかのようだった。
本編ラストの『Brighter in Your Life』では、観客は総立ちになって手拍子する。まぶしいほどの推進力を音にしたような、彼らの代表曲のひとつだ。前作「34」収録の『The New Wonder』も、ダンサブルな4つ打ちのビートで、プログラミングの華やかな音にサックスの旋律が最高に映える。盛り上がりが最高潮になったところで本編終了。暗転した舞台に、アンコールを求める手拍子がこだまする。再び登場したメンバーによるメドレー③が始まった。『Jungle Dancer』のグルーヴ感の心地よいこと!『Lost In a Maze』のギターソロからドラムソロへの受け渡しも、胸が躍る。メンバー紹介のMCを挟み、『After The Rainbow』で明るくはじけ、『Tones』ではドラムの則竹とサックスの一騎打ちの見せ場など、最後まで熱く締めくくる。本編・アンコール合わせてメドレーは実に3回。2時間半に及ぶステージ、集中力もテンションもそのままに走り抜けた。
CDでもライブハウスでも体験できない重厚さやスケール感を体感

勝田と増崎が35年をかけて積み重ねたサウンドは、15年間サポートしてきた則竹の支えもあって、しなやかな切れ味や熱量に落ち着きと集中力を兼ね備え、すさまじいレベルに到達していた。そこに若手の友田と小栢がフレッシュな音を加えて、絶妙なバランスが完成する。特に後半からのプログラミングと生音の融合は、プレイヤーも音響技術の面でもかなりハードルが高かったと思われるが、バランスや音の溶け合い方は完璧で、CDでもライブハウスでも体験できない重厚さやスケール感を体感できた。
記念すべき35周年ということもあり、チケットはかなり前から完売していたという人気ぶり。この日は映像収録も入っており、パッケージ化される可能性もあるそうだ。増崎のMCでは「世界に日本のインストゥルメンタル音楽を広げていきたい」という趣旨の言葉もあり、ここからさらにディメンションの黄金時代が続いていく予感がする。
SUPER DIMENSION
[日時]2026年10月25日(日)開場16:00 開演17:00
[会場]ブルースアレイジャパン(東京)
[出演]勝田一樹(Sax)、増崎孝司(Gt)、友田ジュン(Key)、則竹裕之(Ds)、高橋佳輝(Bass)
[日時]2026年11月23日(月・祝)開場15:30 開演16:00
[会場]ゲイツ7(福岡)
[出演]勝田一樹(Sax)、増崎孝司(Gt)、友田ジュン(Key)、乗富鼓(Ds)、村上聖(Bass)
[料金]全席自由 8,000円(税込)
JAZZ FUSION SUMMIT 2026
[日時]2026年11月1日(日) 開場 14:00 開演 15:00
[会場]Kanadevia Hall(東京)
[出演]BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO、T-SQUARE、DIMENSION、本田雅人バンド、沖仁with小沼ようすけ&石塚隆充
[問合せ](株)キョードープロデューサーズ TEL:0570-200-551
オペレーター対応:月・水・金・土 10:00~18:00
勝田一樹
Kazuki Katsuta
1966年9月3日生まれ、神奈川県出身。その奏でる音色は一聴して分かるように唯一無二の存在感を放ち、彼の影響を受けたサックスプレイヤーは若手を始め国内外に後を絶たない。アルトサックスプレイヤーとして、アンサンブルの中に溶け込む力強さと優しさを調和させたそのスタイルに加え、様々なアーティストのレコーディングにおいてはブラスセクションのアレンジ力も高い評価を得ている。ソロ活動として勝田自身プロデュースのJAFROSAX名義でアルバムを4枚リリース。国内外および多ジャンルにまたがり大好評を得る。近年は、勝田のSaxフレーズが海外のYouTuberに「MarioKart Lick」として取り上げられ、様々な分野のクリエイターから注目を集める。ソロ作品として2025年に発売した5枚目のソロアルバム「Then」に収録されたタイトル曲がYouTubeで200万再生を超え、アジア圏を中心にそのサウンドは多くの人を魅了している。
(2026.05)










