フルート記事 踊りたい、踊らせたい── そうそれがラテン音楽の魅力
  フルート記事 踊りたい、踊らせたい── そうそれがラテン音楽の魅力
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赤木りえ × 城戸夕果 × 坂上領│THE FLUTE vol.212 Cover Story

踊りたい、踊らせたい── そうそれがラテン音楽の魅力

ARTIST

今回はカリビアンフルート奏者の赤木りえさん、ブラジル音楽に精通する城戸夕果さん、そして“ラテン系脱力バンド”『チャランガぽよぽよ』など自身のバンドで活躍している坂上領さんが登場してくれた。
この三氏に共通するのはラテンという中南米の音楽だ。三氏が今の位置を確立するためにどんなことをやってきたのか──今号の特集ともリンクするCOVER STORYとなった。

二人のスーパーヒーロー

赤木さん、城戸さん、坂上さんの座談会は初めてですね。
城戸
この3人での共演もないんですよ。フォーカラーズ(井上信平氏と赤木氏、城戸氏などによるユニット)に領くんが遊びに来てくれて、1、2曲演奏したことはあります。
赤木
私は夕果さんとはよく一緒に演奏しています。もう前世からのお付き合いぐらい(笑)。
夕果さんがブラジルに住んでいた頃、日本フルート協会のイベントで訪れたことがあって、いろいろな場所に連れて行ってくれました。
城戸
イパネマ海岸でココナツジュースを飲んだりしましたね。そのときに、りえさんのお父様が『イパネマの娘』のレコードを聴かせてくれた話をお聞きしました。
では早速ですが、ラテン音楽を主軸にするようになったきっかけは?
赤木
若い順からいきましょうか……じゃあ私から(笑)。
「見砂和照と東京キューバンボーイズ」で長年コンサートマスターやトロンボーン奏者を務められた大高實さんを、師匠の横田年昭先生に紹介していただいて、ミュージカルの仕事をしていました。あるとき、喫茶店でBGMにノッていた私を見て、「君はラテンが合うよ」とおっしゃったんです。そこから大高さんのバンドに誘っていただき、アフロやサルサに出会いました。スペイン語圏の音楽ですね。そのままずっと今まで来ています。東京藝術大学に通っていた頃、いきなりそっちの世界に入りました。
城戸
私の高校時代はロックやフュージョン全盛期で、アドリブを吹きたかったんです。そのためにジャズを勉強していました。ジャズ、フュージョン、ファンク、時にはレゲエにもハマりましたが、フルートでもっと表現できる音楽があるのではないかと悩んでいました。
そんなとき、小野リサさんのバンドメンバーになりました。それまでも、ブラジル音楽は演奏していましたが、ブラジル人が奏でる“本物”のブラジル音楽に出会ったのはそのとき。音を出した瞬間から衝撃を受け、新しい世界が拡がり、ブラジルで活動することにもなりました。
坂上
僕は中学・高校時代、フュージョンばかり聴いていて、サックスやウインドシンセも吹いていました。18、19歳くらいの頃、音楽教室の受付でアルバイトをしていたときに、ラテン音楽に詳しいドラマーの藤井摂さんに出会って、いろいろ教えていただいたんです。
大学に入ってからは、都内のライブハウスにりえさんや夕果さんのライブを観に行っていました。昔は情報が少なかったから、ライブハウスへ行くのは必然だったんですよね。
お二人は、僕にとって本当にスーパーヒーローです。僕自身は中南米へ行ったことはないんですが、日本にこんな大先輩がいることが素晴らしいことだと思っています。お二人のおかげで、実際に現地へ行っていなくても、ラテンやブラジル音楽の空気感や、そこにおけるフルートの魅力をたくさん感じることができました。
サルサバンドにもいろいろ参加してきましたが、音量的な意味でブラスが大人数いる編成よりも、チャランガのような弦楽器と一緒のほうが耳が幸せかなと思って(笑)。また、ブラジル音楽のほうは、ボサノヴァ・アーティストとして日本を代表する中村善郎さんとのデュオで長く活動しています。これまたシンプルな編成で耳が幸せです(笑)。
坂上さんにとって、赤木さんも城戸さんも憧れの存在なんですね。
坂上
ずっと「お二人に憧れています」って言い続けています(笑)。習いに行くのもおこがましいくらいでした。
 
 

次ページに続く
・ブラジルはフルートが花形楽器
・良いグルーヴだからこそ、お客さんは踊れる
・アドリブは“会話”すること
・リズムは自分で作るもの

 
 
 
登場するアーティスト

赤木りえ
Rie Akagi

カリブ海と日本を拠点に両地域で活躍するカリビアンフルートの第一人者。両地域の文化交流を積極的に展開し、その功績が高く評価され、2005年にはプエルトリコのユネスコから表彰されている。03年、08年には自身のグループを率いてのカリブ海ツアーを敢行し大きな評判を呼んだ。グラミー賞受賞ピアニスト、ミシェル・カミロとのデュオ2曲を含む「カリビアン・フルーツ」(07年)に続き、09年に15作目となる「フルーツ・ジャムfeaturing赤木りえ」を発表。2012年8月、プエルトリコの「カロリーナ・インターナショナル・ジャズフェスティバル」に出演し、オープニング・ナイトのメイン・アクトをつとめ、10000人の観客から喝采をあびた。2014年10月16作目で全曲プエルトリコ録音「カフェ・コン・レチェ」を発表。またここ数年は後進の育成にも力を注ぎ、各地でのフルート・クリニックや吹奏楽の指導を積極的に行なっている。NHK「歴史秘話ヒストリア」「花子とアン」などのフルート演奏でも知られている。東京藝術大学 器楽科(フルート専攻)卒業。

登場するアーティスト

城戸夕果
Yuka Kido

神戸出身、茅ヶ崎育ち。洗足学園大学在学中からジャズ・フュージョンで演奏活動を始め、1989年、小野リサのバンドに加入しブラジル音楽に出会い、その魅力に惹かれる。1990年代には、リオデジャネイロを拠点にアルバム制作や、ボサノバの先駆者ジョニー・アルフ、ジョアン・ドナート、カルロス・リラ、ジョイス・モレーノら現地アーティストと共演を重ね、帰国後も自己のバンドやEPO、宮沢和史、渡辺香津美らと共演。2000年代以降は海外(ベルギー、ブラジル、米国)でも活動し、2020年に帰国。テレビ(おんがく交差点、NHK Jメロ、Eテレみいつけた 他多数)・ラジオ(NHK FM、FM Yokohama 他多数)出演や、ライブ、最新作「Brisa」のリリースなど、多彩な活動でブラジル音楽を軸にした独自の表現を追求している。

登場するアーティスト

坂上領
Ryo Sakagami

東京大学教育学部附属中学校にて、中学1年の時に同校のオーケストラに入団するのをきっかけにフルートを始める。日本大学芸術学部音楽学科フルート科卒業。2001年、帆足彩(Vn)と結成した“ラテン系脱力バンド”『チャランガぽよぽよ』にて3枚のアルバムをリリース。これまでに共演、録音参加したアーティストに生田絵梨花(元乃木坂46)、井上芳雄、加山雄三、草彅剛、クミコ、小坂明子、Sound Horizon、菅原洋一、高嶋ちさ子、Chage、天童よしみ、NAOTO、松下奈緒など、多数。現在ではフルートを中心にウィンドシンセ、リコーダー、オカリナなども駆使する幅広いスタイルでの楽活動を展開。

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