─吹いても聴いてもワクワク感満載の『想い出は銀の笛─

三浦真理「おも銀」人気のヒミツ

「おも銀」の愛称で知られている三浦真理さんの楽曲『想い出は銀の笛』。1990年にフルート四重奏として発売されて以来、これまでにはなかった親しみやすいポップな曲調に人気が出て、以来三重奏版とともに、全国のフルーティストたちが度々演奏してきた。
そして2016年、作曲者自身によるリアレンジで特に人気の高い第5楽章「ブルーパステル」をフルート&ピアノ版で小社よりリリース。順次他の楽章も発売し、「おも銀」の新しい楽しみ方を提案してきた。
その人気はフルートだけでなくサクソフォン四重奏版、木管五重奏版、クラリネット三重奏版、木管四重奏フレックス版、木管三重奏フレックス版(いずれも ロケットミュージック株式会社 刊)と他の楽器にも広まり、本家フルートも四重奏&ピアノ版(脚本つき)、フルート七重奏版(六~八重奏に対応)(どちらもフォスターミュージック株式会社 刊)と広がり続けているのだ。
今回この魅力を探るべく、この曲を生み出した三浦真理さん自身とフルーティスト河野 彬さんの二人に話を訊く。さらにフルーティストたちのコメントから、この楽曲の人気を紐解いてみよう。

Contents
●三浦真理 & 河野 彬 対談
 「作曲者、フルーティストから見る“おも銀”」
●「おも銀」年表
●フルーティストから見た「おも銀」の魅力
 神田寛明/横山聡子/塩谷信洋/七吹人/三田純子

[対談]
吹いて楽しい、聴いても楽しい、
プロもアマチュアも楽しい金字塔の楽曲

[作曲]三浦真理 ×[フルーティスト]河野 彬

「おも銀」は1990年の発売以来30年に渡り人気のあるアンサンブル曲。読者の中にも演奏した、もしくは演奏会で聴いたという方も多いだろう。冒頭でも記したように、現在は原曲の四重奏、三重奏以外にも様々な編成にアレンジされ、さらに他の楽器でも演奏されることが多くなった。管楽器のアンサンブルにおいて、このような楽曲は皆無といっても良いだろう。そこでそのヒミツを探るべく、作曲者ご本人と、2022年2月にフルート四重奏&ピアノ版を初演するフルーティスト 河野 彬氏の対談が実現した。
協力&写真:フジミフルート工房

四重奏、三重奏誕生の経緯

『想い出は銀の笛』(以下 おも銀)の作曲の経緯から教えてください。
三浦
当時邦人作品が少なかったので、同級生が勤めていた出版社からアンサンブルコンクールに使える作品(2分半×2曲)を書いてほしいと言われたんです。スタートはクラリネットアンサンブルでした。その後フルートのために「おも銀」を作曲しました。
河野
作品のタイトルがキャッチーでいいですよね。
三浦
各楽章につけた色のタイトルは自分でつけたんですが、実は全体のタイトルが思い浮かばなくて、当時の編集者がアイデアを出してくれて決まりました。
その後作品の権利が教育芸術社に変わり、三重奏版も出版されました。
三浦
故・河合隼雄先生(臨床心理学者)が、文化庁長官だった時代にお手伝いしたのがきっかけでした。河合先生はザ・フルートにも登場されたことがありますが、モーツァルトの協奏曲を演奏したり、文化庁の職員とフルートトリオも楽しまれていました。イベントでトリオ版が必要になり、三重奏版を制作しました。
河野
四重奏のほかに三重奏もあるので、中学や高校の学生たちも演奏しやすいですよね。この曲の醍醐味はたくさんあると思いますが、あえて述べるならば、四重奏版は、この編成を想定して書かれたのだろうなという響きのバランスの良さ、演奏のしやすさを感じます。とりあえずみんな集まって音を出せば、おも銀の世界に入ることができるので、すぐに音楽のイメージをつかむことができると思います。
三重奏版のすごいところは、一つパートが減っているはずなのに、四重奏版と変わらずに響くところです。
その分、各パートが難しくなっているのかな? と思って見てみると、そんなことがまったくない。もともと三重奏を想定していたんじゃないか、と思うくらいで、正直、驚きました。

次のページへ続く
・想像力を膨らませられる作品
・おも銀は子孫繁栄そのもの!
・入り口で手招きしてくれるキャッチーな作品
・フルートアンサンブルの古典作品として

 

河野 彬
東京音楽大学大学院修士課程を修了(修了演奏のテーマはJ.S.バッハと武満徹)。これまでにフルートを植村泰一、甲斐雅之、齋藤賀雄の各氏に、指揮を汐澤安彦氏に師事。
現在、オーケストラへの客演や、室内楽を中心とした演奏活動の他、2019年に開催したリサイタルでは、汐澤安彦指揮の特別編成オーケストラとモーツァルトとJ.S.バッハの協奏曲を共演。北九州国際音楽祭、小澤征爾音楽塾、セイジオザワ松本フェスティバルに参加。他に、SIOフィルハーモニックウインドオーケストラを主宰、各演奏会はいずれも好評を博した。また、ドレミファクトリー(新小岩)の企画運営に携わる。

 

トーキョー フルート アンサンブル 想い出は…今でも、いつまでも銀の笛
[日時]2022年2月4日(金)
[会場]重要文化財 自由学園 明日館 講堂(東京)
[出演]金野紗綾香/河野彬/西田紀子/渡辺泰(Fl)、髙橋ドレミ(Pf)
[曲目]F.クーラウ:フルート四重奏曲 ホ短調 Op.104、三浦真理:想い出は銀の笛(フルート4本&ピアノ版)※初演、F.ドップラー:夢遊病の女によるパラフレーズ Op.42、ピッコロ二重奏曲(未定)、W.A.モーツァルト:きらきら星変奏曲 KV.265
[料金]¥3,000 学生¥1,000
[問合せ]8799music@gmail.com

三浦真理
1983年、国立音楽大学作曲科首席卒業。同大学院修了。第1回サクソフォーン協会主催作曲コンクール入選。ピアノデュオ国際作曲コンクール第1回・第2回入選。器楽・ピアノ・合唱、作品多数。音楽教科書掲載作品では、作詞も手がける。現在、研修会の講師、吹奏楽コンクールの審査員としても活動している。

 

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