THE FLUTE 143号 Special Contents

知ろう、活かそう! 現代曲・特殊奏法 入門編

木ノ脇道元・多久潤一朗が伝授!
もっと楽しく、もっと活かせる 特殊奏法

木ノ脇道元 多久潤一朗

ここでは、「現代音楽」のジャンルで活動されている木ノ脇道元さんと多久潤一朗さんに、現代曲や特殊奏法を“知って、楽しんで、活用する”という切り口でガイドしていただきます。
仲の良い友人同士のような雰囲気を感じさせるお二人ですが、実は師弟コンビ。東京芸術大学での学生時代に、多久さんが木ノ脇さんに師事していたという関係です。以来、現在に至るまでさまざまな場で共演する機会も多いお二人については、フルートの現代音楽を牽引しているプレイヤーという印象を持つ人も多いかもしれません。
誌面では、木ノ脇さん・多久さんに現代音楽の面白さを案内していただきました。少しだけ内容をオンラインでお見せします。

◼︎ ジャンルでひと括りにせず、“好き”か“嫌い”かで考えてみる 木ノ脇道元

そもそも、「現代音楽」という言葉自体が“壁”を作っているように感じます。現代曲を嫌いとか苦手という人は、先入観があるんだと思うのです。ぜひ、“だれだれのこの曲が好き”(あるいは苦手)という聴き方をしていただきたいです。ひと括りにしないで、すごく嫌いだったり好きだったりした曲の名前や作曲家を覚えておくといいと思います。「嫌い」というのも、興味を惹かれているからだと思います。また、現代音楽といえども、特殊なテクニックを使わない曲もいっぱいあります。

◼︎ “特殊奏法”は、世界観を表現するための手段  多久潤一朗

テクニックは世界観を表現する手段であって、特殊奏法もそれは同じ。アパチュアを緩めて音色をぼやかしたり、逆にギュッと集めたりするだけでも世界観は広げられますが、例えば鳥の鳴き声、例えば機関銃——フラッタータンギングができることで、表現はさらに増えますよね。様々な世界を表現するために新しい奏法をつくり、会得していく作業はとてもワクワクするものです。

特殊奏法 解説します!

現代曲の中に登場する独特の奏法であり、木ノ脇さん・多久さんのお話にも出てきた“特殊奏法”。読者の皆さんからのアンケートの中でも、重音奏法、循環呼吸、フラッタータンギングの3つが、「やってみたい奏法」として挙げられていました。
そもそも、“現代曲”はどんな背景の中で生まれ、フルートの現代曲作品はどんな作曲家によって、どのように作られてきたのでしょうか? また、どんな奏法があり、どのように使われているのでしょうか?
日本大学大学院の博士前期課程で音楽芸術を専攻し、フルートの演奏や研究をしている鈴木あやさんが、フルートの現代曲と特殊奏法についての論文を寄せてくださいました。その中から、フルートにおける現代音楽の登場と、そこで生まれた特殊奏法についての解説をTHE FLUTE 143号では一部ご紹介しています。

誌上レッスン
多久流『茶摘み』でマスター

多久潤一朗

最後は、楽譜を使いながら“特殊奏法”を実際に体験し、練習してみましょう。多久潤一朗さんがアレンジした『茶摘み』の楽譜を使用し、誌上レッスンをしていただきます。

特殊奏法体験版 『茶摘み』攻略法!

音が同時に2つ出たり、波や風の音を出したり、スポンとかバチンとかギャーとかワーとか、「ゲンダイオンガク」でよく出てくるアレ……そう、前項でも話題にしてきた“特殊奏法”ですね。拙著「フルート・デュオ・アラカルト」には、その特殊な奏法をポップに、しかも気軽に使ってみよう! という体験版的な内容を盛り込んでいます。『茶摘み』にもいくつか使用されておりますので、今回はザ・フルート誌上でプチレッスンを行なってみよう! と、そういう企画なのであります。
“特殊奏法”って、なんだか難しそう…? いえいえ、トリルもヴィブラートも昔は特殊奏法だったのですよ。(多久潤一朗)

*もっと吹き方を知りたい!という人に… 他にも面白い奏法をご紹介!

フルートオンラインでは多久潤一朗さんを解説が動画で見ることができます。
『多久潤一朗のフルートデュオア・ラ・カルト』特殊奏法を動画で解説

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フルート奏者カバーストーリー