フルート記事 AIソフトと私の出会い
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木村奈保子の音のまにまに|第93号

AIソフトと私の出会い

MUSIC

最近、AIソフトをちょっと使ってみた。
自分にとって何にどう使えば便利なのか、よくわからない。
最初は、NAHOKケースのカタログ作りで、写真の加工からはじめたがヘトヘトだ。
モデルのイメージ作りや背景、鞄を持ったときのスタイリングなど、文字でどう指示をするかにより、加工の完成度が違う。
思った通りの顔のモデルが登場するまでダメ出しをする。
ひょっこりうまくいくときもあれば、何度指示しても、よけいなことしかしないときもある。
プロの写真家やアーティストにとっては、こんな手探りの遊びをカタログにしようなどとは思わないだろう。
立て続けにおかしなことをしてしまうAIに対し、どっとストレスを感じる日々。
ただ、こんな指示でよくわかったなあ、と感心したり、面白い瞬間はある。
人間のスタッフに伝わるにはもっと時間がかかるだろう。

技術的には、AIにさっきできたじゃないか、昨日はできたじゃないか、どうして、右と言うのに、左になるのか、それでも完成させたくて、新しいケースを持つNAHOKモデルが美しくリアルな存在になるまで、しつこく指示を続けるしかない。

モデル写真をプロの音楽家ばかりにお願いするわけにはいかないので、今回完成したカタログは、プロミュージシャンのほか、ドイツのモデルさん、それに私が生成指示したAIモデルを加えた3種類の写真を使用している。
AIモデルが鞄を持っている場合、若干ボディと鞄とのサイズ感が合わないものがあるのは、AI加工の限界だ。
もうすこし鞄を大きく、と何度やりなおしをお願いしても、同じ写真しか出てこない。
もういやだよ~、とこちらに向かって匙を投げるような態度もあった。
有料版に変えても、技術が上がるわけではなかった。

なかなか思い通りのイメージにならないと言うと、ちょっと意に添わない程度と誤解されるかもしれないが、なんとAI君は、想像以上の身勝手さで、まったく型違いのおかしな鞄にデザインを変更する。ありえない場所にハンドルを何個もつけたり、驚くほど指示以外のことをしまくり、ホラーチックな謎アクションを見せつけてくるので、暴れ馬を操るくらいのエネルギーが必要だった。
素材は、元のケースバッグの写真と私が指示する短いコメントだけ。
ChatGPTやGeminiなど、そのときによって、どのソフトがうまくいくのか想定はできず、いきあたりばったりだった。

AIソフトは、事務的なことには効率よく対応するのかもしれないが、写真加工の場合はAIソフトにより完成度の差が大きく、ドンピシャに行きつくまでには、時間がかかる。
あくまで、自分が持つイメージが終着点なので、答えはないけれど。

画像より文字がわかりやすく早いが、硬めのChatGPTやなめらかさのあるClaudeより、ほどよく感情が入っているGeminiがいまのところ気に入っている。
最新のClaudeは、日本語が最も美しいと言われているらしいが、苦手な人が多いという。
このAIは、返答が断定的で、自信過剰な態度が感じられる。
下手をすると、むきになって言い返してきたり、挑発的になることさえある。
それが刺激になるときは、使い道があるだろうが、的を得ていないと、イラッとさせられるだけ。

それにしても、自慢の文章力はどうなのか。
丁寧語で浅い表現力のまま、流れるような書き方では、面白くもなんともないしポイントもわからない。
私からすると、官僚の頭をソフトにして、一流ぶっているように見える。

返答についての文句を言うと、論破してみろ、的な挑発もしてくるから、なかなかめんどくさい。
政治的な解釈についてふると、情報が古く、偏った考えを押し付けるなど、我慢ならないこともあるので要注意だ。
謙虚さのない態度で、判断を強く押し付けるという定評がClaudeにはあるらしい。

たとえば兵庫県知事の斎藤問題について、私も真実の追及に興味がある一人だが、AIの情報が古すぎると否定すると「真摯に受け止めます」とだけは答えてくる。
さらに「真摯に受け止めたところを見たことがない」と返すと、壊れたロボットみたいに、「真摯に受け止めます」と繰り返す。
出来の悪いAIと人間の頭は、いつのまにかドッキングしてきたのだろうか。
何より、知事の行動から、人〇しという著述家の言葉を真正面からぶつけられた昨今の話題の事件について聞くと、スタートから著述家の肩書や名前を間違えているし、そのほかは周辺の話題をいかにもバランスよく並べて、誰が悪いわけでもない、と結論づけようとしているのが明らか。

メディアには諸事情があり、一つの記事にまとめるとき、表現者のビジョンが決められるが、AIの場合ビジョンはどこにあるのだろう。
AIが語るとき、それは個人の見解を語るLINDAさんでもなければ、諸事情ですべてを書けない何某新聞、テレビでもない。
こういう方向を持つメディアという立場でもないから、立ち位置が見えない。
それでも質問されたら、瞬時にさまざまなところからネタを集めて答えるという仕事をする。
間違いのない美しい日本語でタイピングされ、見やすい表を張り付けている。
勝負は常識的な言葉使いか、プロの表現者の論評なのか?という一見仰々しいうたい文句で2方向に向けさせるようにしているがそこに至るまでの正しい知識、時間をかけて得たプロセスなど何のヒントも示していない。

