THE FLUTEオンライン記事:THE FLUTE vol.160特集「上手くなりたい!ピッコロ」
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世界の奏者から、ピッコロについてのアドバイス

THE FLUTE vol.160特集「上手くなりたい!ピッコロ」

今回特別に、マーク・グローウェルズさんとヤン・マハトさん(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団ピッコロ奏者)にも、ピッコロに関するアドバイスをいただいてきました! 世界の名だたるオーケストラで活躍してきたお二人が、ピッコロのことをいろいろ教えてくれました。世界のオケ奏者ならではの深~いお話も出てきます!

 

ピッコロは息のコントロールを勉強するにはうってつけ!
マーク・グローウェルズ Mark Grauwels

マーク・グローウェルズ

 

1954年、ベルギーのオーステンデに生まれる。フランダース・オペラ管弦楽団でフルーティストとしてデビューし、1976年、ベルギー王立歌劇場管弦楽団首席ピッコロ奏者となる。1978年、ベルギー王立放送交響楽団首席フルート奏者を務めた後、ソリストに。1986年にカルロ-マリア・ジュリーニ率いる「ワールド・オーケストラ」でも首席奏者を務めた。世界各国で年間100回以上のコンサートに出演し、同時にマスタークラス等の指導も行っている。かつてベルギー王立音楽院で教鞭をとり、現在はモンスの王立音楽院の名誉教授に就任している。A.ピアソラより捧げられた「タンゴの歴史」をはじめ、クラシック、ジャズ、タンゴなど幅広い音楽に挑戦し、常に新しい可能性を追求し続けている。

まず皆さんにお伝えしたいのは、ピッコロを狭い部屋で長時間演奏していると、自分では気づかないうちに聴覚に深刻なダメージを負ってしまうことがあるということ。是非気をつけてください。だから私がお勧めするのは……あまりピッコロばかり練習しすぎないことです(笑)!

それでも、私自身はピッコロを吹くことがフルーティストにとって、不可欠だと考えています。フルートを吹くのは歌を歌うのと同じで、演奏中に自分の吐いている息に十分な抵抗感を感じながらコントロールするのが難しいのです。その点、ピッコロではだれもが抵抗感を感じることができるので、息のコントロールを勉強するにはうってつけでしょう。

またピッコロは楽器自体が小さいので、普段フルートを吹いている時に忘れてしまいがちな口の中、体全体を使って響きを作ることを意識しやすいのではないでしょうか。具体的には、中音域(2オクターブ目)のD~F#、右手の範囲にある音はいつも不安定でコントロールしにくいものです。これらの音をフルートよりも小さなアパチュアで、でも口や体は十分にリラックスさせ、豊かな響きを伴って鳴らすように練習すれば、他の音域はおのずと楽に吹けるようになると思います。1オクターブ下からスラーで跳躍したりしながら、それらの音域に必要な奏法、楽器の癖を十分に知っておくとその後の演奏に必ず役に立つと思います。

自分の楽器を選ぶ(買う)際は、操作性を差し置いてまで、あまりに好みの音色感などを追及しすぎないというのも大事です。実際に何本ものピッコロを並べて試奏すれば好みの音が出る楽器が欲しくなるものですが、私たちがピッコロを吹くのは、フルートとの持ち替えになる場合が多いと思います。ステージの上でフルートを何十分も吹いた後、音出しもせずに急にピッコロで目立つソロを吹く場面で、あなたの助けになるのは音色感よりも、フルートからの持ち替えやすさや音程の取りやすさ――操作性の部分が大きいはずです。

もし頭部管が選べて、ウェーブ・スタイルがある場合はぜひ試してみることをおすすめします ウェーブ・スタイルは持ち替えがしやすいものが多いと思います。

インタビュア:榊原敬幸(フルーティスト) 取材協力:ミヤザワフルート アトリエ東京

 

量的・時間的にたくさん練習するよりも、イマジネーションを持つことが大切
ヤン・マハト Jan Machat

ヤン・マハト

 

1964年生まれ。プラハ音楽院、プラハ芸術アカデミーでフルートを専攻。その後プラハのカレル大学哲学部でも音楽学を学ぶ。1983年より合奏団Chorea Bohemicaに所属、1987年にはチェコ・フィルハーモニー管弦楽団フルート奏者及びソロ・ピッコロ奏者に就任。1997~2000年、プラハ音楽院の教師とカルロヴィ・ヴァリ市の音楽祭Mlade podium(=若い舞台)監督を務める。2004年より室内楽音楽Ameropaの一環であるサマーコースで、フルートと室内楽の教授。ピアノとのデュオコンサートや、録音でも活躍中。

練習に関してですが、量的・時間的にたくさん練習するよりも、イマジネーションを持つことが大切だと思います。フルートでも同じことが言えますが、これから吹くのはどんな曲なのか、一つひとつの音符の音が正しくとれているか、フレーズがきれいな一つの流れになっているか、そういうことすべてを常に考えながら練習することが、たくさんの練習量をこなすことよりもはるかに大事です。一瞬一瞬の音に、情熱を注ぎましょう。

自分の楽器を選ぶときには、私自身もそうだったのですが、できれば10本以上の楽器を吹いて試してみることをおすすめします。まずは頭部管がどのくらい自分に合っているのか、ということを確認することが必要です。唇のつくりは一人ひとりで違いますから、自分に合う穴の大きさやリッププレートも当然違ってきます。楽器を持ってキィを押さえてみた感じが気に入ったとしても、頭部管が自分にしっくりこないことはよくあることです。

余談ですが、完全な初心者のうちは、自分のピッコロを購入するということはおすすめしません。まずはフルートから始めて、十分に慣れてからピッコロを手に入れるのが最善の方法だと思います。

通訳:伊藤涼子、取材協力:ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン

 

 マーク・グローウェルズさんとヤン・マハトさんは、次号THE FLUTE161号(12月10日発売)のClose Upインタビューコーナーにも登場します。お楽しみに!

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