サックス記事 【シリーズ徹底検証】楽器編 バリトンサックス
今、旬のバリトンサックス  アナタに合う楽器はコレ!

【シリーズ徹底検証】楽器編 バリトンサックス

数ある管楽器の中で、多彩な音色と魅力的なルックスから、絶大な人気を誇るサックス。楽器店にはたくさんのメーカーのさまざまな個性をもったモデルがずらりとならんでいる。それらの楽器は、個性的な外見のみならず、音色や操作性など、楽器一つ一つに深いこだわりがあることはご存じだろう。
当コーナーではこれまで、サックス愛好家がメインとして選ぶことの多いアルト、テナー、そしてひときわ官能的なサウンドが魅力のソプラノを徹底検証してきた。そして今回は、低音域の個性的なサウンドで人気のバリトンに焦点を当てる。バリトンはメインではなく持ち替え楽器として使用されることも多く、何と言っても「吹きやすい楽器であること」が重要視されてきた。しかしここ数年、バリトンをメインに据えるプレイヤーが増えはじめたことから、楽器に個性を持たせるメーカーも増えている。
今、バリトンという楽器は、その焦点をどこに置くかで実に様々な展開を見せている。バリトンも、自分の使いたい要素に合わせて選ぶ時代がやってきたのだ。
そこで今回も、ジャズ、クラシックの各方面で活躍するプレイヤーに、試奏、検証を依頼。主にクラシックの分野で活躍する福井健太氏はサックスカルテットでバリトンを担当する他、テレビやCM音楽のスタジオワークでの使用機会も多いという。そしてジャズプレイヤーの近藤和彦氏は、ビッグバンドをはじめ、やはりスタジオワークでバリトンを使用している。両者ともに、バリトンをメインに据える奏者ではないが、それ故に幅広い意見を聞くことができた。各奏者の意見と、自分が楽器に求めるポイントとを重ね合わせ、ひとつの参考として楽器選びに役立てていただけたらと思う。

自分に合う楽器は? 2つの探し方

まずは熟読 とりあえず全機種をじっくり読んでみよう

今回は12本の楽器を試奏し、インタビュー形式で両氏に感想をうかがった。 その際、主に以下の質問に関して答えてもらったが、スペースの関係上項目を省略したものもあるので、ご了承いただきたい。

■ インタビュー項目
1.吹いてみての率直な感想
2.音色の均一性(粒立ち、鳴りのバランス、音のバラツキなど)
3.響き(音の遠達性)
4.音程の特性(何か気になるところがあれば)
5.キィアクションについて(反応が速い、重い、〜の楽器に似ている など)
6.どんな人にオススメ?(初心者、上級者、ジャズ奏者、クラシック奏者 など)
7.ルックスについて何かあれば

※バリトンにはペグ(足)付きの機種とそうでないものがありますが、試奏時の条件をなるべく近づけるために、ペグ付きのものはすべてペグを取り外した状態で試奏を行なってもらいました。

チャートで探す どんな部分が自分に必要? ひと目で判る5段階評価

福井、近藤両氏が試奏時直後に感想をメモしてくれた5段階評価によるチャートを公開。例えば、音質についてジャズ奏者はダークなほうを、クラシック奏者はブライトなほうを好む場合が多いように、ジャンルや協力プレイヤー個人の指向性により、完成されるグラフの型も変わってくる。二人の演奏ジャンルや音色の傾向を踏まえた上で参考とし、自身の楽器を選ぶ際のヒントにしてほしい。まず、下表に自分の理想とする数値を書き込んでチャートを作ってみよう。そこに現れたグラフに近い楽器が、あなたをサポートしてくれる1本かもしれない。

 

本編に入る前に……

プレイヤーによる試奏コメントでは、バリトンサックス各部位の名称を使って説明される。 事前にチェックして把握しておこう。

Part-1

セルマー SA80 シリーズII
セルマー シリーズIII
ヤナギサワ B-901R

Part-2

ヤナギサワ B-992R
ヤナギサワ B-9930BSB
ヤマハYBS-62II

Part-3

ジュピター BS793 GL
イオ BS-1091GL
カドソン B-963V

Part-4

カドソン B-963AS
ヤマハYBS-41II
カイルベルト バリトンサックス SX-90

登場するアーティスト
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福井健太
Kenta Fukui

静岡県浜松市に生まれ育つ。幼い頃から様々な音楽や楽器に触れ、中学時代にサックスに出会う。B to E(バロックから演歌まで)をモットーにあらゆるシーンで活躍する演奏家としてリサイタル、コンサートやライブを国内外で展開中。スタジオワーク(録音)も多く多岐にわたり、自分では把握できない本数に達している。様々な著名アーティストとのステージの他、指導者としての評価も高い。吹奏楽団「BRASS EXCEED TOKYO」コンサートマスター。「Z EXPRESS BIG BAND」メンバー。音楽制作にも携わり、音楽プロデューサーとして様々なアーティストのコンサートや CD 作品、作編曲を手がけ「必要な音や音楽を必要なところへ」と意欲的に活動している。2018年に10年ぶりとなるリーダーアルバム、世界初録音作品ばかりのサクソフォンカルテット集「Sur-Saxophonism」(Contemporary Works for Saxophone Quartet) リリース。新しい管楽器ヤマハ「Venova」の開発協力したことで、一躍「ヴェノーヴァ」の人としてお茶の間を賑わしている。サクソフォンを須川展也に師事。東京芸術大学卒。

登場するアーティスト
画像

近藤和彦
Kazuhiko Kondo

1964年山梨県出身。大学時、山野ビッグバンドコンテストにて最優秀ソリスト賞を受賞。在学中よりプロ活動を始め、宮間利之とニューハード、松岡直也、菊池ひみこ、渡辺貞夫、高橋達也などのグループに参加。熱帯ジャズ楽団では19年間リードアルトを務め2014年退団。現在は自己のグループの他、小曽根 真、エリックミヤシロ、守屋純子など多くのレギュラーバンドやセッションなどで活動。スタジオミュージシャンとしても数多くのレコーディング参加している。フィル・ウッズ、ディック・オーツに師事。昭和音楽大学ジャズコース非常勤講師。2009年リーダーアルバム『SUBSTANCE』をリリース。

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