

元晴 10年の軌跡を辿る初のベスト盤が完成したDEATH JAZZバンドのフロントマン
現メンバーの6人が揃って今年で活動10年目に突入した日本が世界に誇るジャズ・バンド SOIL & “PIMP” SESSIONS。そのフロントを担うサックス奏者といえば、もちろん元晴だ。前号で10周年アニヴァーサリー企画第3弾として登場したニュー・アルバム「CIRCLES」について応えてくれたのに続き、本号ではアニヴァーサリー企画第4弾となるキャリア初のベスト盤「“X” Chronicle of SOIL & “PIMP” SESSIONS」を題材にグループの軌跡、そして楽器のこと練習法のことなど、大いに語ってくれた。
(文:櫻井隆章 / 協力:ビクターエンタテインメント株式会社)
アルバムジャケットの「X」は実は「∞」
そう、旧来の感覚で言えば、確かに彼らの音楽はジャズという言葉が持つ範疇には収まり切らない。形容されるように「爆音」であり「パンク」、そして「デス」なのである。
この「カッコ良さ」は、彼らの出す音のみならず、彼らのステージ・パフォーマンスや衣装などにも反映されている。実に個性的なメンバーたちが、それぞれの個性を最大限に発揮する衣装とパフォーマンスに徹しているのだ。また、このカッコ良さは、すべての制作物にも及ぶ。今回のアルバム「”X” Chronicle……」のジャケットは、その「10」を意味する洋数字「X」を表している。「あぁ、なるほど。10だからXね」、である。ところが、話はここで終らない。このアルバムを手にして、畳まれた内ジャケットを広げてみると、この「X」に見えたデザインが、実は「永遠、無限」を表す記号である「∞」のクロス部分であることが判るのだ。これに気付き、発見した際の筆者の感想も「カッコ良い!」なのであった。実に良いアイデアであり、彼らの信条を見事にジャケットにしたデザインだと思わずにはいられない。
常にリニューアルしていける状況であり続ける
それは、彼らの存在の大きさに拠るものだろう。何をブツけても受け止めてくれる、ソイルにはタブーはない。そして、大人だから、何を持っていっても上手く料理してくれる。そんなバンドだと、彼らが周囲から認められているということに他ならない。そんなアーティスト、ちょっといない。

元晴
Motoharu
1973年、北海道名寄市生まれ。サックスを初めて吹いたのは小学校6年生のとき。そして、ジャズと出会ったのは、高校2年生。“バークリー・サマー・セミナー・イン・ジャパン”に行ったのがきっかけで、その後ジャズに大いに惹かれるようになる。そして、洗足学園音楽大学に入学後、米国ボストンにあるバークリー音楽大学に進み、4年間学んだ。帰国後の2001年にSOIL &“PIMP”SESSIONS に加入、同バンドの弾けた路線は大きく像を結ぶようになる。03年にはアルバム未発売ながらフジ・ロック・フェスティヴァルにも出演。04年にデビュー・アルバム『PIMPIN’』をリリース、現在までビクターから数々のアルバムやDVD 作品をリリースしている。また、彼らの大ファンである英国の国際的DJ、ジャイルス・ピーターソンの後押しもあり、05年以降は欧州ほか海外に大々的に進出。現在、トップ級に国際競争力を持つバンドとしても知られている。現在、(仮)ALBATRUS のメンバーでもある。