それは１９９０年の夏のこと、とある焼鳥屋の一角を占領し、 四方山話に花を咲かせる数名の男女。その中の一人がこう呟いた。  「ＯＢで集まって演奏したいなぁ。」 「そやなぁ、一回声かけてみよか。」  それからしばらくしたある日、とある飲み屋の半分を占拠し、 想いを語る十数名の老若男女。 その中にはこう訴える人もいた。 「どうやって連絡取り合う？」 「いつかはホールで演奏会したいよなぁ。」 「すんませーん、鶏唐全然けーへんのやけど。」  それからしばらくしたある日、高津高校の視聴覚室で、 それぞれの楽器に息を入れる連中がいた。 「今日、とりあえず何やってみる？」 「現役から譜面借りなしゃーないなぁ。」 「終わったら茶しばきもって、ミーティングしょーか。」  かくして、ＯＢのＯＢによるＯＢのためのバンドが結成された。 時に１９９１年、春にしてはまだ肌寒い、ある日のことである。