画像

【第16回】新国産フルート物語 世界トップレベルの品質と量産を両立 —ヤマハ

THE FLUTE vol.183

本誌THE FLUTE vol.166より連載がはじまった「新・国産フルート物語」。THE FLUTE CLUB会員限定でオンラインでもご紹介します。

書籍「国産フルート物語」
アルソ出版社内にたった1冊だけ残る、貴重な1冊

1998年に、アルソ出版より刊行した書籍『国産フルート物語』。
日本のフルートメーカーを丹念に取材し、トップメーカーから個人経営の工房まで、その黎明期から現代に至るまでの歴史と道のりをつぶさに書き連ねた貴重な記録だ。

当時から20年以上が経ち、令和の時代を迎えた今、それらのメーカーや工房なども代替わりなどが進み、様変わりしてきている現状がある。そんな現在の姿をあらためて伝えるべく、新たに取材を加えながら「新・国産フルート物語」としてここに綴ってきた。

今回は、ヤマハフルートの歴史をお伝えする。明治時代に前身である日本楽器製造株式会社を設立、今や120年以上の歴史を誇る随一の楽器メーカーとなった。
前編として、『国産フルート物語』刊行当時の記事をふりかえる。
「国産フルート物語」(アルソ出版 1998年刊)より再編、写真は当時のもの

第16回:世界トップレベルの品質と量産を両立 —ヤマハ

ピアノから始まり、世界一の楽器製造会社に成長したヤマハ。フルートの生産量、そして品質も、世界のトップレベルである。しかし、その成長の陰には、世界中に良い楽器を届けるため、楽器作りの常識に挑戦してきた、たゆまぬ技術革新と研究の努力があった。

品質重視と最大量産の両立を目指し、不可能を可能に 

「フルートとコンピュータ、この二つがなかなか結びつかない方も多いでしょうが……」と、技術部管楽器設計課課長の山領茂氏は穏やかに切り出した。「私たちは、品質を下げずにコストダウンをはかり、良い楽器を低価格でお届けするため、普及品モデルの生産にNC機械を導入しています」。NC(numericalcontrol)機械とは、コンピュータの命令により動きを自由自在に、しかも精密にコントロールできる機械のことである。
フルートに限らず管楽器は、管体やキィ、部品の一つ一つに至るまでほとんどが曲線でできている。これまでの機械では、微妙な曲線に加工することが難しく、部品の一つ一つを仕上げるのに、ヤスリがけなど熟練した人手が必要である。
しかしヤマハはNC機械の導入により、複雑な形の部品を、精度を変えることなく、しかも大量に加工することができるようになった。これまでの楽器製造法からは考えられない、画期的なシステムの変革である。

▶︎次のページへ続く

この記事の続きはCLUB定期会員限定です。メンバーの方はログインしてください。
定期会員に入会するとこの記事をすべてお読みいただけます。

1   |   2   |   3      次へ>      

カバーストーリー
フルートコンサートガイド

画像
画像