祝！創業25周年「ベストブラス」大特集

ベストブラスの一つの顔と呼べるのが金管マウスピース群だ。2009年に発売されたグルーヴシリーズは、「マルチレングスシステム」と「グルーヴ加工」という革新的なアイデアが詰まったロングセラー商品である。

ベストブラスの独創性が顕現したグルーヴシリーズ

カップの奥に見えるのがグルーヴだ

実は、楽器のピッチはマウスピースのカップの深さにより上下してしまう。一般的には主管抜差によって補正を行なうのだが、ベストブラスでは、カップが浅いほど全長が長く、深いほど全長が短く設定されている。これが「マルチレングスシステム」だ。これにより、どのモデルを使っても適正な主管の抜きしろを保つことができるようになり、その結果、その楽器が持つ最高の性能を引き出すことが可能となるのだ。
グルーヴとは、スロート部分にある細かい溝のことを指している。特許取得のこの加工法により、適度な吹奏抵抗が発生し、唇の振動効率を上げ、最小の労力で最大の音量を得られるという。

ベストブラスクオリティの王道マウスピースが新発売

2024年4月発売の最新作「ARTEMIS」。一見オーソドックスな形状だが、音の立ち上がりの速さに加え、充実した低音域の音色、高音の出しやすさなど、その中身は最新のベストブラス仕様。前号での田尻大喜氏と秋山璃帆氏のクロスレビューでも「銀メッキに求めるど真ん中のマウスピース」と太鼓判を押された。

世界にその名を轟かせたベストブラスミュート

“世界一の管楽器店”として名高いDillon Musicのボス、Steve Dillon氏が『新しい時代のスタンダード』とまで称賛するベストブラスのミュート。特にプロやハイアマチュアをターゲットに開発製造される高品質な製品群は、信頼のブランドとして日本はもとより世界においても圧倒的な人気を誇る。その一部を紹介しよう。

世界中でミュートブームを引き起こしたパイオニア商品
ウォームアップミュート

ベストブラスの革新性を世に知らしめたのが「Warm-up」だ。2005年の登場時には、類似商品がなく、その驚異的なコンパクトさと性能から、世界中で練習用ミュートブームを引き起こしたパイオニア商品。現在では、コストパフォーマンスに優れたe-Brass Jr.もラインナップされ、世界最高峰の消音ミュートとしてさらに多くのプレイヤーに愛されている。時代とともに常にベストを模索し、バージョンアップを繰り返してきたウォームアップ。写真左の初代を持っている人は激レア！

Warm-up

e-Brass jr

ウォームアップのモデル変遷

防音室に匹敵する遮音性能
e-Brass

e-Brass

創業者の濱永晋二氏がヤマハ時代に手掛けたのが、1995年登場のサイレントブラスだった。ベストブラスの「e-Brass」は、電子モジュールがミュートに内蔵されるコンセプトで使い勝手が向上。電子消音器は、イヤホンを介することで感覚が補正できることが最大のメリットだ。コロナ禍において重宝されたことも記憶に新しい。

世界のハイスタンダード
ワウワウ&クールジャズミュート

ワウワウ＆クールジャズミュート

ベストブラスのワウワウとクールジャズミュート。正確なピッチと音色のこだわりから、多くのジャズプレイヤーに愛用されている。ワウワウに別売りのウォームアップナノを取り付ければ、消音ミュートとしても。

ひとり3役のアイデアミュート
3-way Cup

3-way Cup

これ一つでカップ、ストレート、プランジャーの3段変形が可能なアイデアミュート。カップをベルに密着させることで実は消音ミュートにもなる4-wayという噂も。

25th Anniversary Messages

Ladislav Kozderka ラディスラフ・コズデルカ

元チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
首席トランペット奏者

ベストブラスのミュートは、私の約20年にわたるキャリアを支えてくれました。たとえミュートを忘れてしまっても、同僚のほとんどがベストブラスを使用しているので、大きな問題にはなりません。ベストブラスのミュートは、私たちの仕事をより快適にし、世界中の演奏家のバッグに欠かせないアイテムです。
ありがとう、ベストブラス！そして、25周年おめでとうございます！

Paul Baron ポール・バロン

トランペット奏者

私は15年以上前に初めて「ベストブラスミュート」を発見し、すぐにそのサウンドの虜になりました。それまでは、音色を追求するためには音程を犠牲にしなければなりませんでしたが、ベストブラスのおかげで、何も妥協することなく、理想の音色と完璧な音程を手に入れることができるようになったのです。以降あらゆる仕事で私とともにあります。
25年にわたる素晴らしい製品作りに感謝します。ブラボー！

情熱とリスペクトを持って—

技術力や革新的なアイデアを散々挙げてきたが、ベストブラスが世界で愛される最大の理由は、モノ作りに対する情熱、そして誰に対しても対等なフレンドシップを持つ、実に人間味溢れるところにあると感じる。プロ・アマ関係なく、情熱とリスペクトを持って接する創業者の濱永晋二、現社長の濱永康太の両氏の姿勢に魅了され、利害を越えた関係性が生まれることこそ、彼らが世界中で25年間愛されつづけている理由なのではないだろうか。ぜひ一度、浜松のベストブラスを訪れ、その目で確かめてほしい。