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トランペットミュート大研究!

wind-i mini2号 特集

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――   ミュートとはそもそも何ですか?

池端   ミュートは本来弱音器のことを指します。そ の名の通り音を小さくするということが目的でした が、現代、特に吹奏楽では音を小さくするという表 現よりは、音色を変化させるために指定されること が多いですね。

――   ミュートの種類を教えてください

池端   吹奏楽で使うものは基本的に3種類です。まずはストレートミュートです。一番オーソドックスで、必ず最初に持つミュートで、使う頻度が一番多いです。

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池端   次にカップミュートです。カップミュートはストレートミュートにカップ状のお椀のようなものがついています。ストレートミュートよりもさらに音色を柔らかくし、こもらせる効果があります(写真左)。
次によく使われるのがワウワウミュートといいます(写真右)。ハーマンミュートとお呼びになる方もいらっしゃいますが、ハーマンとはこのミュートを作っている代表的なメーカーであるハーマン社のことを指します。ハーマン社のワウワウミュートが非常に有名 になのでハーマンミュートと呼ばれることがあります。
ワウワウミュートは、ジャズでは多用されます。ジャズで使用する場合はステム(おちょこのように見える部分)を取って使用します。少しこもった音になります。ステムをつけるともう少し開放的な音色になります。ステムを手で被せて操作して音色を変化させることもあります。吹奏楽ではジャズのアレンジ曲などで使われることがあります。

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――  それでは基本的にこの3つのミュートがあれば吹奏楽では足りるということですね。

池端   基本的にはそうです。しかしミュートというのは場面に応じて音色を変えるものなので、様々な材質のものから選ぶことができれば一番よいでしょう。
一番スタンダードなアルミ製の他に、コパーやブラス製、さらには木製、籐製、プラスチック製などもあります。トランペットはもともと抵抗のある楽器なので、ミュートの抵抗が強いと小さい音が出しにくくなります。特に高音の小さい音は非常に難しくなりますが、そこを木や籐で作られた軽いミュートを使うとミュートの抵抗感が少なくなるので、高い音が非常に出しやすくなるという利点があります。

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トランペッターの必需品 プラクティスミュート

――  家での練習時などに使用するプラクティスミュートについて教えてください。

池端   これは純粋に音を小さくするためのミュートです。 特に都市部にお住まいの方は、家で練習するときにうるさいと言われてしまうので、プラクティスミュートをつけて練習される方が多いのではないのでしょうか。個人で買われる場合はストレートミュートよりも先にプラクティスミュートをお求めになる方のほうが多いかもしれません。また、プロの方も演奏旅行のホテルや、舞台袖でちょっとした口慣らしに使われているようです。

――  プラクティスミュートで練習するときの注意点はありますか?

池端   どうしても通常の状態と比べて抵抗が強くなります。抵抗に対して自分の息の圧力を余計にかけることになるので、プラクティスミュートを外した時にオーバーブローになりがちです。抵抗感を理解しながら練習することが重要です。
昔のプラクティスミュートは音を小さくすることだけに専念して製作されていましたが、各社モデルチェンジを繰り返し、抵抗が強くなく、音程も悪くならず、なおかつ音が小さくなるようになってきています。

 

ミュートの取り扱いは?

――  ミュートを保管する時に気をつけることはありますか?

池端   とにかく落とさないように気をつけてください。一回壊れるとほぼ修理は不可能です。場合によっては音色も変わってしまいます。
また、自分の楽器に合わせてコルクを削る必要のあるミュートもあります。楽器の内径に合わせて、好みの音色や抵抗感にするためです。音程にも大きな影響が出ます。
コルクは消耗品です。コルクが古くなると入り具合が変わりますから、本当は取れる前に変えたほうがいいですね。コルクだけ販売もしていますし、お店でお付けすることもできます。

――  ミュートは本番中などでも落としやすいですよね。

池端   そうですね。特に落としやすいのはワウワウミュートです。ストレートやカップほど深くベルに入らない上に、重量も結構あります。
装着前にベルに「はーっ」と息を吹きかけると、水分が少しベルに付着するのでコルクとの密着度が良くなり落ちにくくなります。コルク部分にゴムを混ぜたり、スポンジ状にしているメーカーもあります。

――  ありがとうございました。

 

 

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