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お手入れ向上委員会が行く!

wind-i mini2号 後編

金管楽器オイルは多種多様

 

Q01

信木隆輝(以下、信木) ピストン楽器に使用するバルブオイルとはピストンバルブに特化した、気密性およびスムースな動きを保つための潤滑油です。バルブオイルは、演奏前はもちろんのこと、演奏後にも注油してほしいのです。これは後ほど説明します。 ヤマハでは「スーパーライト」「ライト」「レギュラー」「ヴィンテージ」の4種類を販売しています。 「スーパーライト」の粘度が一番低く、逆に「ヴィンテージ」は一番高いです。 これだけの種類があるのはピストンワークの抵抗感の好みや、ピストンとピストンケーシングとのクリアランス、つまり各楽器の工作精度の問題になります。 「スーパーライト」はピッコロなどの高音域の楽器の演奏に適しています。「ライト」はカスタムモデルなど工作精度の高い楽器に適していて、使用すればピストンワークの抵抗感は少なくなり軽くなります。「ヴィンテージ」は長く使用された楽器や中、低音楽器(ユーフォニアムや、ピストンのチューバ)に適しています。

 

 

Q2

信木 演奏中に音程を合わせるために動かすトランペットの第1、第3抜差管に注すオイルです。週1、2回のペースで注してください。気密性を保ちつつ、抵抗を少なくしてスムーズに動かすために注すものです。スライドオイルを注し直す時は古いオイルを十分に拭き取ってから行なってください。

 

Q3

信木 レバーオイル、ロータースピンドルオイル、ローターオイルの3種類があります。 ロータリー楽器はピストン楽器と比較して構造が複雑です。ピストン楽器はピストン自体をそのまま直に押していますが、ロータリーは2ヵ所のレバーを介して動かしています。それぞれの部分の構造が異なるので、負荷もそれぞれ違ってきます。異なる負荷がかかる部分に、それぞれに合ったオイルを注す必要があります。 レバー部分は強いばねを使用して維持しているので、可動部分に掛かる負荷が一番大きくなります。そのためこの部分にはロータリー楽器のオイルの中で一番粘度の高いレバーオイルを使用します。月に1回は注すようにしてください。 ロータースピンドルオイルは、レバー側可動部分(ボールジョイント)と、ローターを支えている軸の部分、つまり回転する部分に注すものです。週に1回は注してください。 そして、ローターオイルは、ローターケーシングとローターの周りに注します。ここも非常にクリアランスの狭い場所なので、気密を保つためにこのオイルを演奏前後に注す必要があります。バルブオイルに近いオイルで、3種類の中で粘度が一番低くなっています。

ピストン楽器
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