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吹奏楽お悩み相談室 音色を鍛える/ファゴット&オーボエ編

wind-i mini 2号 吹奏楽お悩み相談室 vol.2 

音色を極める!

クラリネット奏者、指導者として活躍されていた傳田文夫氏。現在は楽器から離れて、自身が代表を務める「傳田聴覚システム研究所」にて、聴覚トレーニングの研究を行なっています。
そこで、音の研究者の立場から、良い音とは何かを聞きました。

マーチングバンドを始めなさい! 傳田さんの考える良い音とは?

 一般論としての良い音、悪い音は、フランス人の好む音は「ボンジュール」(フランス語)から出ている音、アメリカ人は英語の音、ドイツ人はドイツ語の音。日本人の演奏を日本人が聴くと良い音になりますが、ヨーロッパ人には通じないはずです。だから、音色というのは言い回しだと。日本の先生は音色や音楽性のことばかりで、言い回しを教えないんですよ。それに日本人に言い回しを教えても、浪曲っぽくなってしまう。どうやって明るく音を出して、それを使いこなしていくのか、この考え方は日本人の表現としてないんですね。
 言語の違いもあります。子音と母音の違いから、吹き始めの部分に音色の違いが残ります。日本語は1音で1音符ですから、感情を込めようとすると、音の終わりに余韻を残すのでリズムが遅れてしまう。これは母音でリズムを取っているからです。これでは音色がいいとは言えません。だから、ヨーロッパ人の音色やリズムは、日本人のそれとはまったく違います。

良い音を出すために 何をしたらいいでしょう?

 まずマーチングバンドをやることですね。音色とか音質とか音楽性とか、そんなことは気にせず、マーチングバンドをやっていれば体のリズムと曲のタイミングが自然と合ってきます。
  僕が講師だったときは思いっきり吹け、大きい音を出せ、息を抜けと教えていました。それだけで十分に上手くなるんですよ。

Profile 傳田文夫 Fumio Denda
1947年東京生まれ。国立音楽大学器楽科(クラリネット専攻)を卒業。指揮法を黒岩英臣氏に師事。演奏家として活動する一方で、音大のクラリネット科や中・高校の吹奏楽部などを指導。1992年に聴覚改良システムを開発。2001年に傳田聴覚システム研究所を設立。以来、聴覚トレーニングの研究を続けている。著書に、「日本人はクラシック音楽をどう把握するか」(芸術現代社刊)、「クラリネットとサキソフォンのためのシングルリード調整法」(芸術現代社刊)、「日本人の耳をひらく」(祥伝社刊)などがある。
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