サックス記事

第1回「スラップタンギングに挑戦!前編」

THE SAX vol.35

1840年代に誕生した、管楽器の歴史においては比較的新しい楽器、サクソフォン。ゆえに、プレイヤーは自分の心にある音楽をより正確に表現すべくいろいろな奏法─現代奏法─を生み出している。そして同時に、そんな多くの可能性を秘めたサクソフォンのために、新しい奏法を用いた曲を書く作曲家も増えている。
そんな現代で、自由自在にサクソフォンの演奏を楽しむには、最先端の奏法も身に付けておきたいもの。これらの“現代奏法”は、いわゆるコンテンポラリーのレパートリーを演奏するためだけのものではなく、使い方ひとつで表現力の幅をひろげる手段にもなると言えるからだ。
……このようなコンセプトのもと、大石将紀氏を講師に迎えて今回から始まる当講座の第一回目では、一連の“現代奏法”の中でもポピュラーと言えるスラップタンギングに挑戦する。

 

第1回 スラップタンギングに挑戦! 前編

【原理と方法】

吹奏楽器のサクソフォンなのに、打楽器のような意外な音が飛び出すテクニック、スラップタンギング。強く鳴らせば「SLAP」の言葉の意味のとおり、手と手を打ち付けたような“パチンっ!”という音が、また、やさしくそっと鳴らせば弦楽器のピッチカートのようなデリケートな表情も出せます。現代音楽でも良く登場する花形?テクニックですが、インプロヴィゼーションなどでも注意をひく一発技として活躍すること間違いなし!です。

 

スラップタンギングの原理

スラップタンギングの「パチン!」という音はリードがマウスピースを打ち付けた時に発生する音です。
ではリードがマウスピースを打ち付けるにはどのようにしたらいいのでしょうか。
最初にその原理を紐解いておきましょう。

①舌をリードに吸盤のようにペタリとくっつける。
②舌をリードにくっつけたまま下方向に動かす。
③舌にくっついて下方向に反ったリードが舌を離れ、その反動で勢いよく戻る。
④リードに加わった強い振動とマウスピースに打ち付けられた衝撃音で「パチン!」

簡単に言うとこんな感じです。ここで、お風呂場のタイルなどにくっついている吸盤を思い浮かべてみてください。吸盤のツマミを持ち、タイルに向かって垂直に力を入れて引っ張ると「パチン」といって離れますよね。吸盤がタイルを離れるときに同時に打ちつける音が「パチン」なのですが、それと同じような原理だと考えてください。
では、どうやったら舌にリードがくっつくのでしょうか? それには、スラップタンギングのために必用な「舌」を作らなければなりません。名付けて「吸盤舌」。これを手に入れることが出来れば、スラップタンギングはほぼ完成。なのですが、吸盤舌にするコツをつかむのがなかなか難しいのです。……とにかく実際にやってみましょう。

 
 

実践! 吸盤舌の作り方

其の1  リードだけで感覚を体験

其の2  マウスピースにリードをセットして体験

其の3 SLAP! 楽器本体に繋げて仕上げ


大石将紀
大石将紀

プロフィール
大石将紀
(おおいしまさのり)

1999年東京芸術大学卒業。2001年同大学院修士課程修了。同年9月渡仏し、パリ国立高等音楽院に入学。在学中はフランス国内における数々のコンクールで入賞。04年アムステルダム音楽院に短期留学。同年6月にパリ国立高等音楽院サクソフォン科、室内楽科を、06年には即興演奏科をすべて最優秀の成績で卒業。さらに05年よりパリ国立高等音楽院第3課程室内楽科(サクソフォン四重奏)に進み07年6月に修了。在仏中はソリストとして、またサクソフォン四重奏「OSMOSE」のメンバーとしてクラシックはもとより、現代音楽、若手作曲家の作品発表を精力的に行なっており、これまでにイギリス、スイス、フランスなどのヨーロッパ諸国を始め、ナイジェリア、ニジェール、中国等で演奏活動を展開している。また、舞踏家の保坂一平とも共演を重ねる。2008年3月に日本に帰国し、東京オペラシティ財団主催「B→C100」に出演後、国内での活動を本格化。現在、東邦音楽大学、同大学院非常勤講師として後進の指導にもあたっている。サクソフォンをC.ドゥラングル、須川展也、平野公崇、彦坂眞一郎、冨岡和男、A.ボーンカンプの各氏に、室内楽をL.ハダディー、中村圴一の各氏、また即興演奏をA.サブレ、A.マルケアスの各氏に師事。

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