サックス記事

NYジャズ界の新星 アレックス・テリエ 初来日インタビュー

THE SAX vol.87

ミンガス・ビッグバンドのサックス奏者として、なんと今回が初来日となったアレックス・テリエ。1980年にフランスで生まれ、初めて手にした楽器はピアノ。後にアルトサックスを始め、2004年にアメリカ・ボストンのバークリー音楽大学に入学……と、実にストレートで王道を行くようなキャリアの持ち主である。
「そうなんだ。フランスではすでにプロとして仕事も始めていたんだけどね。フランスにも良い音楽大学はいくつもあるけど、友だちがもう何人もバークリーに行っていたし、奨学金ももらえることになって行こうと決めたんだよ。良い先生が数多くいたし、行けてとてもハッピーだったね。卒業してからはニューヨークに出て、そして現在に至るっていうわけさ」
三日間にわたる公演二日目の本番前楽屋にて、彼のインタビューは始まった。
(文:櫻井隆章、写真:土居政則)


何よりも自分を表現できるのがジャズ

――
サックスを始めた最初のキッカケは?
Alex
僕が住んでいた南フランスのエリアでは、夏に多くのフェスティヴァルが行なわれるんだ。当時、僕はピアノを弾いていたんだけど、6歳か7歳の時にそのフェスで演奏していたビッグバンドを初めて聴いて、僕は連れて行ってくれた両親に『アレをやりたい!』と言ったそうなんだ(笑)。僕の両親は特に音楽に熱心だったわけでもなければ、何か楽器をやっていたわけでもないのだけど、家には何枚かのレコードがあって、その内の一枚がデューク・エリントン・オーケストラのものでね。それで、初めてジョニー・ホッジスやポール・ゴンザレスなどのプレイを聴いたというわけさ。それから色々なレコードを聴くようになってね。シドニー・ベシェットとか、アート・テイタム。ピアニストだよね。それとファッツ・ドミノなんかも聴いたよ。それと、思い出した! メンフィス・スリムだ! 彼の音楽も好きだったな。特に歌詞が良かったね。まだ、あんまり英語が判っていない時期だったけど、でも歌詞が好きだった。
――
あなたの世代だと、そうした音楽よりヒップ・ホップやハード・ロックのファンが多かったのでは?
Alex
あぁ、確かにね(笑)。僕は少数派だったかも知れないな。そういう意味ではクラシックを習っていたからこそ、ストレートにジャズやブルースといった音楽に入っていけたのかも知れない。
――
なぜジャズに惹かれたのでしょう? その理由は?
Alex
理由というよりは、単純に身体が動いたというか。リズムが気に入って、ハーモニーも好きになってね。しいて言えば、何よりも自分を表現できるところが良かったんだろうな。音楽を通して自分を表現できるって素晴らしいじゃないか。それで徐々にジャズの歴史も知るようになって、さらにジャズへの愛が深まっていったね。知的なところにも気付いて、深みを知ったんだ。ジャズが生まれた歴史を知るにつれ、もっと詳しく知りたいとのめり込んでいったね。そして、ジャズは“反逆者の音楽”だとも気づいた。「君はジャズ・ミュージシャンになりなさい」とは誰からも言われないだろ?(笑) 誰もが、自然にジャズ・ミュージシャンになっていくものなんだよ。

 

プロフィール
Alex Terrie(アレックス・テリエ)

1980年、フランス・パリ生まれ。幼い頃よりクラシックピアノを学び、12歳の時、デューク・エリントン・オーケストラとそのメンバー、ジョニー・ホッジスのサックスを聴いて衝撃を受け、以降ジャズに傾倒する。2004年にアメリカのバークリー音楽大学に入学し、2007年、パフォーマンス科とジャズ作曲科の2つの学位を得て卒業。その後、ニューヨークに活動の拠点を移し、フランス人ミュージシャンとして初めて、「ミンガス・ビッグバンド」の一員となる。 バンドリーダー、作曲家、編曲家、教師など多くの顔を持ち、アメリカとヨーロッパの両方でオリジナルバンド、「アレックス・テリエ・ニューヨーク・カルテット」と「アレックス・テリエ・ヨーロピアン・クインテット」を率い、最近は南米でもその存在感を高めている。2014年秋には、ジャズピアニストの大御所ケニー・バロンをフィーチャーした最新アルバムを発売するなど、これまでに多くのアルバムをリリースしている。また、指導者としても高く評価されている。その知識を伝授することに対する情熱と、生徒の上達へ向ける純粋な想いを称賛する声は多い。

アレックス・テリエ

(次ページへ続く)
・アレックスがSENZOを選んだ理由
・ミンガス・ビッグバンドに入った経緯
・初めての日本でのライブの感想
・ライブ・レポート@Blue Note TOKYO (by Takaaki Sakurai)

 

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