サックス記事 唯一無二の音色、縦横無尽に駆け抜けるサックス その源を語る!
THE SAX vol.43 Cover Story

唯一無二の音色、縦横無尽に駆け抜けるサックス その源を語る!

勝田一樹氏といえば、日本を代表するインストゥルメンタルグループ“DIMENSION(以下ディメンション)”のサックス奏者としてその名を馳せている。またクラブ系のジャフロサックス、サックスファクションなどのソロ名義の活動も精力的で、実に多くのシーンでその唯一無二の音色を聴くことができる。 ディメンションはこのところ毎年11月にアルバムを発表していることから、今年も……と期待が寄せられているが、8月中旬、まさにその、23枚目となるアルバム制作進行中のスタジオを訪ね、“とれたて取材”が実現! プロモーション期間を待たずしてニューアルバムの音楽的内容、また勝田氏のエモーショナルでリリカルなプレイと唯一無二の音色の源について、興味深い話を聞くことができた。
ディメンションOfficial Site http://dimension-tokyo.jp/ 
写真提供=ビーイング

前作より良いものを作る

現在、ディメンションのニューアルバムの制作真っ最中ということですね。どんなアルバムになりそうですか? 前作では比較的ロック、クラブジャズ的な雰囲気を持った楽曲が多かったように思いますが。
勝田
もしかすると前作は、僕のソロ活動であるジャフロサックスやサックスファクションと同時期に進行していましたから、多少影響が出たのかもしれませんね。そこから今作で何かガラッと変わったかというとそれほどでもないんですが、目標はいつも至ってシンプル、「前作より良いものを作る」、これだけです。
音源を聴かせていただいて、今作ではバンドサウンドというものを大切にされているように感じました。
勝田
そうですね。良くも悪くも、ディメンションがもともと持っていた個性が色濃く出ているかもしれません。毎回、「今回は色を変えてこんなサウンドを作ってみようか」と言ってみてはいるんですが、できあがってみて皆さんがどう感じてくださるか。自分としては、いわゆるディメンション的なアプローチ、バンド的なサウンドで、フュージョンど真ん中なものができるかなと思います。割とサックスソロも多めに入っていますしね。
今作でもゲストとして錚々たるドラマーが参加されていますね。
勝田
はい。まずはパット・メセニー(Guit)グループでお馴染みのポール・ワティコ。彼は自分のサイトで、「インターネットを通じてのレコーディングに応じます」と公言してるんですよ。要は、音源を送ってくれればそれに合わせて叩き、データで送り返しますよ、と。それを増崎が見つけてきて、たまたま彼にぴったりの曲調のものがあったので、ダメ元で頼んでみたわけです。
それは現代的な「共演」のスタイルですね。
勝田
そうですね。今はこういうスタイルを取ってるプレイヤー、結構いますよ。本当は実際に会って、「こういう音楽を作りたい」なんてディスカッションしながら一緒に作るほうがより良くなるんでしょうけど……。送られてきた彼のプレイを聴いた時、あの有名ドラマーが僕たちの曲をこういうふうに解釈したんだと、新鮮味を感じましたね。彼に渡したサンプルデータにも、僕たちなりのイメージでのドラムが入ってるんですが、それとぜんぜん違ったプレイが入ってきた。もちろん僕たちが「あなたのイメージで好きにプレイしてください」とオーダーしたんですけどね。聴いてみて「こうきたか、なるほど」と。
それは楽しみですね。他にも、すでにお馴染みとなった則竹裕之さん、T-SQUAREの若手ドラマー 坂東慧さんも参加されました。
勝田
則竹さんは前々作から、またこのところライブもレギュラーでやっていただいているので、今、日本人ドラマーで一番ディメンションの音楽を理解してくれているんじゃないかな。今回も2曲参加していただきましたが、言うまでもなくドンピシャな感じです。坂東くんは、今年7月に2Daysライブをやった時、1日目に坂東くん、2日目に則竹さんという形で参加してもらったんです。その時の感触がとてもよかったので、オファーしました。彼は若手ナンバーワンプレイヤーで、若手ミュージシャンの中心的立場としていろいろ精力的に活動しているので、一緒にやってみたいなと。ライブでは彼が入ったことで、ディメンションの音楽がフレッシュになりました。則竹さんの時は、ディメンションのあるべき姿にきちっと整う感じがあるんですが、かといって坂東くんが則竹さんとまったく違ったタイプのドラマーだというわけでもない。そこは個人個人の解釈で、全体が変わってくるということですね。意外と坂東くんが叩くとロックっぽくなったり、則竹さんはジャズっぽかったり。こちらも新鮮味がありました。

次ページにインタビュー続く
・より良い作品作りのために メンバーの個性を持ち寄る
・コピーはいろんな勉強ができる
・音色はアタックから既に構築されている


CD Information

S43_CD
DIMENSION「23」
【ZACL-9046】
¥3,059(税込)
[収録曲]Snake、Chicago、Gold Rush、Matrix  他全10曲
[Member] 増崎孝司(Guit)、勝田一樹(Sax)、 小野塚晃(Pf,Key)
[Guest] ポール・ワティコ/坂東慧/則竹裕之(Ds)、 川崎哲平(Bass)
登場するアーティスト
画像

勝田一樹
Kazuki Katsuta

人気フュージョン・バンドDIMENSIONのフロントマンを30年にわたって務める。その音色は一聴して分かるほどに唯一無二の存在感を放ち、彼の影響を受けたサックスプレイヤーは後を絶たない。アルトサックス・プレイヤーとして、アンサンブルの中に溶け込む力強さと優しさを調和させたそのスタイルに加え、様々なアーティストのレコーディングにおいてはブラスセクションのアレンジ力も高い評価を得ている。ソロ活動として勝田自身のプロデュースによる「JAFROSAX」名義でアルバムを4枚リリース。国内外および多ジャンルにまたがり大好評を得る。2014年には待望の初のソロアルバム「Kazuki Katsuta」をリリース。これまでに3 枚のソロアルバムをリリースしてソロ活動も精力的に行なっている。2022年からはCASIOPEA-P4のギタリスト野呂一生と共に「J-FUSION BLUE NOTE TOKYO SPECIAL」というイベントをブルーノート東京で開催し大好評を得る。DIMENSIONとしては2023年に行われたBlue Note Tokyo 35th presents JAZZ-FUSION SUMMIT2023 公演でT-スクエア、CASIOPEA-P4等、Jフュージョンを代表するバンドとの共演が記憶に新しい。
(2024.02)

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