いま注目のJazz/Fusion系 マウスピース吹き比べ!! 26本 ─アルト編─
アルトサックスのジャズ・フュージョン系マウスピースは特にここ数年で有力な新商品が登場し、まさに群雄割拠の戦国時代へと突入している。今回登場するマウスピースは全26本。それらをジャズ、コンテンポラリー系に適したMidバッフル&Mid Highバッフル系のタイプと、フュージョン・ロック・ファンクなどに適したHighバッフル系の両タイプに分類した上で、本誌おなじみのアルトサックス奏者である横田寛之氏に、本誌歴代最多となる8項目を使い詳細に試奏・検証してもらった。
なお、次のページでは、本誌でお届けした試奏コメントに加え、横田氏による全26本のマウスピース試奏動画を公開!!
サウンドを聴きながらコメントもチェックして自分好みのマウスピースを見つけよう !!
Midバッフル
&Mid Highバッフル系
Highバッフル系
音色の明暗(暗い ⇔ 明るい)
音色の傾向(鋭い ⇔ 温かい)
音量(小さめ ⇔ 大きめ)
音の芯(細め ⇔ 太め)
付帯音(シャリシャリ少ない ⇔ 多い)
抵抗感(少ない ⇔ 多い)
息の量(少なくてもよい ⇔ 多く必要)
音の立ち上がり(速い ⇔ 重め)
Midバッフル&Mid Highバッフル系
01.D'Addario Woodwinds
セレクトジャズ AltoマーブルD5M-MB
本日の試奏において、私も普段使っているメイヤーのマウスピースというのが一つの基準になってくると思いますが、このマウスピースはメイヤーをワンランク改善したマウスピースという印象です。音の立ち上がりにおいてメイヤーでストレスを感じているようなプレイヤーにはもってこいだと思います。音色はメイヤーに比べると少し太めで、メイヤーのコピーではなくいい意味でオリジナリティを持っています。反応がよく、それでいてうるさくないのでジャズコンボでも、バラードでも使いやすいでしょう。また、このマウスピースは均質性が高いことも特徴の一つということで、試奏した個体もとても吹きやすいものでした。どの個体を選んでもこのクオリティなら相当オススメできます。その意味で初心者にもバッチリなマウスピースだと思いますね。
02.Theo Wanne
Alto NY Bros 5HR
キャノンボール・アダレイが使用していたことで有名なメイヤー・ブロスを意識したモデルですね。確かに当時のメイヤー・ブロスのようなキラキラと明るい音色、倍音を持っています。マウスピース自体に音色の個性があるタイプで、どのような奏者でもキャノンボールらしいパキパキ感とタンギングのキレを出しやすいマウスピースです。通常のメイヤーではあまりはっきりした音が出ない奏者でも、このマウスピースを使用すれば、高次倍音が多くマイク乗りの良い、いわゆる抜ける音を出すことができると思います。ただ、パキパキ感を出そうという意図がやや強い印象もあり、歌伴で吹くときや暖かい音を出したいといった音色をコントロールする必要がある場合には、リードなどセッティング全体を見直す必要があるかもしれません。