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金澤恭悦のリペアマンへの道! -番外編-その2 音楽における調整の世界

Wind-i mini 20号 -番外編-

番外編 その2 音楽における調整の世界

代官山音楽院、管楽器リペア科で行なわれる実際の授業を追いながら、代官山音楽院主任講師の金澤恭悦先がリペアの基本、そして技術が現場にどのように活かされているかを解説してもらうこのコーナー。今回は金澤先生のお話の中から“音楽における調律の世界”についてまとめました。

昔スヴャトスラフ・リヒテル(1915-1997)というロシアのピアニストがいました。彼は飛行機が苦手であまり海外公演をしなかったのですが、カラヤン指揮のウィーン・フィルとの共演作チャイコフスキーの『ピアノ協奏曲第1番』や、ムソルグスキーの『展覧会の絵』、ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』といった数々の録音は不朽の名作とされ、世界的にその名を馳せました。
スヴャトスラフ・リヒテルはある腕利きの日本人調律師を専属に付け、演奏会には必ず同行させました。その調律師はドイツものやフランスものといった演目に併せて、一台のピアノで微妙な差をつけて調律するほどの緻密な仕事振りであり、調律師界では異例だった音楽祭に公式チューナーとして招待されるほどの高い技術を持っていました。調律にはそのような細かい世界があるのです。
管楽器の場合は毎回調律師を連れて歩くわけにもいかないので、自分の耳で楽器の調子を判断しなければなりません。価格の高い楽器ほど良い演奏ができるわけではなく、自分が最高のコンデションで演奏できる楽器が必要で、そのためには常にバランスを日々チェックしておく事が大事なのです。

リペアマンへの道!

吹いていて「調子が悪いな」と思った時、リードを替えてみるもどうも調子が良くならない。唄口を替えてみてもうまくいかない。それならと、リガチャーを変えてみますが、良くならない。実は楽器本体のバランスが崩れていたことが原因だった。そんなことがあれば本末転倒ですよね。まずは楽器本体の調子をしっかり調整してからリード、唄口、リガチャーを選ぶべきなのです。自分の努力を良い結果に結び付けるためには、本番直前になって焦って楽器のメンテナンスをするのではなく、定期的にメンテナンスを行なっておくのも大切なことのひとつです。

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