THE SAX vol.105 付録音源連動企画

ソロで! アンサンブルで!! 定番ジャズ・スタンダード攻略

『キャラバンの到着』を収録したアルバム「ロシュフォールの恋人たち〜オリジナル・サウンドトラック」(ユニバーサル ミュージック UICY-75728)

『キャラバンの到着』

 

解説:近藤淳│パート Ss(IからAsに持ち替え)

演奏解説
緊張感あるイントロからジャズワルツのテーマに入り、途中4ビートになって、またジャズワルツに戻るアレンジになっています。ジャズワルツと4ビート、各パートがどんな動きをしているかを聴きながら、メロディを吹いていきましょう!テーマは三拍子で、ワン、ツー、スリー、ワン、ツー、スリーと乗るのではなく、1小節を一拍に感じて大きく乗ると、この曲のノリが出るのでは、と思います。テーマの途中に4/5拍子と4/4拍子が出てきます。他のパートのフレーズを書き込んでおくと、流れに乗って演奏することができると思います。
Gの部分も6小節間、しっかりテンポに乗り3拍目をしっかり吹きましょう(音域が低いですが、頑張りましょう)!
その後、4ビートになって、2小節目までしっかりみんなで Swingしましょう!その次のフレーズからすぐにピアノに音量を落としてHに向けてクレッシェンドしていきます。ここが聴かせどころです。Hの1小節目はフォルテで、その後、テナーのアドリブの伴奏になります。途中でアルトに持ち替えて、Iに入ってからJに向けてまた少しずつクレッシェンドしていきます。Jはこの曲の中で一番のフォルテです。8分音符の下降フレーズからデクレッシェンドしていき、Kはメゾフォルテくらいに落として優しくテーマを吹きましょう!Mに入りメゾピアノくらいから少しずつクレッシェンドして、最後のキメのフレーズが大フォルテで終わります。ソプラノとアルトの持ち替えで大変な曲ですが、ダイナミクスを考えなから最後まで歌いきりましょう!

 

解説:白石幸司│パート As

演奏解説
この曲はソプラノサックスリードで始まります。Altoがリードの時よりも音色のイメージをソプラノサックスに近づけるように考えています。いろんなイメージがあると思いますが、少し固めの透明感のある音色の感じでしょうか。
そしてIからAltoリードになるので、少し太い音のイメージに切り替えています。
あとは、速い3拍子に乗り遅れないことと、メロディを良く聞いてスピード感が落ちないようにするのがポイントです。

 

解説:今尾敏道│パート 1st Ts

演奏解説
1967年のフレンチ・ミュージカルの傑作「ロシュフォールの恋人たち」の挿入曲です。カトリーヌ・ドヌーブとフランソワーズ・ドルレアックの姉妹が共演したことで有名ですね(なんとあのジョージ・チャキリスも出てます!)作曲のミシェル・ルグランはマイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンをフューチャーした「ルグラン・ジャズ」というアルバムを発表するくらいジャズに傾倒していたのは有名です。原曲はビッグバンドジャズ的な要素満載のゴージャスなものですが、このアレンジでは設定するテンポによっては微妙に表現が変わってきます。4ビートだけではなくジャズワルツ、5拍子と目まぐるしく場面を変えていくので、あたふたせず落ち着いて、聴いている方々にはその変化があまり分からないくらい流れを途切らせないことが大事です。原曲通りのテンポであれば連続する8分音符の裏拍を強調し過ぎてはいけません。むしろイーブンに近いと思ってください。フレーズのどこにタンギングするかだけでスイング感は充分伝わります。アマチュアの方々がスイングの解釈で失敗しやすいところです。間違っても音頭にならないように! いわゆる「えらやっちゃ〜」的なやつです。模範演奏を良く聞いて研究してみてください。特に注意すべき所はDからのテナー2人の対旋律です。
それぞれの場面で4分音符と8分音符の解釈も変わりますが、そこがこのアレンジの面白いところでもあります。
フォルテとピアノ、クレッシェンドとデクレッシェンドのメリハリに気をつけて演奏しましょう。
原曲至上主義は良くないので、演奏する5人で相談してアーティキュレーションを決めていくのも楽しみの一つです。模範演奏は一つの解釈だと思ってください。
フランスの香りが出せるように頑張ってください……と言いつつそこにこだわる必要はありませんが……(笑)。

 

解説:坂川諄│パート 2nd Ts

演奏解説
冒頭Aの入りは先行のバリトンのフレーズを良く聴き、テンポを感じながら演奏し始めます。2小節1フレーズでダイナミックレンジをpから徐々に上げ3/4へ向けてクレッシェンドします。4/4の2、4拍(アフタービート)を感じて裏拍の食い付きが遅れないよう小さくてもスピード感のある音で演奏しましょう。設定テンポは♩=190なので、3連符の2つと1つよりも8分音符に近いスイング感で。Cは2小節前の3拍目からのタイがあることにより、拍を見失いそうになりますがCアウフタクトのソプラノをよく聴いて入ります。Dは2小節ごとにレガートで演奏。ソプラノとアルトの4小節の大きな流れに対比した細かなフレーズです。2小節1フレーズですが、フレーズの最後の音と次のフレーズの頭の音が跳躍するので、そこも重点的に練習しましょう。5/4の1拍目の裏は遅くならないように。EFKの入りもCと同様に。Gの1小節前の3連符はA♭7の分散和音なので、ゆっくりから練習しましょう。Gベルトーンは『うんちゃーうんちゃー(笑)』8分音符のメロディはレガートで跳ねすぎないように。67〜72小節目はin2で感じましょう。ゆったりしたソプラノとアルトの対旋律に対して1小節単位でタイトに優しく演奏します。73小節目から4ビートです。躍動感を持ってクレッシェンドします。自分のアドリブソロのために盛り上げておきましょう。IJのサビに向けての助走なのでだんだん盛り上げて。スイング感を出すことに気を取られシンコペーションが遅れないよう気をつけます。Jの1、2小節目も遅れないように。『ぶちゃっちゃちゃーぶちゃっちゃちゃー』の『ぶ』を抜いて練習します。KLはAメロBFの再現です。エンディングに向けてmolto cres.でラストffで決めましょう。

 

解説:上里稔│パート Bs

演奏解説
私はバリトンサックスを吹くときは、常にベースプレイヤーを聴いています。どう表現をするか?(音の長さやリズムの取り方など)バリトンはソロパートに比べると地味ですが大切なパートです。
曲の冒頭は遠方からキャラバンが来るよ、というイメージでクレッシェンドしていきます。
サビのDからは1.2.3ではなく、1ビートで7小節行き3/4に戻していきましょう。
65小節の4/4拍子からはリズムをしっかり出して演奏します。67小節からはpで優しく伴奏します。Hから4ビートを吹くのは大変なので82小節目と87小節目の2拍目は休んでブレスしてください。Jからも1ビートで表現します。Mからエンディングにかけて、クレッシェンドしてキャラバンが到着したよ〜。良かった😄

 
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