『UNDINE』と『EARTH』の演奏ポイント
鎌田氏と三上氏がフルート、ピアノそれぞれの立場から2作品のポイントとなる箇所を解説してくれた。どちらも演奏時間の長い曲だが、ポイントを押さえて練習をしていこう。
解説:鎌田邦裕、三上 翼
フルート・ソナタ“ウンディーネ” Op.167
— 第1楽章 —
第1楽章のフルートは跳躍が多く、さらにスラーがかかっています。スラーのかかった跳躍を美しく吹くためのコツ、とくに87小節目のような H→Fisのような難しい跳躍の練習方法を教えてください。
鎌田 スラーは、まず大前提として、違う音が間に“ピヨッ”と入ってしまっていないかを注意深く聴くことが大切です。意外と、そこに気づいていない方が多く見受けられます。指とお腹の支え、息のタイミングがきちんと揃っているか、確認してみてください。
ピボット音を決めて、徐々に音程幅を広げていく練習は有効だと思います。また、先ほど挙げた指・お腹の支え・息のタイミングを揃える際に、指を動かすとお腹が緩む、喉が締まる、といったこともよくあります。体は常に開いて、息の支えが抜けないようにすることも大事です。
例として挙げられている箇所について考えるなら、まずHとFisの関係性を考えてみましょう。Hに対してFisは完全5度上です。それに、この音域のFisはHの指の倍音で出すことができます。つまり、“かなり近い関係性の音”であることに気づきましょう。
よくレッスンでもお伝えするのですが、西洋音楽で書かれている音符は相対的に存在しています。確かに FisはFisですが、シ・レ・ファの“ファ”なのか、ファ・ラ・ドの“ファ”なのかで意味が変わってきますよね。人間関係と同じで、あなた自身は絶対的な存在ですが、家族に見せる顔、友人や職場で見せる顔は違いますよね。周りとの関係性によって立ち位置が変わる感覚は、音にも同じことが言えると思います。
なので、音程幅がどれくらい離れているのか、和音の構成音は何なのか、その関係を考え、独立した音として鳴らそうとしないことが大切です。また、先ほど少し触れましたが、“出せる音はすべて倍音で出す”という練習も、かなり効果的だと思います。
「第3オクターブのFisの音だから難しい、出ない!」と脳にブロックをかけるのではなく、その前の音からの“つながり”を感じてみてください。

45小節目の2連符はメロディに面白さを出していますが、音価的には長めに吹くべきですか? それとも前に行くべきですか?
鎌田 この質問に答えるには、このソナタ全体に共通したルールを知っておく必要があります。第1楽章は 6/8拍子で、大きな1拍の中に小さな3拍が入っている拍子ですが、このフルートソナタの中で“3連符”が出てきたら、水の精を表していると思ってください。一方 “2連符”(1を割り切れるリズム)は、人間を表しています。
つまり、この箇所は水の精霊ウンディーネが魂を得て人間へと変化する描写、人間との交わりを表現しています。なので、決して音楽の流れを止めてはいけませんが、妖精から人間へ変化するための“時間”は必要だと思います。

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