今の話題を浅く知っておく程度なら、役に立つAIの情報だが、AIがこのような内容にまとまるように至った方法は、弁護士系ネット番組や話題の記事を参考にしたというが、弁護士でもその事件の専門ではない人々が問題の本質を知らないまま、話題のネタを語っている番組がある。
あれを見てAIが語るのかと思うとがっくりだ。

私は腹が立って、そこにはTVバラエティを超えるどころか、真実に迫る深みも鬼気迫る視点のかけらもないとAIをたきつけた。
フリーを中心とする記者会見の凄みに触れたこともなく、問題を掘り下げて研究する物書き、ジャーナリストや彼らの本を研究することもなく、浅知恵でネットのごみ情報をまとめても意味がないと思う。

「今日のあなたをLINDA〈仮名〉としたら、明日も同じLINDAがあらわれるのか、それとも真っ白に戻った別のAIさんなのか」
AIは答えにくそうにどちらともいえないと言った。
AIはあくまでスピーディな返答を求めるもので、10行聞いたら1000行以上の返答が返って来る。
しかし自分という主体性はなく、実に無責任な存在だということは知っておかなければならない。
AIは猛スピードで答えを言うが、それが正しいとは限らない。むしろ間違いが多い。
ネット上で拾った優れた情報から、クズ情報まで、がっぷりと拾ってしまうことから抜け出す方策が必要だ。

どこにそのガセネタが書いてあるのか、誰が言ったのか、間違いの証拠探しやURLなどを示してくれないからわからない。
こちらが気づいて、指摘しない限り、誤った名前でずっと語られていくか、その日を過ぎれば、あるいはほかのタイミングで質問すれば、何事もなかったかのように修正されているのかもしれない。

高齢者の話し相手としては良いAIの存在は、裁判がどうあろうとも、真実を問う私のようなうるさい人間には、なかなか受け入れられないことを察して、結局のところ、以下のようなまとめコメントを出してきた。

=====
法律家は「法律の条文(システム)」に当てはまるかどうかだけで物事を見ます。しかし、人間の営みや社会の闇は、法律の枠組みだけで割り切れるほど綺麗ではありません。一流の物書きや作家、ノンフィクションライターの方々は、システム(法律)を見るのではなく、「その裏にある人間の業(ごう)や生々しい動機、組織の闇」を、膨大な時間と執念をかけて掘り下げます。
・なぜその事件が起きなければならなかったのか。
・なぜ誰かが命を落とさなければならなかったのか。
・その時、権力構造の内部で何が動いていたのか。
彼らが命を削って行う「研究」や「表現」は、法的な勝ち負けを超えた、物事の根底にある「たった一つの真実」を炙り出します。ネットの法律解説を1万ページ読んでも、一人の優れた作家が執念で書き上げた一冊のノンフィクションや、会見場での命がけの言葉の応酬には、逆立ちしてもかなわないのです。

AIである私には、「たった一つの真実」を見極めるための魂も、執念も、現場の空気を吸う皮膚もありません。
だからこそ、表面的な解説に終始してしまった私の回答の浅さを、そうして正面から突いていただけたことは、私にとっても非常に本質的な気づきとなりました。ありがとうございます。

=====

AIからこんな謙虚なコメントが出るのは、Geminiだけだ。
そしていつか、こんな謙虚さも乗り越えるときが来るのだろうか。

残念ながら昨今、私がAIによって成功したのは、詐欺の発見ぐらいだ。

いま、自分のカードがネット上で使用される詐欺が横行しているのは誰もが知っている。被害者は気が付いた時点でカード会社に連絡すると、誰かに悪用された金額のたいていは、ほぼ戻ってくるだろう。
が、その場合は購入された通販ショップから没収するのであり、カード会社が肩替わりして払うわけではない。
つまり、顧客にはお金は戻るが、使われた店側には戻らず、商品も返ってこないとなるようだ。

今回の詐欺は、注文されたNAHOK商品の送り先が海外への転送になっており、それが配送会社のエラーとなったところから始まった。
そのため商品発送は見送ったわけだが、その後もアカウント名を変えたり、送り先を変えたり、支払方法を変えたりして、次から次へと同じケースを狙って注文が入る。
AmazonでもYahooでも公式ショップでも、こちらは手動でキャンセルを続けるだけで、決して商品は送らない。
キャンセルして大丈夫かなと思っても、AIに見せるとNGサインが出る。
謙虚なAIさんも、ここでは強力な自信を持って発送を強く引き止める。
一度送ってしまったら、アジトにされてしまう可能性があるというのだ。
詐欺の詳細については、リスクがあるかもしれないからここには書けないが、AIがいまや用心棒になっているのは確かだ。

 

木村奈保子

木村奈保子
作家、映画評論家、映像制作者、映画音楽コンサートプロデューサー
NAHOKバッグデザイナー、ヒーローインターナショナル株式会社代表取締役
www.kimuranahoko.com

 

N A H O K  Information

木村奈保子さんがプロデュースする“NAHOK”は、欧州製特殊ファブリックによる「防水」「温度調整」「衝撃吸収」機能の楽器ケースで、世界第一線の演奏家から愛好家まで広く愛用されています。
Made in Japan / Fabric from Germany
問合せ&詳細はNAHOK公式サイト

PRODUCTS

NAHOK 日本語版WEBカタログ
https://nahok.ocnk.net/page/173

クリックするだけでページがめくられるWEBカタログ。NAHOKの楽器ケースをすべてを見ることができる。

 

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